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就業規則の記載例88連発!

就業規則を見直し続けなければいけない理由

自分の会社の就業規則、見た事ありますか?

そもそも就業規則とは何なのでしょう。

労働基準法では、従業員10人以上になったら就業規則を作成し届け出なければならないとされています。

就業規則には、必ず記載されなければならない内容も決められています。

でも法律で決められているから用意するだけでいいものでしょうか。

就業規則は、会社のルールブックです。

会社と社員との間で、働く上で守らなければならない事、やってはいけない事、などのルールを明らかにしたものです。

守るべき事だけではなく、会社の考え・方針や、会社として積極的にやって欲しい事なども、しっかり伝えていくものとして上手く活用できると考えています。

会社はなま物ですから、世の中の動向に合わせて様々に変化していきます。

関係する法律も改正されたり、行政通達が出されたり、裁判の判例により解釈が変わってきたりします。

ルールブックである就業規則も、会社の方針や施策・法改正や解釈の変更に合わせて変わっていくべきものであり、変えていかなくてはいけないのです。

企業の立場からみれば、労働法令は労働者保護の立場にたっていますので、会社を守ってくれるものではありません。

しかし法律を理解し自社の運用に合わせていかないと、いつ何時、社員から訴えられるか分からないという時代にもなっているのです。

既成のもので取りあえず用意して届け出しておく、ひな型を利用して取りあえず用意しておく、では会社を守ることは決してできません。

働く社員も納得できる就業規則でないと、結局は会社を守ることもできないのです。

ぜひ会社のルールブックである就業規則を上手く活用し、会社を成長させ、社員も元気に活躍できる仕組み作りをしてほしいと考えています。

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労働トラブルが増え、就業規則の役割が重要になってきている

●スペシャリスト、即戦力というものの。。。

就業環境での特徴として、雇用が多様化し個別化している傾向があります。

会社としてみれば、社内事情を理解しマネジメントが得意なゼネラリストは欲しいものの、各分野で活躍して欲しいスペシャリストも求めています。
それも即戦力として期待したいのです。

現実には、即戦力として活躍してくれる社員はめったになく、多くは実力を発揮してくれるまで一定期間を必要とします。

一定期間を必要とする場合、その間に、会社の期待度にもブレが出てきますし、社員の側も「こんなはずじゃなかった」「自分はもっと活躍できるはず」と不満が溜まってくることがあります。

こういった人材に会社が対応を誤ると、さまざまな問題を引き起こす危険性をはらんでいるのです。

●非正規社員の比率が高い

雇用形態が多様化する=正社員以外に、契約社員やアルバイト・パートの活用が増えてきます。

また最近では、育児休業後に短時間社員として勤務するなど、雇用形態以外にも働き方そのものが多様化してきています。

会社は人件費を調整する方法の一つとして、正社員以外の期間雇用者を活用し、業務の繁閑に応じて対応人数を調整したり、業務内容に応じて必要スキルを保有している人材を一定期間活用したりします。

期間雇用者の中には、正社員と同じか、または正社員以上に能力もあり実際に働いているケースもあります。
そうなると、期間雇用者であるという雇用の不安を抱えつつ、一方で正社員と同じ仕事をしているのに待遇に差があると、不満を抱える者が出てきたりします。

雇用形態の多様化が進むと、会社側としては、会社固有のスキルや知識の継承ができにくくなり、職場に一体感がなくなったり、社員の流動化が進み採用コストや教育コストがかさむという問題も生じてきます。

●企業内組合の現象、ユニオン加入の急激な増加

労働組合の推定組織率は、H22年度調査で18.5%と、前年横ばい、329組合減少と減少傾向が続いています。

一方パートタイム労働者の組合員数は年々増え続け、H22年度調査では72万人が加入し、組織率も5.6%となっています。

対して、労働者個人が自由に加盟できる、いわゆる「ユニオン」は増加傾向にあり、様々な業種・業態で組合が結成されています。

これらの動きから、従来のように会社と労働組合が団体交渉によって労働条件を決定するという、集団的労使関係のシステムが機能しなくなってきており、その結果として、労働者個人が、自身で様々な知識を得て、場合によってはユニオンへ加入し、果ては労働基準監督署へ訴え出ることにより、自分の労働条件を正常化・正当化しようとしているといえます。

これにプラスして、個別労働関係紛争解決促進法や労働審判法などを施行し、行政側も労働トラブル解決の場を整備し、スピーディーに解決しようとしています。

実際に行政の紛争解決手段の利用は増えており、H22年度の個別労働紛争相談件数で24万件、あっせん申請で6400件、労働審判は3400件の申し立てが行われています。

これらいずれの場面でも就業規則が必要となり、また就業規則の内容が問われているのです。

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実は会社が労働トラブルが起きるようにしていることもある

いろいろな考え方・価値観をもった社員、正社員・契約社員・パートアルバイトと様々な雇用形態の社員がいる職場では、通り一遍の対処だけでは労働トラブルを防ぐことはできません。

また労働各法に関する多くの情報や解説などが、インターネット上で、いつでもどこでも誰でも収集をし、自身に都合よく解釈し、会社に対して訴えをしてくるようになりました。

従来の考え方・価値観では、労働トラブルへの対処はできなくなっています。

とは言うものの、労働トラブルの実際では「言った・言わない」「聞いた・聞いてない」「労働条件がどうなっているのかさっぱり分からない」「就業規則にあることと実際とはまったく違っている」といった話が多いのです。

つまり、労働条件や就業ルールが適当だったり、明確になってなかったり、就業規則が手元にあっても見直しがされてなかったり、あっても社員に見せれらないものだったりという状態がために、労働トラブルが起きているのです。

社員が一方的にトラブルを起こしていると思いがちですが、会社がトラブルが起きるような状況にしているともいえるのです。

では会社はどう対処していくべきでしょう。

まずは就業規則を用意する、それも巷に出回っている「ひな型」をそのまま使うのではなく、自社の価値観や考え方を盛り込み、就業ルールを分かりやすく明確にしたものを作成する必要があります。

就業規則は法律で決まっている内容を盛り込まなくてはいけませんが、それ以外に制限があるものではありません。

堅苦しい表現では社員に伝わらないと感じた場合は、分かりやすい表現に置き換えてみたり、「です・ます調」の表現でも構わないです。

何度も言いますが、就業規則は会社のルールブックです。

「社員にはできる限り見せたくない」という就業規則では、労働トラブルが増えることはあっても、残念ながら減ることはないのです。

会社では様々な働き方をする社員を組織し、一定の秩序を保って運営し発展していかなくてはいけません。

中小企業だからこそ、社員の働き方・働く目的を明確にし、働く上でのルールを整備していかなくてはいけないのです。

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法改正や行政通達の動きに要注意!

労働関連の法律は、世の中の動きに合わせ改正が行われます。

法律が改正されると、それまで就業規則で有効となっていた内容が今後は適用されなくなったり、知らない間に、就業規則の内容よりも法律が有利になってしまっている事があります。

法律の主旨と企業の就業ルールにズレがあったりすると、これも労働トラブルの火種になりかねません。

また重要な裁判例が出てきたときや、各法律の具体的な運用方法の行政通達も、自社の就業規則で定めてあった内容にズレが出てくる事もありますので、注意が必要です。

「とりあえず1度作っておいたから」では、現在の労働トラブルには対応できません。

新しい法律や行政通達に常に対応できているよう、定期的なメンテナンスをしなくてはならないのです。

近年の労働関連各法の法改正は、時代の流れや必要性に応じて、以下の要素・主旨に沿っていると考えます。

  1. ワークライフバランスへの対応(=柔軟な働き方)
    育児・介護休業法、労働基準法、労働契約法
  2. 雇用の確保、雇用機会の均等
    男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、労働者派遣法、労働契約法、労働基準法
  3. 働く人の心の健康への配慮
    労働安全衛生法、労働基準法

2012年は、育児・介護休業法、労働契約法、労働者派遣法、労働安全衛生法に動きがありますので、改正事項を十分に把握し、自社の就業ルールと法律との折り合いをつけていく必要があります。

育児・介護休業法
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/dl/tp0701-1e.pdf

労働契約法
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025bjf.html

労働者派遣法
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf

労働安全衛生法
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001slsj.html

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就業規則の役割と機能

就業規則を見てみると、就業条件や就業上のルールが定められています。

会社によって内容は異なるものの、試用期間・就業時間・休憩休日・休暇・賃金に関すること(賃金規程として別になっているのがほとんど)・退職に関すること・退職金の支給・服務規律・健康診断など安全衛生に関すること・表彰や制裁・退職や解雇・災害保障など、会社の人事労務管理に関する内容ばかりです。

つまり就業規則は「人事制度」を文書として表したものなのです。

会社の人事制度は、常に変化しています。変化に合わせて内容を見直さなければいけませんし、関係法律が改正されれば、これも対応しなければいけません。

このように常に見直しを繰り返している就業規則は、会社で働く上で守るべきルールを示したものであり「会社のルールブック」として利用されるべきものです。

最低限必要事項をまとめ条文立てて用意しておけばいいやではなく、トラブルの種が生まれないよう、実際の運用に合ったルールブックを用意することが、最低限求められるものとなります。

人事・労務管理を上手く社員にアピールし、社員を育て会社が成長しているところでは、就業規則=ルールブックを型通りに用意するのではなく、様々な場面で活用し、また積極的に活用しています。

就業規則には2つの側面があります。

ひとつは文字通りルールブックとして、法律に照らしながら、いかに自社にあったルールを明文化し、社員に理解してもらうか。

もうひとつは人事・労務管理制度をどう組み立て、就業規則を人材マネジメントツールとしてどう活かしていくべきか。

人事制度というと、人事考課・賃金制度・定年と退職金の仕組みを想像しがちですが、これらの仕組みを考えていく上では、労働関連の法律を根底に、会社の制度を考えていかなくてはいけません。

