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就業規則の記載例88連発!

試用期間

第●条(試用期間)

  1. 新たに採用した者については、原則として入社日より3か月間を試用期間とする。ただし、特殊の技能または経験を有する者には、試用期間を設けずまたは短縮することがある。
  2. 前項の試用期間は、各人との雇用契約書により期間を伸長する場合がある。
  3. 試用期間中または試用期間満了の際、健康状態、勤務状態、業務成績等を判断し、引き続き社員として勤務させることが不適当であると判断し、本採用は行なわない。
  4. 所定の試用期間では、正社員としての採用諾否の判断ができない社員、または業務に習熟していない社員については、社員本人と協議の上、試用期間を延長することがある。その場合には、延長する期間を明示する。
  5. 本採用となった場合にのみ、試用期間は勤続年数に通算する。

【今日のポイント】

  1. 試用期間中の解雇は通常の解雇より裁量範囲が広い
  2. 期間中の教育・指導が大事。定期的な面談でしっかり指導を。

試用期間は、文字通り、入社後の一定期間を「試用」期間とし、この間に採用した社員の人物や能力を確認・評価し、その後正社員とするかどうかを判断する期間になります。

この期間を「解雇権留保付労働契約」とされます。

「解雇権留保付労働契約」とは、試用期間中に問題がなければ、本採用となった日からの雇用を約束するというものです。

試用期間中に本採用とするには難しいと判断された場合の労働契約解除=解雇は、通常の解雇より会社側に自由性がある程度認められるものとなります。

そうはいっても、やみくもに辞めされる事ができるというものではなく、解雇する理由に無理がないか一方的なものになっていないかなどの判断がされる事となります。

試用期間中は、定期的に面談を実施し、業務上の課題や勤務態度などに問題があったら適切に指導をし経過を確認する事を繰り返していく必要があります。

また、どうしても試用期間満了で解雇せざるを得ないという場合には、期間満了日にいきなり「今日で終わりです」とするのではなく、少なくとも30日以上前には本人と話し合い、伝えるべきといえます。

試用期間の長さについてよく質問がありますが、一般的には~6か月程度が妥当とされます。(判例では最長1年とされているようです)

試用期間中の勤務態度として不適当とされる事項については、条文内に具体的に定めておく場合と、包括的な表現に留めておくケースとに分かれます。

それぞれに一長一短があり、具体的に定めると定めた内容以外が無効となる場合もあり、包括的な表現に留めると解雇事由そのものが無効になる場合があります。

自社の方針や考え方で、どのような定め方がいいのか検討が必要となります。

参考)試用期間の法的な意味
http://www.jil.go.jp/rodoqa/07_jinji/07-Q07.html

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採用方法

第●条(採用の方法)
会社は、入社を希望する者の中から、書類審査、面接試験等の所定の選考を行ない、それに合格した者を正社員として採用する。

【今日のポイント】

  1. 雇用形態に応じた採用基準・方法を定めるべき
  2. 雇用形態ごとの区分を明確にするためにあえて就業規則に定める

パート・アルバイトと正社員など雇用形態に応じて求める能力やスキルも異なります。

これらを明確にする意味でも、採用方法や採用基準の違いは明確にするのが適切といえます。

就業規則では、それぞれの雇用形態(この場合は正社員に対するもの)ごとの採用方法や採用基準を具体的にすべきといえます。

条文では「所定の選考」としていますが、運用上では、正社員に対する選考基準・方法としては書類選考~複数回の採用面接とし、パート・アルバイトに対しては採用面接回数を1回に留めるなどの方法をとります。

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入社希望者の提出書類

第●条(入社希望者の提出書類)

  1. 会社に入社を希望する者は、次の各号の書類を提出しなければならない。ただし、会社が認めた場合は、その一部を省略することがある。
    ①自筆履歴書(提出日前3か月以内に撮影した写真貼付)
    ②健康診断書(提出日前3か月以内に受診したもの)
    ③卒業見込み証明書または最終学歴の卒業証書の写し
    ④職務経歴書(職務経験がある場合)
    ⑤採用条件となっている技術または資格を証明する書類
    ⑥その他会社が必要とする書類
  2. 会社は提出を受けた書類について、不採用となった場合は直ちに消却する。

【今日のポイント】

  1. 法律上定める義務はないものの、適切な採用選考を実施するために便宜上必要な書類を定めておく
  2. 本人の性格や行動特性を図る上では自筆履歴書を提出してもらう
  3. 入社前に健康状態を確認する事は極めて大事

