人事・労務の知恵袋

人事・労務 新卒内定者の取り扱い

今回の震災被害により、当初予定していた新卒採用が難しくなる企業も出てくると予想されます。

4月入社を控えた方も採用取り消しとなるケースも出てくる可能性があり、就活真っ最中の新卒採用も内定取り消しとなるケースが出てこないともいえません。

「内定」の扱いは法律で定義されているものではなく、解雇のように労働基準法で厳格に制限されているわけではありません。

しかし最高裁の判例では、採用内定はたとえ文書などを交わさなくとも労働契約が成立しているとみなされ、契約解除が認められるのは「客観的に合理的と認められ、社会通念の上で相当と是認できる場合」にかぎるとされています。

つまり内定者に対する法律上の取り扱いは、「労働契約」として契約は成立しているものの、入社前であるため、会社の就業規則は適用されない形となります。

会社が正式に内定を出している場合(口頭・書面に関わらず)は「労働契約」が成立してお り、原則として会社側からの一方的な内定取り消しはできないのです。


例外として扱われるのは、次のような合理的な理由がある場合とされています。

■「卒業したら採用する」「この資格が取れれば採用する」といった条件付きの内定だったが、その条件を満たすことができなかった時

■採用内定取り消し事由を約束しており、その事由が発生した場合(例えば健康異常の発生等)

■重大な不適格事由が発生した場合(犯罪行為による逮捕、起訴等)


今回の震災により予定していた大学の卒業ができなかった、というような場合は、条件付き内定に該当する可能性がありますが、卒業できなかった理由によっては判断が分かれるところともいえます。

元々、経営悪化や業績不振を理由に内定を取り消すのは難しいとされており、今回の震災の影響による会社の業績悪化や規模の縮小による内定取り消しは、会社側の一方的な「労働契約の解除」と判断され、なんらかの金銭的補償が必要とされると思われます。


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投稿日:2011/03/18
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