また考えられた制度は、文書化し社員に理解してもらい、実際に運用されなければ意味がなく「絵に描いた餅」で終わってしまうのです。

就業規則は、社員が働く上でのルールを理解するためのルールブックでもあり、社員を積極的に活かしていくためのマネジメントツールの役割も果たしているといえます。

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就業規則が労務リスクから会社を守ってくれる

企業には、働く人がいる以上、多かれ少なかれ様々なリスクを抱えています。

このリスクを労務リスクといい、主に以下の5つに分かれると捉えています。

1)人的リスク
社員が起こす不祥事・違反、内部情報の漏えい、人材の流出、モチベーションダウンによる企業力低下

2)費用発生リスク
未払い賃金、労働・社会保険未加入による保険料徴収

3)訴訟リスク
ハラスメントや過労死による損害賠償請求、労災隠しの告発・送検

4)行政処分リスク
許認可の取り消し、一定期間の業務停止命令

5)風評被害リスク
法令違反による企業名公表や、インターネット上での書き込みなどによる信用失墜・イメージダウン

就業規則は、これらの労務リスクを抑制し管理する機能を担っています。

就業規則が会社のルールブックだからといって、何でも好きに定めても良いというものではなく、関係法令に則って作成することが求められます。

関係法令に基づいてルールを作成し、そのルールが会社の運営上にどのような影響を与えるのかを常に考える=コンプライアンスリスクへ対応していくことにつながっていきます。

ルールブックの機能としては、社員に守って欲しい事・やってはいけない事を明確にし、社員に周知していくというのがあります。

これにより社員の不祥事を未然に防ぐ、ルール違反をした際には明確で客観的な処分をすることにつながっていきます。

一方で、ルールブックである以上は、会社も就業規則を守らなければいけません。

関係法令に基づいて定められた就業規則を用意するという事は、会社に法令順守を強いているといえ、長時間労働や未払い残業代、ハラスメント行為などを防止する意味が含まれています。

このように就業規則は、会社の諸事情や就業環境を十分に考慮した上で準備がされていれば、会社が抱える労務リスクを直前のところで防いでくれるものといえます。

就業規則が持つ役割と機能をしっかり理解し、自社の就業規則をより良く・上手く活用できるものとして整備をしていただきたいと思っています。

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社員が10人になったら就業規則は必要

労働基準法第89条には「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。」とあります。

これは就業規則を作成もしなければならないし、届け出もしていなければならないという事です。

就業規則を作成はしているものの届け出していなければ、やはり労働基準法違反になります。

では、この「常時10人以上」はどういった状況を表すのでしょう。

まず人数には、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトなども含まれます。

派遣社員は、派遣元企業の労働者として数えますので、派遣先では労働者数に含みません。

「常時」の状態については、一時的に10人未満となった場合でも、採用募集を行い補充を考えているような場合は「常時10人以上」とします。

逆に、普段は10人未満であるものの、業務量の増加により一時的に従業員を補充し10人以上の状態であったとしても「常時10人以上」であるとはしません。

また就業規則を準備する場合「事業所単位」で作成することとされます。

この事業所単位とは「1企業=1事業所」という事ではなく、本社以外に働く場所がある場合には、例えば支店・店舗・工場など各々の場所単位で作成するものとされます。

ただ本社以外に複数の就労場所があった場合でも、本社と同じ就業規則が適用されるというときは、本社と一括して届け出を行うという方法もあります。

さて「常時10人以上」の労働者がいない場合は、就業規則は本当に必要ないのでしょうか。

この場合、就業規則が作成されていなくても、労働基準法上での違反を問われることにはなりません。

社員ごとに労働・雇用契約書を取り交わしているし、契約書内に就業条件が定めてあり内容にも問題がないのであれば、確かに事は足りるともいえます。

ただ労働・雇用契約書だけでは会社の姿勢やルールを伝えきれるものではありません。

将来に向けて会社を成長させたい、社員に持てる力を発揮してもらいたいと考えているのであれば、今は10人未満の社員であったとしても、就業規則の本来持つ役割と機能を活かし、会社のルールブックとして活用していくためにも、会社の姿勢やルールを示した就業規則を準備していくべきではないでしょうか。

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就業規則には必ず書かなければならないものがある

就業規則を作成するとき、あるいは今あるものを見直すときに、就業規則に必ず定められていなければならない事項が書かれているか、また書かれている内容に問題はないか確認をします。

これは、必ず記載されていなければならないもの=絶対的記載事項と、会社がルールを設けた場合には記載しなければならないもの=相対的記載事項とに分かれます。

【絶対的記載事項】
1.労働時間に関する事項
・始業、終業の時刻
・休憩時間
・休日
・休暇(年次有給休暇、育児休業、生理休暇など)
・交替勤務がある場合は交替勤務のルール?

2.賃金に関する事項
・賃金(基本給や各手当)の決定方法、計算方法
・賃金の支払い方法
・賃金の締切日と支払日
・昇給について(時期、方法など)

3.退職に関する事項
・退職、解雇、定年となる理由
・退職、解雇、定年の際の手続きなど

【相対的記載事項】
1.退職金に関する事項
・支給される対象者
・金額の決定方法、計算方法
・支払方法
・支払時期

2.賞与に関する事項
・従業員の食費、作業用品その他の負担に関する事項
・安全・衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償と業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰と制裁の種類、それぞれの事由に関する事項
・その他従業員の全てに適用される事項?

絶対的記載事項は、その名の通り、必ず就業規則に定めておかなければいけません。

絶対的記載事項とされる内容は、どの時間働けばいいのか、いつ休みがとれるのか、給与はいつ・どんな形で支払われるのかという、具体的に決まっていないと社員が働く上で(労務を提供する上で)困ってしまうものを指しています。

同様に、退職するときや解雇となったときも、どういった方法で退職の手続きをすればいいのか、解雇となる理由にはどういったものがあるのかなどが決まっていないと、会社と社員との雇用契約を解除する際にトラブルになりかねませんので、絶対的記載事項に含まれています。

対して、相対的記載事項は、会社のルールとして定めるのであれば就業規則にも記載をしなければならないものとされています。
制度がないのであれば、記載する必要はありません。

例えば、退職に関する事項は、労働者を雇用している以上は必ず起こることですので、どういう手続きをするのか、退職となる理由にはどういうものがあるのかを定めておく必要があります。

一方で退職金を支給するかどうかは会社によって異なりますので、退職金を支給するのであれば、どういう場合に支給されるのか、支給される額はどの程度なのか、どういう形で支給されるのかなどをルール化しておかないと、個人事情に左右されたものとなってしまいます。

また退職金は制度化された場合に「賃金債権」となりますので、トラブルにならないためにも就業規則にルールを定めておく必要があります。

元々、労働基準法は昭和22年に施行された法律で、終戦後早い段階で施行された法律です。

古くから徒弟制度などが一般的であった日本では働く側の権利が圧倒的に弱く、中間搾取なども当たり前に行われていたところを、法律で労働者を守ろうという背景からスタートしていますので、労働基準法は労働者保護の立場にあるものといえます。

最後に、就業規則には、上記の絶対的記載事項・相対的記載事項の他に、任意的記載事項というものがあります。

これはどういった内容を定めても構わないもので、第1章(総則)として社是や社訓・就業規則の目的を定めているものが該当します。

総則以外にも、会社独自のルールがある場合はそれを記載する、他にも小売業など接客がメインの業種では、接客時の心構えやマナーなどをあえて就業規則に記載したりすることもあります。

就業規則を自社に合ったものとする、ルールブックとして活かすには、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項のどの項目に該当するものが定められているのか、制限されている項目に漏れや不十分なところはないか、会社のルールが明確になっているか、などを常に考えながら行っていく必要があります。

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就業規則は会社も拘束するものである

就業規則の作成・届出義務は会社にあります。

法律で定められた内容は当然の事ですが、法律で定められていない内容をルール化するには、就業規則に定める事で有効となります。

就業規則に定めた就業条件は社員だけを拘束するものではなく、会社も拘束されるものです。

つまり就業規則に定められていない事は、原則としてやってはいけない事になります。

これは前述の絶対的記載事項・相対的記載事項のいずれも当てはまります。

例えば、始業・終業時刻として、9:00~18:00(休憩は60分)と定められていた場合、18時以降は働かせてはいけません。また休憩も60分与えなければならないのです。

そうはいっても18時以降も仕事をしなければいけない場合もありますし、就業時間を変更する必要がある場合もあります。

そういう時のために、36(サブロク)協定を締結し労働基準監督署へ届け出することで、一定の制限の下で残業をするものとなります。

同様に就業時間を変更する必要が出る時に備えて、就業規則内に「業務上の都合により、就業時間を変更し、始業時間を繰り上げ、または繰り下げる場合がある~」などと定めておきます。

解雇なども同様です。

就業規則に解雇や懲戒処分に関する定めがなければ、たとえ社員の取った行動が原因で会社に著しい損害を与えたとしても、懲戒処分とする事もできず、果ては解雇理由に該当するとしても正当な理由ではないと解雇もできないとなります。

就業規則を定めた会社も拘束される、社員へは会社のルールを示し説明責任を果たすという点において、就業規則は中小的すぎず、細かすぎず、適当な頃合いをもって定めておく必要があるといえます。

これから就業規則を作成する、または今の就業規則を見直すという場合に、自社の就業規則が効果があり有効なものとしていくためにも、今後お伝えしていく「条文別記載例とポイント」をぜひ参考にしてください。

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就業規則の手続きプロセスを把握する

就業規則は、従業員数が常時10名以上になったら作成し、労働基準監督署へ届け出なければいけません。

これは労働基準法第89条に定められてあり、企業に義務を課すものです。

具体的には、以下の流れで行っていきます。

1)就業規則案を会社で作成する

  • 現行の課題を確認
  • 作成スケジュールを検討
  • 労働条件の異なる社員を分類し定義付けする
  • 企業の経営理念や経営方針から就業規則に盛り込む内容を確認
  • 現行の労働条件が各法令に違反していないかチェック

2)過半数組合または労働者の過半数代表者への説明・意見聴取

  • 労働者の過半数が所属する労働組合がある場合は、その労働組合へ説明し意見聴取
  • 労働者の過半数が所属する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者へ説明し意見徴収

3)労働基準監督署へ届け出

  • 上記の意見を意見書へ記入し署名、または記名押印をしてもらう
  • 就業規則届(変更届)を用意し届け出する就業規則と合わせて提出

4)決められた方法で社員に周知する

次のいずれかで周知

  • 常時見やすい場所に掲示するか、常備しておきいつでも見られるようにする
  • 就業規則そのものを配布する
  • グループウェアや共有サーバー等に就業規則データを保管しておき、いつでも内容を確認できる状態にしておく

