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年金・保険 基礎年金、国庫負担維持の財源見えず 11年度2.5兆円必要

日本経済新聞
2011年度予算編成で、基礎年金の支給額の50%分を国が負担できるかどうかが焦点になってきた。
現在の基礎年金の国庫負担の割合は税金のほか、財政投融資特別会計の積立金を特例で活用して50%となっているが、来年度以降は特会の積立金が枯渇する。
政府内では負担割合を08年度と同じ36.5%に引き下げる案も浮上している。

基礎年金の国庫負担の割合を来年度予算で下げても、即座に保険料や年金支給額が変わるわけではない。だが、中長期的には年金財政の悪化に結びつく可能性がある。
自公政権時代から歴代政権が税制と社会保障の一体的な改革論議を先送りしてきたツケが表面化した格好だ。

国庫負担のあり方について財務・厚生労働両省が週明けから本格的な調整に入る。
特会を使った特例的な国の負担を税に置き換えるには、2.5兆円の新規財源が必要で、この手当てが予算編成の最大の焦点となる。

主な特別会計の積立金2009年度末(取り崩しが難しい理由)
年  金    127.8兆円    将来の年金支払いへの備え
労働保険     14兆円    失業給付などの備え。元手が保険料
財政投融資    4.9兆円    10年度予算で4.8兆円をすでに活用
国債整理基金    12.5兆円    国債償還への備え
外国為替資金    20.6兆円    為替差損などへの備え

基礎年金は給付の半分を税金、半分を保険料で賄うことが想定されている。
04年に年金制度が改正され、09年度までに税による負担割合を50%に引き上げること(2分の1国庫負担)が決まった。

引き上げの際には「安定的な税財源の確保」が前提だったが、税制改正を巡る議論は停滞。
09、10年度は税による負担割合を36.5%にとどめ、それ以外の分は財投特会の積立金を活用し、広義の国の負担を50%にしてつじつまを合わせてきた。

11年度予算編成では09、10年度予算で活用したつじつま合わせは困難。
財投特会の積立金は足元で1000億円とほぼ枯渇。
外国為替資金特会と国債整理基金特会の積立金は、年金のために使うのは難しいと財務省などは判断している。

厚労省は09年度末で約128兆円に達している年金積立金を流用し、将来の税負担分を事実上、先食いする形にして、来年度予算に限って見かけの国庫負担が50%になるような案を検討中だ。
ただ、財務省は「会計間の不透明な資金の付け替えにつながる」として否定的だ。

抜本的な税制改正論議が棚上げされる中で、税による負担割合を50%に引き上げるのは絶望的。
そこで国の負担割合を07~08年度の状態に戻し、税負担だけの割合である36.5%まで引き下げる案が課題に上っている。
09、10年度は埋蔵金で国の負担を50%にするよう取り繕ったが、11年度は「今の税負担でできる範囲」に全体を合わせる考え方だ。

ただ、埋蔵金を活用するにせよ、国庫負担の割合を引き下げるにせよ、法律上の手当てが必要とみられている。
参院で野党が多数を占める逆転国会で、菅政権は極めて難しい判断を迫られる。
(以上、記事より)


基礎年金の財源維持が難しくなっているようです。
これは2004年の法改正時から危惧されていた事です。

公的年金・医療制度は、政党の恣意的な思惑で決めるものではなく、国の将来に向けた施策として政党の枠を超えて検討しなくては根本的な破綻を招きかねません。
対処療法的な施策は限界にきているといえます。

国民皆保険・皆年金の制度としてスタートした制度です。
保険料負担の不公平感をなくさない限り、今後の制度維持は難しいのかもしれません。

投稿日:2010/11/22
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