採用選考時に提出してもらう書類の種類と提出条件を定めています。

入社希望者と企業との雇用契約が成立していないのに、このような定めをする必要があるのかとの意見もありますし、現に定めていない就業規則も多くありますし、行政が提供しているひな型でも定められていません。

提出物として何が必要かを明確にする便宜上、就業規則に定めておく事に問題はありません。

最近は提出される履歴書で自筆のものを見ることは極めて少なくなりましたが、本人の性格や行動特性を図る意味でも、自筆の履歴書を提出させるようにすべきと考えます。

上手い・下手な文字という事ではなく、書き方からうかがい知れるものが多くあります。

そうはいってもという場合には、採用面接前にアンケートを記入してもらい、記入された内容や書き方から、本人の性格や行動特性を図ることも大事になります。

健康診断書の提出にあたり、入社前の健康診断を実施できないのではという意見があります。

これから採用する人物が心身ともに健康であり、会社との雇用契約の中で労務を提供してもらえるかどうかを確認する事は、とても重要なファクターになります。

この健康状態を確認する意味で一定期間内に受診した健康診断書を提出させることは、就業規則に明確に定めておく必要があると考えます。

2項として、提出書類の処分について定めています。

これは不採用となった場合に提出書類の返却を求めてくる応募者に対し、会社は書類を返却せず処分することを定め、個人情報を適切に取り扱うことを明らかにするためとなります。

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身元保証人

第●条(身元保証人)

  1. 身元保証人は、1名以上とする。
  2. 身元保証人は、一定の職業に従事し、独立の生計を維持する成人者でなければならない。
  3. 社員は、身元保証人になることはできない。
  4. 身元保証の期間は満5年とする。会社が特に必要と認めた場合、身元保証の期間更新を求めることがある。
  5. 身元保証人が、次の各号の一に該当するときには、直ちにこれを更新し、新たに身元保証人を届出なければならない。
    ①死亡または失踪の宣告を受けたとき
    ②破産の宣告をうけたとき
    ③その他、会社が身元保証人を不適格と認めたとき

【今日のポイント】

  1. 保証期間を定めない場合は3年間、期間を定める場合は5年間
  2. 法律上の義務はないが、身元保証人が用意できない場合の対処も検討が必要

身元保証は、採用した社員の業務適性と本人が会社に届け出た内容を保証する人物保証の意味と、会社に万が一損害を与えた場合の損害補償の意味があります。

現実的には、損害賠償の意味で求める事よりも、人物保証の意味で活用しています。

最近は特に、精神疾患を発症し本人と連絡が取れなくなるケースがあり、このような状況になった際の連絡先として必要になります。

身元保証人として認める要件としては、独立生計者である事が第一要件となります。

よく配偶者を身元保証人として認める場合もありますが、万が一の場合を考慮し、同一生計者は認めないようにします。

また社員間で身元保証とする事は、会社が求める要件とは異なるため、これも認めません。

身元保証人では「保証期間の更新」がよく問題になります。

身元保証に関する法律では、保証期間を定めていない場合は3年の効力があり、保証期間を定めている場合には5年までとされています。

保証期間を更新する場合は、最大5年までとなります。

どの程度まで保証を必要とするのかも、よく問題になります。
入社した後退職まで保証を求める場合もあれば、当初の5年間で本人の人物保証は担保できているとして1回で終わらせる場合もあります。

身元保証人に求めたい保証事項に応じて期間を設定します。

最近の傾向として、以前に比べると親族数が少なくなってきているため、身元保証人を2名揃える事が難しいケースや外国人労働者の場合はどうするのかなども課題となっています。

身元保証人は法律で義務付けられているものではないため、社員が提出を拒む事もできるでしょうし、会社側も提出拒否を理由に採用取り消しとする事もできるでしょう。

身元保証人が用意できない場合の対処も十分に検討しておく必要があるといえます。

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意見書は何を書くのか

作成・変更した就業規則を労働基準監督署に届け出る際に「意見書」を添付します。

これは労働者の過半数代表者より就業規則に関する意見を聴いたとの証明をするもので、意見を記入してもらい、署名か記名押印をしてもらいます。

労働者の過半数代表者より意見を聴くがポイント。

「聞く」ではなく「聴く」という定めになっています。

どういう事かというと、過半数代表者に就業規則の内容に「同意」してもらう事を求めているのではなく、賛成できる点もあれば、反対する点もあるという意見を率直に記入してもらえばよいのです。