次回は、上記の流れに沿ってポイントを説明していきます。

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労働者代表の選出方法

就業規則の届け出にあたり、必ず聞かれるのが「労働者代表」をどうやって選べばいいのか?です。

社内に労働組合があるケースというのは限られており、多くの企業では社員の中から労働者代表を選出しなければいけません。

まず労働者代表になるには条件があります。

ひとつは、労働基準法41条2号に該当する「管理監督者」ではないこと。

これは労働基準法でいうところの管理監督者であり、役職名で判断するものではありませんが、例えば課長職以上は管理職としている=管理監督者であると会社で定めている場合には、課長職以上の社員を除いて代表者を選出することとなります。

2つめは、就業規則の作成・変更にあたり会社から意見を聴かれる者を選ぶとした上で、それぞれの方法により選出される必要があります。

そうはいっても、社員から自主的に労働者代表を選ぶという事はやりにくいため、会社が社員から依頼された事を明らかにした上で、代表選出の方法や具体的な手続きを代わって行うのは可能です。

多くの会社では、会社側が労働者に代わって選出手続きを行っています。

選出にあたり、下記の方法では、代表が選出されても無効とされますので注意が必要です。

1)労働者を代表する者を使用者が一方的に指名している場合
2)親睦会の代表者が自動的に労働者代表となっている場合
3)一定の役職者が自動的に労働者代表となることとされている場合
4)一定の範囲の役職者が互選により労働者代表を選出している場合

では具体的にどのような方法で労働者代表を選出するのでしょうか。

一例として、以下の方法もあります。

  • 社員に労働者代表を選出する旨を通知し、自薦・他薦を問う
  • 自薦または他薦された者に対して、代表となって欲しいかどうかを期限を設けて賛成・反対の意思表示をしてもらう
  • 過半数から賛成を受けたものを労働者代表とし選出された結果を通知する

ちなみに選出方法について、行政通達では「労働者の話し合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的手続が該当する」とされています。

さて代表選出の方法は理解できたとして、過半数となる「母数」はどうやって決めるのでしょう。

この母数の定義は法律で明確に定められてなく、行政解釈(S46.1.18基収6206号、S63.3.14基発150号、H11.3.31基発168号)では、労働基準法第9条の定義によるのが妥当とされています。

労働基準法第9条「業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」である、管理職を含め、ほぼすべての従業員が対象になるというわけです。

つまり上述の通り、管理監督者は過半数代表者には選出できませんが、全労働者数には含みます。

行政通達では、役職名が管理職であったとしても労働時間管理をしている場合には、労働者代表の選出権があるとされています。

こういった場合、管理監督者を除いた社員全員により過半数代表者を選出してたとしても、選出された人物は過半数代表者とはなりませんので注意が必要です。

以上より、労働時間の規制のない管理監督者としている者、年少者、育児・介護休業者、出張中の者、長期欠勤、休職者、出向者など、在籍している全ての方を「労働者の過半数」の算定に入れるべきだとされています。

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意見書は何を書くのか

作成・変更した就業規則を労働基準監督署に届け出る際に「意見書」を添付します。

これは労働者の過半数代表者より就業規則に関する意見を聴いたとの証明をするもので、意見を記入してもらい、署名か記名押印をしてもらいます。

労働者の過半数代表者より意見を聴くがポイント。

「聞く」ではなく「聴く」という定めになっています。

どういう事かというと、過半数代表者に就業規則の内容に「同意」してもらう事を求めているのではなく、賛成できる点もあれば、反対する点もあるという意見を率直に記入してもらえばよいのです。

中には、法律に違反していないものの、もっと良い労働条件にして欲しいという意見が出てくる場合もあります。

様々な意見が出て、仮に反対されたとしても、これをもって新しい就業規則を直ちに変更する必要はなく、就業規則の効力にも影響はありません。

では、意見書そのものの提出を拒否された場合はどうなるのでしょう。

この時は、使用者側(会社)が過半数代表者に意見を聴き、意見書への記載・署名を求めたものの拒否されたという事実を書面で用意し、就業規則作成(変更)届に添付して届け出すれば、法律上の問題は問われない事となります。

実際に上記のような状況になるとすれば、意見書の提出そのものを拒否するという社員との関係性に、そもそもの問題点があるわけで、就業規則の作成以前に、会社と社員との関係回復・良好な関係へ改善する事が先に行われるべきといえます。

就業規則(変更)届
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.doc
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.pdf

就業規則意見書
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/12.doc
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/12.pdf

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就業規則は全部届け出しなくてもよい?

一般的に、就業規則とは別に、賃金規程・退職金規程・出張旅費規程など、いくつもの規程が用意されています。

これは就業規則に全部の内容を盛り込んで就業規則そのものが分かりにくくならないようにするのと、見直しや修正がしやすいようにするために、通常はそれぞれの内容に応じて分けて定めておきます。

この場合、賃金規程や退職金規程など就業規則内で「別に定める賃金規程により支給する」など、別規程で規定されていると記載をします。

出張旅費規程など、就業規則に直接関連性はないものの全社員に適用されるものについては、個別に規程を設けていきます。
いわゆる細則とされるものになります。

就業規則を届け出る際にどこまで届け出しなければいけないのでしょう。

結論からいくと「すべての労働者に適用される事項、または労働者のすべてに適用される可能性がある事項については就業規則への記載が必要であり、別規程を作成する場合は、その規程も含めて就業規則となる」という点です。

行政通達(S25.1.20基収第3751号、H11.3.31基発第168号)では、旅費に関する一般的規定をつくる場合には、労働基準法第89条第10号により就業規則の中に規定しなければならないとされ、出張旅費に関する規定も就業規則に定めなければならないとされているのです。

全社員に適用されるものは当然のこと、一部の社員についてのみ適用される規程は、例えば福利厚生的なものであっても就業規則と一緒に届け出しなければいけないとなります。

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就業規則の届け出方法、就業規則の有効性

【今日のポイント】

  1. 就業規則の届け出は「事業所単位」が基本
  2. 届け出されていない就業規則は、労働基準法に違反しているが、原則として有効性がある

作成・見直しされた就業規則への労働者代表からの意見書を提出してもらったら、労働基準監督署へ届け出をします。

届け出る際には、次のものを揃えます。

  1. 就業規則作成(変更)届
  2. 労働者代表の意見書
  3. 就業規則(別規程も含む)

就業規則作成(変更)届の様式は決められていませんが、各都道府県労働局にダウンロードサンプルが用意されています。

参考)東京労働局
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/tokyo-roudoukyoku/standard/relation/11.doc

初めて就業規則を作成した際は、全文を添付し届け出します。

見直しによる変更の際は、変更部分の新旧対照表を用意し、これに変更された就業規則を合わせて届け出しても良いですし、変更された就業規則全文を届け出ても構いません。

届け出は「事業所単位」となります。

ここでいう「事業所単位」とは、本社・支店・支社・店舗・営業所など、労働者が実際に就労している現場単位となります。

ただし、これら複数の事業所で同じ就業規則が適用される場合には、本社で一括して届け出を行う事ができます。

本社で一括し届け出を行う場合には、対象となる事業所数の就業規則を用意し、各事業所ごとに労働者代表の意見を聴き意見書を用意する必要があります。

また就業規則の届け出にあたり、届け出されていない就業規則は有効なのかどうか質問が多くされます。

これについては、届け出されていない事そのものは労働基準法に違反しているものとなりますが、労働者代表の意見を聴き、就業規則の周知もされているようであれば、就業規則の効力自体には影響はないとされています。

ただ会社を成長させていくためにはコンプライアンスは基本であり、届け出がされていない状態であれば、すぐにでも対処すべきといえます。

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就業規則の周知は法律で決まっている

【今日のポイント】

  1. 周知する方法は法律で決まっているものから選ぶ
  2. 社員全員が「どこに就業規則があるか」を理解していること

労働基準監督署に届出をした就業規則は、社員全員が確認できるよう「周知」をします。

※周知=広く知らせること

この周知する方法については、会社が独自に決めたものでいいのかというと法律で定められています。

労働基準法施行規則第52条の2

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 

これら3つの方法から会社が周知しやすい方法で行う事となります。

「常時各作業場の見やすい場所」は、社員が自由に確認できる場所に設置しておきます。

総務部のカギのかかる書棚に入ってるとか、上司の机の引き出しにしか入っていないとかは「×」です。

「書面を労働者に交付する」文字通り、印刷した就業規則を手渡しすることになります。

この方法を取る場合は、ナンバリングをし退職時に返還してもらうなど、会社によって管理方法が異なります。

「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し~」は、就業規則をPDF化し社内の共有サーバーやグループウェアで自由にいつでも見られる状態にしておき、かつ、保管場所を社員が把握しているようになっていることになります。

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就業規則と労使協定の関係(1)

【今日のポイント】

  1. 労使協定は締結するだけで良いものと、労働基準監督署に届出が必要なものとがある
  2. 労使協定は事業場すべての労働者に適用されるが、労働協約は締結する労働組合員に適用される

就業規則を作成・見直しすると、定められた就業ルールによっては労使協定が必要なる場合があります。

労使協定とは、文字通り「労働者」と「使用者」との間で就業条件等に関して協議をし、協議した内容を書面にし取り交わしをした約束事です。

ここでの「労働者」は、いわゆる「事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者」になります。

労働組合がある場合は、労働組合と交渉をした内容を書面にします。

労働組合との間で締結されたものは「労働協約」といい、締結された内容が適用される範囲は労働組合の加入員となります。組合員以外には適用にならないのです。

ただし、事業場の労働者の多数を占める労働組合と締結された労働協約は、組合員以外にも適用されることもあります。

労使協定は労働者の過半数代表者と締結しますので、締結された内容は、その事業場全体に適用されるものとなりますが、労働協約は労働組合と締結しますので原則的には組合加入員に適用されるものとなります。

