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年金・保険 主婦の年金救済どこまで 特例に「不公平」批判

日本経済新聞
主婦の年金未納をめぐる問題が広がってきた。焦点は「第3号」といわれるサラリーマンの妻。
夫の転職などで対象からはずれても変更を忘れ「保険料未納」となる例が続出。
厚生労働省は未納者を救済する特例を今年1月に始めたが、逆にこれが不公平とする批判が噴き出し、いったん決めた措置を政府が凍結する事態に。
迷走の余波は最大100万人に及ぶ恐れがある。

夫の転職などで第3号被保険者でなくなった場合、妻は市町村に自分で年金区分の変更を届け出る義務がある。
厚労省によると第3号は約1千万人。
変更を忘れている人は最大で100万人に上るとされる。納付を忘れると、本来保険料を払うべき期間が空白の未納期間となる。

年金受給には加入期間が25年必要。
満たさないと将来の年金を減額されたり、無年金になったりする。
厚労省は昨年12月、旧社会保険庁の周知不足も一因として、届け出を忘れた期間を納付済みとみなす特例を正式に決めた。
支払いを求めるのは直近2年分のみとした。

ただ国会などで「特例は著しく不公平」との声が出始めた。
たとえば届け出をせず10年未納だった専業主婦Aと、きちんと届け出て10年保険料を納めた専業主婦B。国民年金保険料が1万5千円とすればAは2年分の36万円、Bは180万円の保険料負担となる。
将来受け取れる年金額はどちらも同じだ。

1月末までに全国の年金事務所に特例適用の申請に訪れた人は2331人。
その後も申請者は増えているとみられるが、特例の凍結によって手続きは棚上げされ、年金受取額の確定なども先送りされる。

28日には総務省が解決に向けた私案を提出。
時限立法によって(1)2年以上前の過去の未納分を納付できるようにする「特例納付」を実施 (2)特例納付ができないなら未納期間は「特例カラ期間」として年金を減額する――との対策を示した。
これが実現すれば、年金を支払う人の間での不公平は是正できる。だが実施には年金関連法の改正が必要だ。

専業主婦の年金未納問題の根本には旧社保庁の業務のずさんさがある。
「第3号被保険者」制度を導入したのは1986年。変更届を忘れる人が多数いたにもかかわらず、旧社保庁は十分に納付を求めてこなかった。

「第3号」では、自分で保険料を支払わずに将来の年金を受け取れる仕組みなので、年金制度への意識も高まりにくい。働く女性が増える中で、専業主婦を中心にした昔ながらの制度運営が行き詰まりつつあるともいえそうだ。
(以上、記事より)


厚生年金の第3号被保険者、いわゆるサラリーマンの配偶者の扱いについては、以前より不公平感があるとされています。

実際に、自営業者等が加入する国民年金では、配偶者も保険料を納付しなければならず、第3号被保険者のように保険料を納付せずに将来年金が受給できるものではありません。

厚生年金は第3号被保険者制度導入に伴い届出期間を設けて対応したにも関わらず、未だに届出がされていないのも多くあります。

日常的には、配偶者の転職時に届け出をせずにそのままになっているケースでしょう。
企業側も退職者に対し、積極的に説明を行う事も少ないと思われます。

制度変更に伴う届出忘れをどこまで救済するかの議論と、個人的事情により届出されていないケースを合わせて議論する事には疑問を感じ、救済措置を取るにしても、主旨の違いにより救済の有無を議論すべきではないでしょうか。

年金に対する個々の自己責任が薄いように感じます。



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投稿日:2011/03/01
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