中には、法律に違反していないものの、もっと良い労働条件にして欲しいという意見が出てくる場合もあります。

様々な意見が出て、仮に反対されたとしても、これをもって新しい就業規則を直ちに変更する必要はなく、就業規則の効力にも影響はありません。

では、意見書そのものの提出を拒否された場合はどうなるのでしょう。

この時は、使用者側(会社)が過半数代表者に意見を聴き、意見書への記載・署名を求めたものの拒否されたという事実を書面で用意し、就業規則作成(変更)届に添付して届け出すれば、法律上の問題は問われない事となります。

実際に上記のような状況になるとすれば、意見書の提出そのものを拒否するという社員との関係性に、そもそもの問題点があるわけで、就業規則の作成以前に、会社と社員との関係回復・良好な関係へ改善する事が先に行われるべきといえます。

就業規則(変更)届
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.doc
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.pdf

就業規則意見書
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/12.doc
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/12.pdf

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就業規則は全部届け出しなくてもよい?

一般的に、就業規則とは別に、賃金規程・退職金規程・出張旅費規程など、いくつもの規程が用意されています。

これは就業規則に全部の内容を盛り込んで就業規則そのものが分かりにくくならないようにするのと、見直しや修正がしやすいようにするために、通常はそれぞれの内容に応じて分けて定めておきます。

この場合、賃金規程や退職金規程など就業規則内で「別に定める賃金規程により支給する」など、別規程で規定されていると記載をします。

出張旅費規程など、就業規則に直接関連性はないものの全社員に適用されるものについては、個別に規程を設けていきます。
いわゆる細則とされるものになります。

就業規則を届け出る際にどこまで届け出しなければいけないのでしょう。

結論からいくと「すべての労働者に適用される事項、または労働者のすべてに適用される可能性がある事項については就業規則への記載が必要であり、別規程を作成する場合は、その規程も含めて就業規則となる」という点です。

行政通達(S25.1.20基収第3751号、H11.3.31基発第168号)では、旅費に関する一般的規定をつくる場合には、労働基準法第89条第10号により就業規則の中に規定しなければならないとされ、出張旅費に関する規定も就業規則に定めなければならないとされているのです。

全社員に適用されるものは当然のこと、一部の社員についてのみ適用される規程は、例えば福利厚生的なものであっても就業規則と一緒に届け出しなければいけないとなります。

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就業規則の届け出方法、就業規則の有効性

【今日のポイント】

  1. 就業規則の届け出は「事業所単位」が基本
  2. 届け出されていない就業規則は、労働基準法に違反しているが、原則として有効性がある

作成・見直しされた就業規則への労働者代表からの意見書を提出してもらったら、労働基準監督署へ届け出をします。

届け出る際には、次のものを揃えます。

  1. 就業規則作成(変更)届
  2. 労働者代表の意見書
  3. 就業規則(別規程も含む)

就業規則作成(変更)届の様式は決められていませんが、各都道府県労働局にダウンロードサンプルが用意されています。

参考)東京労働局
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.doc

初めて就業規則を作成した際は、全文を添付し届け出します。

見直しによる変更の際は、変更部分の新旧対照表を用意し、これに変更された就業規則を合わせて届け出しても良いですし、変更された就業規則全文を届け出ても構いません。

届け出は「事業所単位」となります。

ここでいう「事業所単位」とは、本社・支店・支社・店舗・営業所など、労働者が実際に就労している現場単位となります。

ただし、これら複数の事業所で同じ就業規則が適用される場合には、本社で一括して届け出を行う事ができます。

本社で一括し届け出を行う場合には、対象となる事業所数の就業規則を用意し、各事業所ごとに労働者代表の意見を聴き意見書を用意する必要があります。

また就業規則の届け出にあたり、届け出されていない就業規則は有効なのかどうか質問が多くされます。

これについては、届け出されていない事そのものは労働基準法に違反しているものとなりますが、労働者代表の意見を聴き、就業規則の周知もされているようであれば、就業規則の効力自体には影響はないとされています。