労使協定は、締結する内容を有効にするために取り交わせばいいものと、締結した内容を労働基準監督署に届け出て有効となるものとに分かれます。

以下、届出が必要な労使協定となりますので、労使協定を締結したら忘れずに届け出を行ってください。

  1. 貯蓄金管理に関する協定(労働基準法第18条)
  2. 1年単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の4)
  3. 1か月単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の2)
  4. 1週間単位の非定型変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の5)
  5. 時間外・休日労働に関する協定(労働基準法第36条)
  6. 事業場外労働に関する協定(労働基準法第38条の2)
  7. 裁量労働に関する協定(労働基準法第38条の3、第38条の4)

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就業規則と労使協定の関係(2)

労使協定と労働協約の関係について。

【今日のポイント】

  1. 労使協定は労働基準法を根拠とするもので、労働者と使用者との間の約束事。協定の締結を要件に「労働基準法に違反しない」という免罰(罰を免れる)効果がある。労働基準法の要求する事項に限られる。
  2. 労働協約は労働組合法を根拠とするもので「使用者と労働組合との書面による協定」。労使双方の合意と一方的な変更や協約破棄等は認められない。労働者の要求に関するすべての事項が協約の対象となる。

労使協定は、労働基準法を根拠とするもので、労働者と使用者との間の約束事です。

また労使協定の締結を要件に「労働基準法に違反しない」という免罰(罰を免れる)効果があります。

この免罰効果とはどういった事を指すのでしょう。

企業は、労働基準法に基づいた就業ルールを設け、労務管理を行わなければいけないのですが、1日8時間、1週40時間までしか労働させてはならず1分でも超えたら違反であるなどとなると、実質的に企業経営は成り立っていきません。

とはいえ、労働基準法の制限を超えて労働させると、直ちに法律に違反する事となり、場合によっては罰則が適用されてしまいます。

このような法律に違反する行為と、法律の罰則が適用されるのを逃れる(罰を免れる)ために必要とされるのが「労使協定」になります。

ただし、労使協定には、上記のような免罰効果があるだけで、現実に労働者に具体的な業務の指示をするためには、例えば時間外労働や休日勤務のように、就業規則等の根拠が必要とされます。(S63.1.1基発第1号)

対して労働協約は、労働組合法を根拠とするもので「使用者と労働組合との書面による協定」になります。
労使双方の合意と一方的な変更や協約破棄等は認められません。

労働組合が協約締結の主体となるため、労働者の過半数未満しか加入していない少数組合員の組合であっても協約の締結権があります。

労働協約は、協約を締結した労働組合の組合員のみが拘束されますので、他の労働組合の締結した労働協約は、自分たちの組合員には適用されません。

ただし例外的なものとして「一般的拘束力」というのがあります。

これは1つの事業場で同種の労働者のうち75%以上の労働者に労働協約が適用される事となった場合に、同じ組合に加入していない他の労働者に対しても、自動的に労働協約の締結内容が拡張されて適用となる形をいいます。

この場合、拡張適用されるのは、労働協約のうち「規範的部分」とされる労働者の待遇に関する部分(賃金や労働時間・休日など)で、労働組合と使用者の関係である「債務的部分」には適用されません。

とはいえ、労働基準法を根拠とする協約が締結されると、これは他の労働者にも適用される事となります。

例えば、少数組合が変形労働時間制導入反対と叫んでいても、労働者の過半数が加入している労働組合が変形労働時間制について労働協約を締結すると、そこに加入していない少数組合も、締結された内容に拘束されることになります。

労使協定と労働協約は、効果も拘束力も異なるのです。

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就業規則と労働契約の関係(1)

就業規則と労働契約の関係について。

【今日のポイント】

  1. 就業規則は一方的、労働契約は双方向
  2. 一定の条件を満たしている就業規則の内容は労働契約の内容となる

就業規則は、労働者代表の意見を聴くものの、会社が一方的に作成・見直しをします。

労働者代表が就業規則の内容に反対意見をいったとしても、就業規則が無効になるわけではなく、反対意見に対して就業規則を変更する義務もありません。

現実としては、いくら労働基準法に違反していないとしても、社員の多くが反対する就業規則を一方的に制定しようとすれば、上手く機能するものではありませんが。

対して労働契約は、会社と社員が双方合意した契約になります。

労働者である社員が自身の労務を提供し、会社が提供された労務に対して賃金を支払うという基本的な契約の他、労働時間や休日・退職時のルールなど働く上での様々な内容に対し合意をするものとなります。

では就業規則と労働契約との関係はどうなるのでしょう。

就業ルールを定めていく上で、この就業規則と労働契約との関係を理解しておく必要があります。

ポイントは2つ

  1. 就業規則は一方的に定められるものですが、就業規則に定めてある労働条件が合理的であるかどうか。
  2. 就業規則は労働者にきちんと周知されているか

この2つの要件を満たしていれば、就業規則に定めてある内容=労働契約の内容となり、会社と社員の両方に適用されることとなります。

ここでいう「合理的」は、会社と労働者の権利や義務を比較し、どちらかに不利益になっていないかという事であり、一般的には労働者が不利益になっているケースが多いとされますが、中には会社が不当な義務を負っている場合もあったりします。

また「周知」については、労働基準法で定める方法だけではなく、実態としてどうなっているかで判断がされます。

労使協定と労働協約は、効果も拘束力も異なるのです。

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就業規則と労働契約の関係(2)

就業規則と労働契約の内容が違う場合は、どちらが優先されるのでしょう?

【今日のポイント】

  1. 労働契約の内容が就業規則を下回っている場合は、就業規則が優先される
  2. 労働契約の内容が就業規則を上周っている場合は、労働契約が優先される

一定の要件を満たしている就業規則は、労働者代表が反対したとしても合理性があるものとして、労働契約の内容として成立します。

では個別に会社と締結された労働契約の内容と就業規則とが異なるときは、どちらが優先されるのでしょう。

この場合「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効とする。無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」とされています。(労働契約法12条)

つまり労働契約の内容が就業規則を下回っている場合は、就業規則が優先されることとなります。

逆に、労働契約の内容が就業規則を上周っている場合は、労働契約が優先されることとなります。

さらに就業規則が法令に違反している場合は、違反している部分について無効となり、法令の定めが適用されます。

では労働組合と締結する労働協約との関係はどうなるでしょうか。

労働協約と就業規則の関係性からみれば、就業規則が労働協約に反している場合は、反している部分について無効となり、労働協約が適用されることとなります。

また労働協約の場合は「反している部分が無効」とされている点、上回っているか下回っているかではなく「反している点のみ」の扱いとなるところが異なります。

上回ることも下回ることも無効であると考えることができます。

労働協約が適用されるのは原則として労働組合員になりますので、適用される範囲も異なることとなります。

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第1章:総則

就業規則の第1章、出だしの部分です。

【総則】には、就業規則を定める事の目的、就業規則がどの雇用形態まで及ぶのか、従業員の定義、遵守事項、労働条件の変更など、就業規則全体に関する定義付けをします。

ここで適用範囲などを明確にしておく事で、就業規則の意義が具体的になります。

上記以外では、会社のビジョン・経営理念を分かりやすく記載をし、社員としての責務についても明示する事で、会社が今後どういった方向に進んでいくのか、いこうとしているのか、また個々の社員がどのような行動を取るべきなのかも、就業規則を通して社員に浸透させることができます。

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目的

第1章 総則
第●条(目的)
この規則は、法令に基づき、株式会社●●●●(以下、会社という)の社員の就業に関する事項を定める事により、企業の円滑な運営と企業秩序の維持確立を目的とするものである。

【今日のポイント】

  1. 就業規則の目的は、社員に守ってもらいたい・やってはいけない就業ルールを定めるもの
  2. 「関係法令に準じる~」は、余計な点を労働契約とされる可能性があるため避けるべき

本条は、就業規則の目的を示すものです。

就業に関する事項を定めるものとある通り、社内に留まらず社外での活動や就業時間外の行動についても、会社の信用や名誉を傷つけないよう、企業の円滑な運営と企業秩序の維持確立も目的とされます。

ここでは「会社および社員は、この規則を遵守し、共に協力して社会的使命の達成に努めなければならない~」とは定めません。

上記のように定めている就業規則を、よく見かける事があります。

確かに就業規則は定めている内容により、会社も社員も拘束されるところとなりますが、そもそも会社側が労働者代表の意見を聴くものの、その内容は法律に基づいて一方的に定められるものであり、定められた内容は労働契約として成立するものとなります。

就業規則の目的としては、社員に守ってもらいたい・やってはいけない就業ルールを定める点にあると考えます。

また「本規則に定める事項は、関係諸規程の他、労働基準法その他法令に定めるところによる~」とする条文もよく見かけます。

就業規則の内容は、ひとつひとつを検討した上で定められ、労働契約の内容として、会社と社員双方とを拘束するものとなります。

ここに関係法令に定めるところによる~と、法律の準用が定められると、本来は労働契約の内容で成立・有効となっているものに、法律上の解釈や遵守を求められ、労働契約内容として従わなければならなくなったり、従うべきかどうかのトラブルに発展する可能性も否めませんので、これを定める事は避けるべきといえます。

うちの就業規則は法令に遵守しているという点を社員にアピールしたいとされる企業もありますが、条文としての意味を良く考えてから、定めるかどうかを判断して欲しいところです。

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社員の定義および適用範囲

第●条(社員の定義および適用範囲)

  1. この規則で社員とは、第●条に定める手続きによって会社に採用された者をいう。
  2. この規則は前項の社員に適用し、次の各号に定める者には適用しない。
    ①パート社員、アルバイトなどの臨時的に雇用される者
    ②嘱託、契約社員などの期間を定めて雇用される者
    ③その他名称の如何に関わらず、前項の社員とは異なる雇用形態により業務に従事する者
  3. 前項各号に定める者については、別に定める就業規則または個別の契約に従うものとする。

【今回のポイント】

  1. 正社員以外にどこまでの雇用形態に就業規則で定めた内容が及ぶのかを具体的にする
  2. 常時10名以上の労働者を使用する場合は、正社員以外に就業規則が適用されないとしたときに、他の雇用形態の労働者に対する就業規則を作成する必要がある

