人事・労務の知恵袋

人事・労務 退職理由と失業手当

会社を退職すると、雇用保険への加入期間・退職理由により、失業手当の給付開始時期ともらえる期間が異なります。

自己都合で退職した場合は、失業手当の給付開始までの期間(=待期期間)は90日とされますが、会社都合により退職となった場合の待期期間は7日となります。

会社都合で退職となるケース、つまり会社のリストラや倒産でやむなく退職した人は、「特定受給資格者」と呼ばれ、雇用保険の加入期間と退職したときの年令が考慮され、一般の離職者より、失業手当の給付日数が優遇されています。

この特定受給資格者と認められるのは、大きく分けて以下の2つのケースにあてはまる方が対象になります。

<倒産などにより退職した人>
(1)倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)により退職した者

(2)事業所の雇用状況が大幅に変わるため(1ヶ月に30人以上の離職を予定)の届出がされ たため退職した者、またはその事業主に雇用される従業員のうち、雇用保険に加入している従業員の3分の1を超える者が退職したため自身も退職した者

(3)事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い退職した者

(4)事業所の移転により、通勤することが困難となったため退職した者


<解雇などにより退職した人>
(1)解雇・リストラ等により退職した者

(2)入社時に示された労働条件が事実と著しく違うため退職した者

(3)退職金以外の給与額の3分の1を超える分が、給与支給日までに支払われなかった月が2ヶ月以上続いたことにより退職した者

(4)給与額が85%未満になったため退職した者、ただし給与引き下げが想定できなかったときに限る

(5)退職の直前3ヶ月間の残業時間が毎月45時間を超えていたとき

(6)行政機関から指摘されたにもかかわらず、危険または健康障害を防止するための措置を講じなかったため退職した者

(7)従業員の配置転換に際して、継続して働けるよう配慮しなかったため退職した者(未経験の職種に配置転換になったのに、経験者と同じノルマや技能を要求されたときなど)

(8)雇用契約を何度も更新し3年以上継続して雇用されている者の雇用契約が更新されないとなり退職した場合

(9)1年以内の雇用契約を締結する際に、その後の雇用契約が更新されるとされていたにも関わらず、契約更新がされず退職した者

(10)上司、同僚等からのハラスメントを理由に退職した者、または事業主が職場でのセクハラを把握していながら対処しなかったことが理由で退職した者

(11)直接または間接的に退職勧奨を受けたことで退職した者(早期退職優遇制度等に自ら応募して離職した場合は該当しない)

(12)会社都合による休業が継続3ヶ月以上となったことにより退職した者

(13)事業所の業務が法令に違反したため退職した者


賃金低下や残業時間が多い場合なども会社都合とされます。

またセクハラ・パワハラなど具体的な証明(HWでは配置転換辞令や雇用契約書等を確認資料としています)をしにくいものも会社都合とされるのです。

この影響からか、退職時には自己都合退職としていながら、失業手当の受給手続きを行うと、一転して会社都合退職ではないかと主張してくるケースが実際に増えています。

会社側としては本人と話し合い納得した上で退職となった場合でも、その後に退職理由が異なると申し立てしてくるのです。

従業員の退職時には離職票の理由について十分に説明をした上で手続きを行うよう、注意が必要です。


特定受給資格者者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

投稿日:2011/11/12
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