ただ会社を成長させていくためにはコンプライアンスは基本であり、届け出がされていない状態であれば、すぐにでも対処すべきといえます。

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就業規則の周知は法律で決まっている

【今日のポイント】

  1. 周知する方法は法律で決まっているものから選ぶ
  2. 社員全員が「どこに就業規則があるか」を理解していること

労働基準監督署に届出をした就業規則は、社員全員が確認できるよう「周知」をします。

※周知=広く知らせること

この周知する方法については、会社が独自に決めたものでいいのかというと法律で定められています。

労働基準法施行規則第52条の2

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 

これら3つの方法から会社が周知しやすい方法で行う事となります。

「常時各作業場の見やすい場所」は、社員が自由に確認できる場所に設置しておきます。

総務部のカギのかかる書棚に入ってるとか、上司の机の引き出しにしか入っていないとかは「×」です。

「書面を労働者に交付する」文字通り、印刷した就業規則を手渡しすることになります。

この方法を取る場合は、ナンバリングをし退職時に返還してもらうなど、会社によって管理方法が異なります。

「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し~」は、就業規則をPDF化し社内の共有サーバーやグループウェアで自由にいつでも見られる状態にしておき、かつ、保管場所を社員が把握しているようになっていることになります。

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就業規則と労使協定の関係(1)

【今日のポイント】

  1. 労使協定は締結するだけで良いものと、労働基準監督署に届出が必要なものとがある
  2. 労使協定は事業場すべての労働者に適用されるが、労働協約は締結する労働組合員に適用される

就業規則を作成・見直しすると、定められた就業ルールによっては労使協定が必要なる場合があります。

労使協定とは、文字通り「労働者」と「使用者」との間で就業条件等に関して協議をし、協議した内容を書面にし取り交わしをした約束事です。

ここでの「労働者」は、いわゆる「事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者」になります。

労働組合がある場合は、労働組合と交渉をした内容を書面にします。

労働組合との間で締結されたものは「労働協約」といい、締結された内容が適用される範囲は労働組合の加入員となります。組合員以外には適用にならないのです。

ただし、事業場の労働者の多数を占める労働組合と締結された労働協約は、組合員以外にも適用されることもあります。

労使協定は労働者の過半数代表者と締結しますので、締結された内容は、その事業場全体に適用されるものとなりますが、労働協約は労働組合と締結しますので原則的には組合加入員に適用されるものとなります。

労使協定は、締結する内容を有効にするために取り交わせばいいものと、締結した内容を労働基準監督署に届け出て有効となるものとに分かれます。

以下、届出が必要な労使協定となりますので、労使協定を締結したら忘れずに届け出を行ってください。

  1. 貯蓄金管理に関する協定(労働基準法第18条)
  2. 1年単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の4)
  3. 1か月単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の2)
  4. 1週間単位の非定型変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の5)
  5. 時間外・休日労働に関する協定(労働基準法第36条)
  6. 事業場外労働に関する協定(労働基準法第38条の2)
  7. 裁量労働に関する協定(労働基準法第38条の3、第38条の4)

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就業規則と労使協定の関係(2)

労使協定と労働協約の関係について。

【今日のポイント】

  1. 労使協定は労働基準法を根拠とするもので、労働者と使用者との間の約束事。協定の締結を要件に「労働基準法に違反しない」という免罰(罰を免れる)効果がある。労働基準法の要求する事項に限られる。
  2. 労働協約は労働組合法を根拠とするもので「使用者と労働組合との書面による協定」。労使双方の合意と一方的な変更や協約破棄等は認められない。労働者の要求に関するすべての事項が協約の対象となる。

労使協定は、労働基準法を根拠とするもので、労働者と使用者との間の約束事です。

また労使協定の締結を要件に「労働基準法に違反しない」という免罰(罰を免れる)効果があります。

この免罰効果とはどういった事を指すのでしょう。

企業は、労働基準法に基づいた就業ルールを設け、労務管理を行わなければいけないのですが、1日8時間、1週40時間までしか労働させてはならず1分でも超えたら違反であるなどとなると、実質的に企業経営は成り立っていきません。

とはいえ、労働基準法の制限を超えて労働させると、直ちに法律に違反する事となり、場合によっては罰則が適用されてしまいます。

このような法律に違反する行為と、法律の罰則が適用されるのを逃れる(罰を免れる)ために必要とされるのが「労使協定」になります。

ただし、労使協定には、上記のような免罰効果があるだけで、現実に労働者に具体的な業務の指示をするためには、例えば時間外労働や休日勤務のように、就業規則等の根拠が必要とされます。(S63.1.1基発第1号)