就業規則が適用される範囲を定める重要な条文です。

どこまでの雇用形態まで就業規則が及ぶのかを、具体的に明確に定めておきます。

1項で「~で定める手続きによって会社に採用された者」とありますが、これは会社が定める採用手続きを経ることで雇用されているものであると特定しています。

2項では1項と逆に「適用しない場合」を定めています。

これは本就業規則がどこまで適用され、どこからは適用されないのかを明示するための条文です。

通常は、個別具体的に適用除外となる雇用形態を明示し、さらに、万が一想定している雇用形態以外の雇用が発生する場合に備えて「前項の社員とは異なる雇用形態により業務に従事する者」とし、正社員以外の雇用形態を除くようにします。

この場合、適用除外とされた雇用形態を対象とする就業規則を別に定めておかないと、就業規則が適用されない労働者が残ってしまうため、労働基準法89条に違反することになりますので注意が必要です。

また併せて、就業規則が適用される職種を、技術職・営業職・事務職などと定めておく場合があります。

これは職種によって労働時間の管理方法が異なる場合などに、定める内容との定義付けがしやすく分かりやすくするために行います。

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労働条件の変更

第●条(労働条件の変更)
この規則に定める服務規律および労働条件等については、法律の改正、社会状況の変動及び会社の経営内容・方法の変動等の業務上の必要性により変更することがある。

【今回のポイント】

  1. 一定の要件の下で労働条件の変更があり得る事を確認させる意味がある
  2. 企業規模によっては逆効果になる場合もあるので要検討

本来であれば、労働条件を変更する場合、特に労働者に不利益になる点については合意がなければ認められるものではありません。

一方で、企業が労働契約を解消するための「解雇」を行う事に法律上の制限もされているため、労働契約を解消する=解雇することは、一定の手続きを経ないと行いにくい状況にあるのが現実です。

そこで雇用を確保する代わりに、一定の要件を満たしていれば、労働者との合意によらず就業規則を変更する事で、労働契約内容=労働条件を変更する事を認めるものとしています。
(労働契約法第8条、第10条)

このような条文を定めなくても、上記のように一定の要件の下で就業規則を変更する事ができますが、変更する事があるという点を明確にする意味で、あえて定めるという目的もあります。

ただし、この条文は見方によっては、雇用を確保しているとも解釈できます。

会社の諸事情(企業規模・業種・労働者の公正・就業状況の実態など)により、解雇に関する解釈や有効性が異なるため、必ずしも本条を定める事が良いとは限りません。

企業規模が大きいほど、解雇権濫用に関する措置を厳しく求められる傾向にあるため、このような条文を定めても問題ないと思われます。

企業規模によっては、返って雇用確保と解釈される可能性も否めませんので、本条を定めるかどうかは、各企業の状況に応じて十分に検討する必要があるといえます。

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二重就業の禁止のポイント

第●条(二重就業の禁止)
社員は、他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。ただし、会社の承認を事前に得た場合はこの限りではない。

【今回のポイント】

  1. 二重就業禁止は法律で制限されているものではない
  2. 副業の内容によっては禁止規定が有効になる場合がある。内緒にせずにまずは相談してみては。

多くの企業では、就業規則に二重就業を禁止する、いわゆる副業禁止規定を定めています。

副業禁止は、労働基準法で制限されているものではなく、会社のルールとして定めるものになります。

就業規則は会社のルールを定めるものですから、副業を禁止するというルールが定められたらこれに違反はできません。

とはいえ原則として就業時のルールを定めるものですので、退社後や休日の個人行動まで拘束されるかとなると、そこまでの拘束力はないでしょう。

副業していた事が会社に発覚したからといって、直ちに解雇処分等を行うと無効となる場合もあります。

しかし副業している事が原因で、遅刻や欠勤など勤務態度に影響が出たり、業績が悪くなったり、果ては会社に損害を与える事となった場合には職務専念義務違反にもなり得ます。

副業禁止が有効とされた判例

  • 副業の影響で遅刻や欠勤が多くなった
  • 競合する他社でアルバイトしていた
  • 会社固有の技術やノウハウが漏えいされると判断された
  • 会社の名前や名刺を使って副業を行っていた
  • 会社の品位を落とすような風俗関連やマルチビジネスを行っていた

リーマンショック以降、昇給や賞与支給が思うようにならない企業では副業禁止を廃止し、逆に認めるケースもありました。

ワークシェアリングを導入している会社などもいきなり副業を禁止せず、通常の業務に支障が生じない範囲での副業を認めたりもしています。

副業を禁止している会社でも事情を説明すれば認める場合も多くありますので、内緒で副業せず、まずは相談してみるのも一考でしょう。

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第2章:人事

第2章として「人事・採用」に関する内容を定めます。

まず、採用基準や採用手続き、採用時の提出書類、試用期間など、雇用されてから試用期間を経て正社員として正式に雇用されるまでに必要とされるものを定めます。

特に試用期間については、期間の長短に関するもの、試用期間中に不採用となる場合の基準など、解雇に結びつくものもあり、定めるにあたっては注意が必要です。

他には「身元保証」に関する定め、人事に直結する「異動」に関する詳細、「休職」「復職」のルールなどを定めます。

これらは法律で定める事と義務化されているものではありませんが、企業の人事運営上必ず必要となるものであり、適切に定めておかないとトラブルの元となりかねません。

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採用方法

第●条(採用の方法)
会社は、入社を希望する者の中から、書類審査、面接試験等の所定の選考を行ない、それに合格した者を正社員として採用する。

【今日のポイント】

  1. 雇用形態に応じた採用基準・方法を定めるべき
  2. 雇用形態ごとの区分を明確にするためにあえて就業規則に定める

パート・アルバイトと正社員など雇用形態に応じて求める能力やスキルも異なります。

これらを明確にする意味でも、採用方法や採用基準の違いは明確にするのが適切といえます。

就業規則では、それぞれの雇用形態(この場合は正社員に対するもの)ごとの採用方法や採用基準を具体的にすべきといえます。

条文では「所定の選考」としていますが、運用上では、正社員に対する選考基準・方法としては書類選考~複数回の採用面接とし、パート・アルバイトに対しては採用面接回数を1回に留めるなどの方法をとります。

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入社希望者の提出書類

第●条(入社希望者の提出書類)

  1. 会社に入社を希望する者は、次の各号の書類を提出しなければならない。ただし、会社が認めた場合は、その一部を省略することがある。
    ①自筆履歴書(提出日前3か月以内に撮影した写真貼付)
    ②健康診断書(提出日前3か月以内に受診したもの)
    ③卒業見込み証明書または最終学歴の卒業証書の写し
    ④職務経歴書(職務経験がある場合)
    ⑤採用条件となっている技術または資格を証明する書類
    ⑥その他会社が必要とする書類
  2. 会社は提出を受けた書類について、不採用となった場合は直ちに消却する。

【今日のポイント】

  1. 法律上定める義務はないものの、適切な採用選考を実施するために便宜上必要な書類を定めておく
  2. 本人の性格や行動特性を図る上では自筆履歴書を提出してもらう
  3. 入社前に健康状態を確認する事は極めて大事

採用選考時に提出してもらう書類の種類と提出条件を定めています。

入社希望者と企業との雇用契約が成立していないのに、このような定めをする必要があるのかとの意見もありますし、現に定めていない就業規則も多くありますし、行政が提供しているひな型でも定められていません。

提出物として何が必要かを明確にする便宜上、就業規則に定めておく事に問題はありません。

最近は提出される履歴書で自筆のものを見ることは極めて少なくなりましたが、本人の性格や行動特性を図る意味でも、自筆の履歴書を提出させるようにすべきと考えます。

上手い・下手な文字という事ではなく、書き方からうかがい知れるものが多くあります。

そうはいってもという場合には、採用面接前にアンケートを記入してもらい、記入された内容や書き方から、本人の性格や行動特性を図ることも大事になります。

健康診断書の提出にあたり、入社前の健康診断を実施できないのではという意見があります。

これから採用する人物が心身ともに健康であり、会社との雇用契約の中で労務を提供してもらえるかどうかを確認する事は、とても重要なファクターになります。

この健康状態を確認する意味で一定期間内に受診した健康診断書を提出させることは、就業規則に明確に定めておく必要があると考えます。

2項として、提出書類の処分について定めています。

これは不採用となった場合に提出書類の返却を求めてくる応募者に対し、会社は書類を返却せず処分することを定め、個人情報を適切に取り扱うことを明らかにするためとなります。

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採用決定時の提出書類

第●条(採用決定時の提出書類 )

  1. 社員として採用された者は、会社が指定する日までに、前条に定める書類とともに、次の各号の書類を提出しなければならない。ただし、選考に際して提出済みの書類を除く。
    ①入社承諾書
    ②誓約書
    ③身元保証書
    ④通勤経路届出書
    ⑤給与の口座振込同意書
    ⑥住民票記載事項証明書(内容は会社指定)
    ⑦本年分源泉徴収票(入社前に所得がある場合)
    ⑧年金手帳、雇用保険被保険者証(所持者のみ)
    ⑧必要により、資格証明書、学業成績証明書、卒業証明書
    ⑨その他会社が必要と認めたもの
  2. 前項の書類のうち会社が認めた場合は、その一部を省略することがある。
  3. 正当な理由なく指定された期間内に第1項各号に定められた書類の提出を怠る場合は、採用を取り消す措置をとることがある。
  4. 在職中に上記提出書類の記載事項で氏名、現住所、家族の状況等に異動があった場合は、変更があった日より2週間以内に所定の様式により会社に届け出なければならない。

【今回のポイント】

  1. 会社が必要と考える書類を提出してもらう
  2. 提出期限は「入社日まで」「○日以内」など具体的に決めておき、提出遅延に対処できるようにする

会社は労務管理上個人の情報を入手する必要があり、入社にあたり様々な書類の提出を求めます。

この時、社員の情報入手以外に、就業条件や服務規律が定められている就業規則に対し包括的に同意を得る形で、労働契約の内容とするために、誓約書の提出を義務付けます。

この誓約書の内容として、採用する者から入手する個人情報の取り扱いや会社の営業情報等に関する守秘義務を果たすことへの同意を得るものとなります。

住民票記載事項証明書は、現住所の把握のために提出してもらいます。
よく「住民票」の提出を求めるケースがありますが、本籍・出生地に関する情報を入手は行わないよう行政指導がされていますので、住民票や戸籍謄本等の提出を求める場合は、必要とする理由を説明した上で提出を求める必要があります。

上記以外の提出書類として、「知的所有権の帰属に関する確認及び譲渡書」「機密保持契約書」「自家用車利用に関する届出」などを提出させる場合もあります。これらは業種や職種に応じて用意をする事となります。

書類の提出時期を「速やかに」としているケースがよくありますが、提出時期は「入社日まで」「○日以内」と具体的に明示をし、提出が遅れがちな社員へ厳しく対処できるようにします。

また入社時に提出された書類の内容に後日変更が生じる場合を考慮し、4項に届出期限を設けて具体的に定めておきます。

最近は会社所定の様式を用意せず、メール文面で連絡をするケースもよく見かけます。

会社が必要とする情報が不足していたり、また届け出ルールが徹底されにくい点を考えると、一定の書式で届け出をすることを義務づけ、しっかりとした管理を行うべきでしょう。

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身元保証人

第●条(身元保証人)

  1. 身元保証人は、1名以上とする。
  2. 身元保証人は、一定の職業に従事し、独立の生計を維持する成人者でなければならない。
  3. 社員は、身元保証人になることはできない。
  4. 身元保証の期間は満5年とする。会社が特に必要と認めた場合、身元保証の期間更新を求めることがある。
  5. 身元保証人が、次の各号の一に該当するときには、直ちにこれを更新し、新たに身元保証人を届出なければならない。
    ①死亡または失踪の宣告を受けたとき
    ②破産の宣告をうけたとき
    ③その他、会社が身元保証人を不適格と認めたとき

【今日のポイント】

  1. 保証期間を定めない場合は3年間、期間を定める場合は5年間
  2. 法律上の義務はないが、身元保証人が用意できない場合の対処も検討が必要

身元保証は、採用した社員の業務適性と本人が会社に届け出た内容を保証する人物保証の意味と、会社に万が一損害を与えた場合の損害補償の意味があります。

現実的には、損害賠償の意味で求める事よりも、人物保証の意味で活用しています。

最近は特に、精神疾患を発症し本人と連絡が取れなくなるケースがあり、このような状況になった際の連絡先として必要になります。

身元保証人として認める要件としては、独立生計者である事が第一要件となります。

よく配偶者を身元保証人として認める場合もありますが、万が一の場合を考慮し、同一生計者は認めないようにします。

また社員間で身元保証とする事は、会社が求める要件とは異なるため、これも認めません。

身元保証人では「保証期間の更新」がよく問題になります。

身元保証に関する法律では、保証期間を定めていない場合は3年の効力があり、保証期間を定めている場合には5年までとされています。

保証期間を更新する場合は、最大5年までとなります。

どの程度まで保証を必要とするのかも、よく問題になります。
入社した後退職まで保証を求める場合もあれば、当初の5年間で本人の人物保証は担保できているとして1回で終わらせる場合もあります。

身元保証人に求めたい保証事項に応じて期間を設定します。

最近の傾向として、以前に比べると親族数が少なくなってきているため、身元保証人を2名揃える事が難しいケースや外国人労働者の場合はどうするのかなども課題となっています。

身元保証人は法律で義務付けられているものではないため、社員が提出を拒む事もできるでしょうし、会社側も提出拒否を理由に採用取り消しとする事もできるでしょう。

身元保証人が用意できない場合の対処も十分に検討しておく必要があるといえます。

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試用期間

第●条(試用期間)

  1. 新たに採用した者については、原則として入社日より3か月間を試用期間とする。ただし、特殊の技能または経験を有する者には、試用期間を設けずまたは短縮することがある。
  2. 前項の試用期間は、各人との雇用契約書により期間を伸長する場合がある。
  3. 試用期間中または試用期間満了の際、健康状態、勤務状態、業務成績等を判断し、引き続き社員として勤務させることが不適当であると判断し、本採用は行なわない。
  4. 所定の試用期間では、正社員としての採用諾否の判断ができない社員、または業務に習熟していない社員については、社員本人と協議の上、試用期間を延長することがある。その場合には、延長する期間を明示する。
  5. 本採用となった場合にのみ、試用期間は勤続年数に通算する。

【今日のポイント】

  1. 試用期間中の解雇は通常の解雇より裁量範囲が広い
  2. 期間中の教育・指導が大事。定期的な面談でしっかり指導を。

試用期間は、文字通り、入社後の一定期間を「試用」期間とし、この間に採用した社員の人物や能力を確認・評価し、その後正社員とするかどうかを判断する期間になります。

この期間を「解雇権留保付労働契約」とされます。

「解雇権留保付労働契約」とは、試用期間中に問題がなければ、本採用となった日からの雇用を約束するというものです。

試用期間中に本採用とするには難しいと判断された場合の労働契約解除=解雇は、通常の解雇より会社側に自由性がある程度認められるものとなります。

そうはいっても、やみくもに辞めされる事ができるというものではなく、解雇する理由に無理がないか一方的なものになっていないかなどの判断がされる事となります。

試用期間中は、定期的に面談を実施し、業務上の課題や勤務態度などに問題があったら適切に指導をし経過を確認する事を繰り返していく必要があります。

また、どうしても試用期間満了で解雇せざるを得ないという場合には、期間満了日にいきなり「今日で終わりです」とするのではなく、少なくとも30日以上前には本人と話し合い、伝えるべきといえます。

試用期間の長さについてよく質問がありますが、一般的には~6か月程度が妥当とされます。(判例では最長1年とされているようです)

試用期間中の勤務態度として不適当とされる事項については、条文内に具体的に定めておく場合と、包括的な表現に留めておくケースとに分かれます。

それぞれに一長一短があり、具体的に定めると定めた内容以外が無効となる場合もあり、包括的な表現に留めると解雇事由そのものが無効になる場合があります。

自社の方針や考え方で、どのような定め方がいいのか検討が必要となります。

参考)試用期間の法的な意味
http://www.jil.go.jp/rodoqa/07_jinji/07-Q07.html

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人事異動

第●条(人事異動)

  1. 会社は、社員の能力、体力、経験等を勘案して配置を行なう。ただし、業務の都合により必要がある場合は、社員に配置転換、職務の変更、転勤、出向その他人事上の異動を命じ、または担当業務以外の業務を行わせることがある。
  2. 前項の人事異動を命じられたものは、正当な理由なくこれを拒むことはできない。
  3. 異動、出向を命じられた場合は、指定された期日までに着任しなければならない。
  4. 社員は、異動の際に、会社が指定する日までに業務の引継ぎを行わなければならない。
  5. 会社は、子会社・関連会社、取引関係のある企業、その他これに準ずる取引先に対して、社員の人材育成、業務支援、連携強化、その他の事由により社員に出向を命じる場合がある。このとき、社員は正当な理由なしにこれを拒むことはできない。

【今回のポイント】

  1. 人事異動は、企業側に業務命令・業務指示権があり、正当な理由がなければ社員は拒否できない。
  2. トラブルにならないためには、企業側も短期間で一方的に移動命令をするのではなく、社員への配慮をしながら行うべき。

「配置転換・職務変更」は、労働条件の変更は行わずに、職場を変更したり、担当業務を変更する事を意味しています。

「転勤」は、社員の居住地の変更を伴う勤務場所の変更を意味し、これに合わせて、職種や職位の変更も行ったりします。
期間も複数年に渡り、長期間になるのが一般的です。

「出向」は、社員として元の会社の在籍しながら、他の企業で、そこの企業の社員から指揮命令を受け、長期間勤務する事を意味します。

出向先の企業としては、同じ企業グループ間の場合もあれば、業務提携先企業へ出向する場合もあります。

出向に関しては具体的な法律があるわけではなく、その中で指揮命令権が相手先企業に移るという点では、業務上の必要性や、企業間契約など厳しい規制が求められます。

いずれも、正当な理由がない限り社員側の拒否権はない点がポイント。

企業側の業務命令権の下、それぞれが指示される事となります。

よく転勤拒否の正当な理由として認められるものに、親族の療養看護により同居が必要であり長距離の移動はできないなどがありますが、これも個別の事情に応じて判断され、必ずしも正当な理由となるわけではありません。

企業側もいきなりの異動命令を行うのではなく、一定期間前に内示をし準備期間を与えるなどの配慮も求められるものとなります。

また特定の職種に限定して採用されている場合や、勤務地域を限定して採用されている場合には、これらの労働条件が変更となる異動は原則として行う事ができず、行うためには、本人の同意が必要になります。

いずれにろ無茶な異動はトラブルの元。

企業側に業務命令・指示権があるとはいえ、短期間で一方的に業務命令をするのではなく、社員への配慮をしながら行うべきといえそうです。

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試用期間

第●条(降格)
会社は、社員に対し、業務上の必要がある場合、人事制度上の資格・等級を見直すことがある。なお、降格・降級基準は別の定める。

【今回のポイント】

  1. 降格は就業規則に定める必要がある
  2. 実際に降格させるには、客観的な判断結果と本人への弁明の機会を与えること

社員に対し、降格や資格等級の降級を行うには、就業規則に定めが必要であるとされます。

人事制度上の資格等級の降級=賃金の減額に直結しているケースがほとんどで、社員側からみれば不利益変更にあたると考えられているためとなります。

特に既存の社員に対する降格・降級については、一定の合理的な基準がないと、会社側が行った措置は違法であるとされかねません。

合理的な基準とされるもの
1)一定基準以下の評価に対して、降格対象者とするような客観的基準を設ける
2)降格対象者に対し実際に降格するかどうかは、評価期間を設置し審議を行う
3)審議にあたり、降格対象者に弁明の機会を与える
4)実際に降格となる者については、処分決定に対する苦情申し立ての機会を与える

いかに個人事情や主観的な評価を排除し、客観的基準により対処したかどうかが判断の決め手になるといえます。

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休職

第●条(休職)