対して労働協約は、労働組合法を根拠とするもので「使用者と労働組合との書面による協定」になります。
労使双方の合意と一方的な変更や協約破棄等は認められません。

労働組合が協約締結の主体となるため、労働者の過半数未満しか加入していない少数組合員の組合であっても協約の締結権があります。

労働協約は、協約を締結した労働組合の組合員のみが拘束されますので、他の労働組合の締結した労働協約は、自分たちの組合員には適用されません。

ただし例外的なものとして「一般的拘束力」というのがあります。

これは1つの事業場で同種の労働者のうち75%以上の労働者に労働協約が適用される事となった場合に、同じ組合に加入していない他の労働者に対しても、自動的に労働協約の締結内容が拡張されて適用となる形をいいます。

この場合、拡張適用されるのは、労働協約のうち「規範的部分」とされる労働者の待遇に関する部分(賃金や労働時間・休日など)で、労働組合と使用者の関係である「債務的部分」には適用されません。

とはいえ、労働基準法を根拠とする協約が締結されると、これは他の労働者にも適用される事となります。

例えば、少数組合が変形労働時間制導入反対と叫んでいても、労働者の過半数が加入している労働組合が変形労働時間制について労働協約を締結すると、そこに加入していない少数組合も、締結された内容に拘束されることになります。

労使協定と労働協約は、効果も拘束力も異なるのです。

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就業規則と労働契約の関係(1)

就業規則と労働契約の関係について。

【今日のポイント】

  1. 就業規則は一方的、労働契約は双方向
  2. 一定の条件を満たしている就業規則の内容は労働契約の内容となる

就業規則は、労働者代表の意見を聴くものの、会社が一方的に作成・見直しをします。

労働者代表が就業規則の内容に反対意見をいったとしても、就業規則が無効になるわけではなく、反対意見に対して就業規則を変更する義務もありません。

現実としては、いくら労働基準法に違反していないとしても、社員の多くが反対する就業規則を一方的に制定しようとすれば、上手く機能するものではありませんが。

対して労働契約は、会社と社員が双方合意した契約になります。

労働者である社員が自身の労務を提供し、会社が提供された労務に対して賃金を支払うという基本的な契約の他、労働時間や休日・退職時のルールなど働く上での様々な内容に対し合意をするものとなります。

では就業規則と労働契約との関係はどうなるのでしょう。

就業ルールを定めていく上で、この就業規則と労働契約との関係を理解しておく必要があります。

ポイントは2つ

  1. 就業規則は一方的に定められるものですが、就業規則に定めてある労働条件が合理的であるかどうか。
  2. 就業規則は労働者にきちんと周知されているか

この2つの要件を満たしていれば、就業規則に定めてある内容=労働契約の内容となり、会社と社員の両方に適用されることとなります。

ここでいう「合理的」は、会社と労働者の権利や義務を比較し、どちらかに不利益になっていないかという事であり、一般的には労働者が不利益になっているケースが多いとされますが、中には会社が不当な義務を負っている場合もあったりします。

また「周知」については、労働基準法で定める方法だけではなく、実態としてどうなっているかで判断がされます。

労使協定と労働協約は、効果も拘束力も異なるのです。

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就業規則と労働契約の関係(2)

就業規則と労働契約の内容が違う場合は、どちらが優先されるのでしょう?

【今日のポイント】

  1. 労働契約の内容が就業規則を下回っている場合は、就業規則が優先される
  2. 労働契約の内容が就業規則を上周っている場合は、労働契約が優先される

一定の要件を満たしている就業規則は、労働者代表が反対したとしても合理性があるものとして、労働契約の内容として成立します。

では個別に会社と締結された労働契約の内容と就業規則とが異なるときは、どちらが優先されるのでしょう。

この場合「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効とする。無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」とされています。(労働契約法12条)

つまり労働契約の内容が就業規則を下回っている場合は、就業規則が優先されることとなります。

逆に、労働契約の内容が就業規則を上周っている場合は、労働契約が優先されることとなります。

さらに就業規則が法令に違反している場合は、違反している部分について無効となり、法令の定めが適用されます。

では労働組合と締結する労働協約との関係はどうなるでしょうか。

労働協約と就業規則の関係性からみれば、就業規則が労働協約に反している場合は、反している部分について無効となり、労働協約が適用されることとなります。

また労働協約の場合は「反している部分が無効」とされている点、上回っているか下回っているかではなく「反している点のみ」の扱いとなるところが異なります。

上回ることも下回ることも無効であると考えることができます。

労働協約が適用されるのは原則として労働組合員になりますので、適用される範囲も異なることとなります。

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社員の定義および適用範囲

第●条(社員の定義および適用範囲)