  1. 社員が次の各号の一に該当するときには休職を命ずる。ただし、1号、2号および6号の休職事由が業務外の傷病を原因とする場合に、当該傷病が休職期間中の療養によって治ゆする可能性が低い場合には、休職を命じることなく普通解雇とする場合がある。
    ①業務外の傷病による欠勤が〇か月以内に通算〇〇日にわたったときで、その傷病が治ゆしないとき(治ゆとは、従来の業務を健康時と同様に通常業務できる程度に回復することを意味する) ②業務外の傷病により、常に所定労働時間の勤務ができない等完全な労務提供ができず、またその回復に一定の期間を要するとき ③公の職務につき、業務と両立しないと会社が認めたとき(公職休職) ④出向を命じられ、または会社の命令により他の法人・団体等の業務に従事するとき(出向休職) ⑤法令に定められた疾病にかかり、医師の診断により必要と認められたとき ⑥前各号のほか、これに準じる理由により会社が休職をさせることを必要と認めたとき
  2. 会社は、前項第1号に該当する社員に対して、医師の診断書を提出させ、また会社が指定する医師の診察を受けるように命じることができる。この場合、社員は正当な理由なく、これを拒否することはできない。
  3. 試用期間中ならびに入社1年未満の社員には、休職は与えない。

【今回のポイント】

  1. 休職は法律で決められたものではない
  2. 特に私傷病による休職では、休職指示をするまでの経過期間をどうカウントするかが大事

休職とは、社員が労務を提供することができない、または提供できない理由が生じた場合に、使用者(企業)が労働契約を残したままで労務提供を一定期間免除することです。

最近は私傷病休職、特に精神疾患による休職が増えており、復職できない場合の解雇猶予措置としての意味が重要となります。

休職と復職はセットで定められますが、この休職・復職とも法律で決められているものではなく、企業がどう定めるかにより内容も異なってきますので、休職をルールとして運用するには就業規則に定めておく必要があります。

では就業規則に休職・復職ルールが定められていない場合は、どうなるでしょう。

この場合、状況によっては解雇権濫用ともされかねませんので、私傷病により長期欠勤となっている社員を、すぐに解雇するのではなく、一定期間の欠勤を認め休職と同様の扱いをとってから解雇とする形にすべきと考えます。

欠勤を経て休職を指示する場合、欠勤期間をどうカウントするかという点もよく問題になります。

よくあるのは「欠勤となってから〇日経過した場合~」と定めているケースで、この形では、起算日がいつになるのか、一度欠勤状態から元に戻り、再度欠勤を繰り返した場合は、休職を指示する事ができないのか、など疑問が生じてきます。

この休職を指示するまでの欠勤期間をどうカウントするかについては、参考条文にあるように、一定期間内に一定数以上の欠勤が生じている状況であれば、休職を指示するという方法もあります。

休職期間中の社会保険料負担など、社員自身には相応の負担も発生します。企業側にも同様に負担が残ったままとなります。

休職・復職は、企業規模や実情に応じて個別に設定するものといえます。

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休職期間

第●条(休職期間)

  1. 前条の定めによる休職期間は次の各号のとおりとする。
    ①私傷病休職の場合
    勤続1年以上3年未満:原則として6か月以内
    勤続3年以上:原則として1年以内
    ②自己都合休職の場合:会社が必要と認めた期間
    ③公職休職の場合:就任期間
    ④出向休職の場合:必要な期間
    ⑤前条第〇項第〇号の場合:医師が必要と認めた期間
    ⑥前条第〇項第〇号の場合:会社が必要と認めた期間
  2. 休職期間は、必要に応じ期間を延長し、または短縮することがある。
  3. 私傷病による休職の場合で、休職期間満了前に復職し、復職の日から3か月以内に再び同一または類似の事由により労務の提供ができず休職する場合は、前後の期間を通算する。

【今回のポイント】

  1. 休職期間は企業の規模や考え方で個別に設定する
  2. 休職は試用期間中や入社後一定期間まで認めなくてもよい

休職期間は、休職理由に応じて設定します。

期間をどの程度とするかは各企業の規模や考え方によって検討すべきであって、他社事例に沿ってというものではありません。
とはいえ、あまり極端に短い期間も、復職との整合性が取れなくなったり、解雇予告の観点からはおススメしません。

特に私傷病休職の期間を検討する際には、勤続年数で休職期間を分けるか、試用期間中や入社後一定年数までは休職を認めない、など、法律の制限がない一方で、就業規則に定めた内容は労働契約内容となる点に注意をし、慎重に検討すべきといえます。

個別の休職期間を原則的に定めておきますが、個々の事情によっては休職期間を企業側の裁量により長短する場合が出てきます。

これに対応できるよう「必要に応じ期間を延長し、または短縮することがある」と定め、企業側に裁量権があることを確保します。

また私傷病休職の場合、休職~復職を繰り返すケースが多いことから、復職後に同一・類似傷病が再発し再度休職となる際に、前の休職期間と通算し休職期間をカウントするようにします。

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休職期間の取り扱い

第●条(休職期間の取り扱い)

  1. 休職期間は原則として勤続年数に通算しない。ただし、会社都合による休職及び会社が特別の事情を認めた場合は、この限りではない。
  2. 休職期間中、出向休職を除き賃金は支給しない。
  3. 休職期間中、一時的に出勤をしても、出勤した日より1か月以内に同一の理由で欠勤するようになった時は期間の中断は行なわない。
  4. 休職の命令は、同一または類似の事由につき2回までとする。
  5. 休職期間中の者は、毎月1回以上、会社が指定する方法で会社に対し現況報告をしなければならない。

【今回のポイント】

  1. 休職期間は勤続年数に通算せず、休職命令も一定回数までとする
  2. 休職期間中は労務の提供がないので「無給」。会社によっては一部有給とする場合もある。

休職期間を勤続年数に通算するかどうかは企業側の判断になります。

通常は、労務を提供している期間ではないため、勤続年数に通算する事はしません。

年次有給休暇の付与日数を計算する際には、在籍期間が基本となるため勤続年数として取り扱います。ただし、出勤率を満たしていなければ、年次有給休暇の当年分の付与はありません。

賃金については、労務の提供がありませんので無給扱いとします。

企業規模が大きいところでは、一定期間の休職には一部賃金を支給する場合もあります。

私傷病による休職の場合には、健康保険から傷病手当金が支給されますが、これは支給開始から1年6か月までの支給となります。

また休職期間が中断され、再度の休職期間をカウントする事のないよう、同一・類似の理由による欠勤が一定期間内に発生した場合には、休職期間が通算されるようにしておきます。

合わせて、休職発令についても、同一・類似の理由によるものは一定回数まで認めるようにし、これ以上の休職は解雇とするよう明確に定めておきます。

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復職

第●条(復職)

  1. 休職事由が消滅、または休職期間が満了した時は、原則として直ちに旧職務に復職させる。ただし、業務の都合その他の事情により旧職務へ復職させることが困難な場合は、旧職務と異なる職務に配置することがある。
  2. 私傷病による休職者が復職する場合は、医師の診断書を提出するか、会社が指定する医療機関での診断を受けなければならない。会社は、診断内容及び当該社員の業務内容等を総合的に勘案し、復職させるかどうかを決定する。
  3. 前項での診断書提出に際し、会社が診断書を発行した医師に対する意見聴取を求めた場合、社員はその実現に協力しなければならない。
  4. 社員が第2項の会社が指定する医療機関での検診を正当な理由なく拒否した場合、第2項の診断書を休職事由が消滅したか否かの判断材料として採用しない。
  5. 復職後3か月以内に同一または類似の事由により欠勤または完全な労務提供をできない状態に至った場合は、復職を取り消し、直ちに休職を命じる。この場合の休職期間は、当該復職前の期間と通算する。
  6. 休職期間満了後においても休職事由が消滅せず勤務不能な時は、満了の日の翌日をもって自然退職とする。

【今回のポイント】

  1. 休職期間満了時の扱いは就業規則の定め方により異なる
  2. 私傷病休職の場合は、提出された診断書の扱いと休職期間の通算が大事

私傷病休職の場合、傷病が治っているかどうかの判断が必要になります。

治っていれば復職する事ができますが、治っていなければ労働契約は終了となります。

この場合、労働契約の終了については、就業規則に自然退職と定めているのか解雇と定めているのかで扱いが異なります。

自然退職であれば、定年と同じに休職期間満了日をもって退職となりますが、解雇の場合は解雇予告や解雇予告手当などの扱いが必要となります。

私傷病休職では、前述のとおり「治っているかどうか」を判断します。

この判断材料として診断書を使用しますが、提出された診断書だけでは判断がつきませんので、通常は、休職期間中に本人と面談をし、傷病の状況を確認します。

この時点で疑義がある場合には、会社が指定する医師の診察を受けてもらったり、診断書を作成した医師との面談を求め、健康状態や再発の可能性などを確認します。

傷病については個人的な事情になり、社員が担当医との面談を拒否する場合も想定されますので、それぞれの対応を拒否した場合の扱いも定めておきます。

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第3章 労働時間・休憩・休日・休暇

第3章として「労働時間・休憩・休日・休暇」について定めます。

ここでは社員の就業条件の基本となる、労働時間や休日に関するものを詳細に定めていきます。

職種や雇用形態によって労働時間が異なる場合には、個別の労働時間について具体的に定める場合もあります。

変形労働時間制を採用する場合は、就業規則だけでなく労使協定も必要となります。

休日は、土曜・日曜など固定的なものとするのか、4週で4日の変形休日制を採用するのかを検討します。

また法定休日をどう捉えるのかも明確にしておく必要があります。

休暇は企業が任意に設定できるものですので、他社の例や就業規則のひな型をそのまま利用するのではなく、どんな休暇を用意するのが妥当か、それぞれの休暇は有給とするのか無給とするのかなど、自社に合った休暇として検討します。

休日・休暇は、年次有給休暇の取得状況と合わせて考えていかないと、年間休日数にも大きく影響してきます。

この章で定める内容に関しては、労使協定が締結されていなければ無効となる場合もあり、就業規則と合わせて用意していかなければいけません。

この章は、就業規則のキモともいえます。

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労働時間(1)

第●条(所定労働時間)

  1. 所定労働時間8時間とし、始業・終業時刻は原則として次の通りとする。
    始業:午前9時
    終業:午後6時
  2. 始業時刻とは、所定の就業場所で業務を開始(実作業の開始)する時刻をいい、終業時刻とは、業務の終了(実作業の終了)の時刻をいう。
  3. 会社は、業務の必要性がある場合、第1項の始業・終業時刻を繰り上げ、繰り下げ、または労働時間を変更することがある。