  1. この規則で社員とは、第●条に定める手続きによって会社に採用された者をいう。
  2. この規則は前項の社員に適用し、次の各号に定める者には適用しない。
    ①パート社員、アルバイトなどの臨時的に雇用される者
    ②嘱託、契約社員などの期間を定めて雇用される者
    ③その他名称の如何に関わらず、前項の社員とは異なる雇用形態により業務に従事する者
  3. 前項各号に定める者については、別に定める就業規則または個別の契約に従うものとする。

【今回のポイント】

  1. 正社員以外にどこまでの雇用形態に就業規則で定めた内容が及ぶのかを具体的にする
  2. 常時10名以上の労働者を使用する場合は、正社員以外に就業規則が適用されないとしたときに、他の雇用形態の労働者に対する就業規則を作成する必要がある

就業規則が適用される範囲を定める重要な条文です。

どこまでの雇用形態まで就業規則が及ぶのかを、具体的に明確に定めておきます。

1項で「~で定める手続きによって会社に採用された者」とありますが、これは会社が定める採用手続きを経ることで雇用されているものであると特定しています。

2項では1項と逆に「適用しない場合」を定めています。

これは本就業規則がどこまで適用され、どこからは適用されないのかを明示するための条文です。

通常は、個別具体的に適用除外となる雇用形態を明示し、さらに、万が一想定している雇用形態以外の雇用が発生する場合に備えて「前項の社員とは異なる雇用形態により業務に従事する者」とし、正社員以外の雇用形態を除くようにします。

この場合、適用除外とされた雇用形態を対象とする就業規則を別に定めておかないと、就業規則が適用されない労働者が残ってしまうため、労働基準法89条に違反することになりますので注意が必要です。

また併せて、就業規則が適用される職種を、技術職・営業職・事務職などと定めておく場合があります。

これは職種によって労働時間の管理方法が異なる場合などに、定める内容との定義付けがしやすく分かりやすくするために行います。

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労働条件の変更

第●条(労働条件の変更)
この規則に定める服務規律および労働条件等については、法律の改正、社会状況の変動及び会社の経営内容・方法の変動等の業務上の必要性により変更することがある。

【今回のポイント】

  1. 一定の要件の下で労働条件の変更があり得る事を確認させる意味がある
  2. 企業規模によっては逆効果になる場合もあるので要検討

本来であれば、労働条件を変更する場合、特に労働者に不利益になる点については合意がなければ認められるものではありません。

一方で、企業が労働契約を解消するための「解雇」を行う事に法律上の制限もされているため、労働契約を解消する=解雇することは、一定の手続きを経ないと行いにくい状況にあるのが現実です。

そこで雇用を確保する代わりに、一定の要件を満たしていれば、労働者との合意によらず就業規則を変更する事で、労働契約内容=労働条件を変更する事を認めるものとしています。
(労働契約法第8条、第10条)

このような条文を定めなくても、上記のように一定の要件の下で就業規則を変更する事ができますが、変更する事があるという点を明確にする意味で、あえて定めるという目的もあります。

ただし、この条文は見方によっては、雇用を確保しているとも解釈できます。

会社の諸事情(企業規模・業種・労働者の公正・就業状況の実態など)により、解雇に関する解釈や有効性が異なるため、必ずしも本条を定める事が良いとは限りません。

企業規模が大きいほど、解雇権濫用に関する措置を厳しく求められる傾向にあるため、このような条文を定めても問題ないと思われます。

企業規模によっては、返って雇用確保と解釈される可能性も否めませんので、本条を定めるかどうかは、各企業の状況に応じて十分に検討する必要があるといえます。

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採用決定時の提出書類

第●条(採用決定時の提出書類 )

  1. 社員として採用された者は、会社が指定する日までに、前条に定める書類とともに、次の各号の書類を提出しなければならない。ただし、選考に際して提出済みの書類を除く。
    ①入社承諾書
    ②誓約書
    ③身元保証書
    ④通勤経路届出書
    ⑤給与の口座振込同意書
    ⑥住民票記載事項証明書(内容は会社指定)
    ⑦本年分源泉徴収票(入社前に所得がある場合)
    ⑧年金手帳、雇用保険被保険者証(所持者のみ)
    ⑧必要により、資格証明書、学業成績証明書、卒業証明書
    ⑨その他会社が必要と認めたもの
  2. 前項の書類のうち会社が認めた場合は、その一部を省略することがある。
  3. 正当な理由なく指定された期間内に第1項各号に定められた書類の提出を怠る場合は、採用を取り消す措置をとることがある。
  4. 在職中に上記提出書類の記載事項で氏名、現住所、家族の状況等に異動があった場合は、変更があった日より2週間以内に所定の様式により会社に届け出なければならない。

【今回のポイント】

  1. 会社が必要と考える書類を提出してもらう
  2. 提出期限は「入社日まで」「○日以内」など具体的に決めておき、提出遅延に対処できるようにする

会社は労務管理上個人の情報を入手する必要があり、入社にあたり様々な書類の提出を求めます。

この時、社員の情報入手以外に、就業条件や服務規律が定められている就業規則に対し包括的に同意を得る形で、労働契約の内容とするために、誓約書の提出を義務付けます。

この誓約書の内容として、採用する者から入手する個人情報の取り扱いや会社の営業情報等に関する守秘義務を果たすことへの同意を得るものとなります。

住民票記載事項証明書は、現住所の把握のために提出してもらいます。
よく「住民票」の提出を求めるケースがありますが、本籍・出生地に関する情報を入手は行わないよう行政指導がされていますので、住民票や戸籍謄本等の提出を求める場合は、必要とする理由を説明した上で提出を求める必要があります。

上記以外の提出書類として、「知的所有権の帰属に関する確認及び譲渡書」「機密保持契約書」「自家用車利用に関する届出」などを提出させる場合もあります。これらは業種や職種に応じて用意をする事となります。

書類の提出時期を「速やかに」としているケースがよくありますが、提出時期は「入社日まで」「○日以内」と具体的に明示をし、提出が遅れがちな社員へ厳しく対処できるようにします。

また入社時に提出された書類の内容に後日変更が生じる場合を考慮し、4項に届出期限を設けて具体的に定めておきます。

最近は会社所定の様式を用意せず、メール文面で連絡をするケースもよく見かけます。

会社が必要とする情報が不足していたり、また届け出ルールが徹底されにくい点を考えると、一定の書式で届け出をすることを義務づけ、しっかりとした管理を行うべきでしょう。

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二重就業の禁止のポイント

第●条(二重就業の禁止)
社員は、他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。ただし、会社の承認を事前に得た場合はこの限りではない。

【今回のポイント】

  1. 二重就業禁止は法律で制限されているものではない
  2. 副業の内容によっては禁止規定が有効になる場合がある。内緒にせずにまずは相談してみては。

多くの企業では、就業規則に二重就業を禁止する、いわゆる副業禁止規定を定めています。

副業禁止は、労働基準法で制限されているものではなく、会社のルールとして定めるものになります。

就業規則は会社のルールを定めるものですから、副業を禁止するというルールが定められたらこれに違反はできません。

とはいえ原則として就業時のルールを定めるものですので、退社後や休日の個人行動まで拘束されるかとなると、そこまでの拘束力はないでしょう。

副業していた事が会社に発覚したからといって、直ちに解雇処分等を行うと無効となる場合もあります。

しかし副業している事が原因で、遅刻や欠勤など勤務態度に影響が出たり、業績が悪くなったり、果ては会社に損害を与える事となった場合には職務専念義務違反にもなり得ます。

副業禁止が有効とされた判例

  • 副業の影響で遅刻や欠勤が多くなった
  • 競合する他社でアルバイトしていた
  • 会社固有の技術やノウハウが漏えいされると判断された
  • 会社の名前や名刺を使って副業を行っていた
  • 会社の品位を落とすような風俗関連やマルチビジネスを行っていた

リーマンショック以降、昇給や賞与支給が思うようにならない企業では副業禁止を廃止し、逆に認めるケースもありました。

ワークシェアリングを導入している会社などもいきなり副業を禁止せず、通常の業務に支障が生じない範囲での副業を認めたりもしています。

副業を禁止している会社でも事情を説明すれば認める場合も多くありますので、内緒で副業せず、まずは相談してみるのも一考でしょう。

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その他の記載例はコチラから

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