【今回のポイント】

  1. 所定労働時間は就業規則に必ず定めなければいけないもの
  2. 始業・終業時刻の定義を明確にし、良い就業ルールを定着させる

始業・終業時刻は、就業規則に必ず定めなければいけません。これを絶対的必要記載事項といいます。

ここでは原則的な所定労働時間を定めておき、その他、変形労働時間制を採用する場合には、それぞれの条文で対象者や適用される労働時間などを具体的に定めます。

2項で始業・終業時刻に対する定義について定めています。

始業・終業時刻とは何を意味するのかを具体的にし、賃金支払の基準である事も明らかにします。

これは始業時刻ギリギリに出社し実際の業務を開始するのは始業時刻を過ぎてからだったり、終業時刻より前に業務を終了しておき終業時刻になったら直ちに帰社するという行為を抑制するためでもあり、またこのような就業状況が当たり前になっている場合には就業規則に違反であると明確にするためでもあります。

始業・終業時刻の定義をする事で、良い就業ルールを定着させ適切な労務管理を行っていけるようにします。

始業・終業時刻の変更については、業務上の都合により業務の開始終了時刻を変更したり労働時間を変更する事態が発生した時に、企業側に対し変更命令権がある旨を、あらかじめ就業規則に定めておくことで包括的な合意を得ておくものとなります。

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労働時間(2)手待ち時間

【今回のポイント】

  1. 労働時間は、休憩時間を除いた実働時間
  2. 手待ち時間は労働時間と判断されがちなので要注意

労働時間とは、休憩時間を除いた実働時間をいいます。

よく混同されるのが拘束時間。これは休憩時間を含んだ全部の時間をいいます。

例えば、始業が9:00、終業が18:00、休憩時間が12:00~13:00の1時間だとすると、労働時間は休憩時間を除いた8時間となり、拘束時間は全体の9時間となります。

労働時間は、社員が実際に働いている時間以外に、使用者の指揮命令下におかれている時間も含むとされます。これが「手待ち時間」というものです。

ちなみに休憩時間は、労働基準法で労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間を労働時間の途中に与える事とされています。

手待ち時間には様々なケースがあり、またよく労働時間に含むか含まないかで問題になります。

よく相談があるのは、お昼休憩中に社員が自分の机で昼食を取りながら、かかってきた電話を取り対応しているケースです。
この場合、昼食を取りながら電話を取る事を会社が指示しているのかどうかが判断基準となったりします。

あいまいな状態のままにしておき社員から訴えられると、休憩時間なのに働かされたとして慰謝料の支払いを求められる場合もあるのです。(住友化学事件・最三小判S45.11.13)

判例上でも、手待ち時間は労働時間であると判断されるケースが多く、あいまいな状態での休憩がいかに危険であるかが分かります。

例1)
客がいないことを見計って適宜休憩しているような場合は、労働時間としての手待時間(すし処「杉」事件・大阪地判S56.3.24)
例2)
仮眠時間中に仮眠室で待機し、警報が鳴るなどした場合は直ちに対応して所定の作業を行なうように指示をされていた(大星ビル管理事件・最高裁H14.2.28)

休憩は休憩としてしっかり休んでもらい、その後の勤務に専念してもらうべきでしょう。

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労働時間(3)1日・1週の数え方

【今回のポイント】

  1. 会社が定める労働時間は「所定労働時間」、法律で定める労働時間は「法定労働時間」
  2. 1日は0~24時、1週間は日曜日~土曜日が原則

労働基準法では、労働時間を1日8時間・1週40時間(特例事業は44時間)までとし、これを超えて働くことはできないとしています。これを法定労働時間といいます。

よく会社で定めてある時間は1日7時間半だったり、法律と同じ8時間だったりしますが、これは会社が定めた労働時間であることから、所定労働時間といいます。

実際には、法律で定めた時間を1分たりとも超えずに働くという事は難しく、この制限を回避し業務を行えるようにするために「36(サブロク)協定」を労働基準監督署に届け出をします。

36協定詳しい内容、書き方はホームページでも公開していますので参考ください。
https://www.nari-sr.net/business/36agreement/

そして実際に残業が発生した場合には、法定労働時間を超えた分については一定の割増率をかけた賃金を支払わなければいけません。

この1日8時間・1週40時間(特例事業は44時間)は労働時間とされていますので、休憩時間は含まれません。

ちなみに特例事業とは、以下の事業を行っていて常時雇用する労働者が10人未満の事業場をいいます。

① 商業(卸売業、小売業、理美容業、倉庫業など)
② 映画・演劇業(映画の映写、演劇、その他の興業など)
③ 保健衛生業(病院、診療所、社会福祉施設、浴場業など)
④ 接客娯楽業(旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地など)

常時10人未満という制限がありますが、商店や病院・クリニックなど小規模で運営しているところは該当します。

1日・1週の数え方について。

1日8時間の「1日」は、通常、午前0時より午後12時までの「暦日」を意味します。

ただし徹夜残業などで前日より勤務が続いている場合には、翌日の始業時刻までを前日からの勤務として労働時間をカウントします。

「1週」は、一般的には日曜日~土曜日までの暦週で数えますが、就業規則に1週の起算日を定める事で、日曜日からではなく別の曜日にする事もできます。

また「1週40時間」では実際の勤務に支障が生じるようであれば、変形労働時間制を導入し、変則的な労働時間を設定し利用する事もできます。

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労働時間(4)行政のガイドラインを把握する

【今回のポイント】

  1. 行政が求めているのは、毎日の記録と確認、客観的な把握方法
  2. 実際に労務を提供し働いている時間を把握する方法が大事

厚生労働省では、労働時間を適正に把握するためのガイドラインを公表し、企業に対して労働時間管理の徹底を指導する根拠ともしています。

自社に合った労働時間の管理を行うためにも、行政がどのようなガイドラインを示しているのか把握をしておく必要があります。

1.対象となる労働者
労働時間管理の対象となるのは、管理監督者・みなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての労働者としています。
事業場外労働を行う場合には、みなし労働時間制が適用される時間以外が、労働時間管理の対象となります。

2.始業・終業時刻の確認と記録
労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録することとしています。

3.始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
原則として次のいずれかの方法によること。
・使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
・タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し記録すること。

4.自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
・自己申告制を導入する前に十分な説明を行うこと。
・自己申告の状況については必要に応じて実態調査を実施すること。
・時間外労働時間数の上限を設定するなど労働者の申告を阻害するような措置をしないこと。

行政が求めているのは、毎日の記録と確認、客観的な把握方法、になります。

[037]労働時間(1)でお伝えした通り、始業・終業時刻は、それぞれ業務開始時刻と業務終了時刻であって、出社・退社時刻ではありません。

労働時間=実際に労務を提供し働いていた時間を適正に管理するためには、客観的な時間把握のためのタイムカードやICカードとは別に、時間外勤務指示や休日出勤指示に関するルールを設けて、これを管理するツールを使用するなどの方法を検討します。

このような管理方法は、管理が煩雑だからと敬遠されがちですが、給与を支払うための根拠となる労働時間を適正に把握しているという根拠になりますので、何かしらの方法を取るべきといえます。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(リーフレットH24年3月版)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/070614-2.pdf

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1か月単位の変形労働時間制

第●条(1か月単位の変形労働時間制)

  1. 第●条の規定にかかわらず、社員の所定労働時間は、毎月1日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制を採用する場合がある。
  2. 所定労働時間は、1か月を平均して週40時間以内で、所定労働日および所定労働日ごとの始業・終業の時刻を次の通り定めるものとする。

【今回のポイント】

  1. 1か月の中である程度業務の繁閑サイクルが決まっている場合に適している制度
  2. 時間外勤務の計算方法に注意

これは、1か月以内の期間(1か月、4週間など)を平均して各週の所定労働時間を決める制度です。

変形時間を平均して、1週間の労働時間が週40時間以下になっていれば、他の時期の所定労働時間が1日8時間、週40時間を超えていても、時間外労働の扱いをしなくて済むというものです。(特例措置対象事業場 においては週44時間以下)

例えば、月初は比較的業務に余裕があるが、月末の1週間が忙しい場合など、1か月の中である程度業務の繁閑サイクルが決まっている場合に適している制度といえます。

制度を導入するには、労使協定を締結するか、就業規則に定める事が必要です。

労使協定を締結した場合には、所轄労働基準監督署への届け出が必要となります。

定めなければならない内容は次の通り。

・変形期間(1か月以内、4週間単位、20日単位などにすることも可能)
・変形期間の起算日(毎月1日、毎月16日など給与の計算期間に合わせる事が多い)
・制度の対象となる労働者
・各日、各週の労働時間
・(労使協定の場合)協定の有効期間

この制度を利用する際には、変形期間での法定労働時間の上限が決められており、以下の式で計算されます。これを超えた時間は割増賃金を支払わなければいけません。

・40(時間)×変形期間の暦日数/7

具体的には、1ヶ月で177.1時間 (31日の月)か171.4時間 (30日の月)、4週間で160.0時間、20日で 114.2時間 となります。

時間外労働を計算する場合には、例えば1日の労働時間を9時間を定めた日は9時間を超えた分から割増賃金の対象となり、1週間の労働時間を45時間と定めた週は、この時間を超えた分が対象となります。

これに対して法定労働時間より少ない時間を定めた日・週では、この時間を超えた分から割増賃金の対象となります。

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フレックスタイム制(1)

第●条(フレックスタイム制 )

  1. 第●条の規定にかかわらず、社員に対し、労働基準法32条の3に基づき、次の事項を定めた労使協定を締結して、その社員にかかる始業および終業の時刻をその社員の決定に委ねる場合がある。
    ①対象となる社員の範囲
    ②清算期間
    ③清算期間における総労働時間
    ④標準となる1日の労働時間
    ⑤コアタイムを定める場合には、その開始時刻と終了時刻
    ⑥フレキシブルタイムを定める場合には、その開始時刻と終了時刻
  2. 前項の場合、締結した労使協定を就業規則に添付して就業規則の一部とし、就業規則に定めのない場合は、当該協定の定める内容によるものとする。

【今回のポイント】

  1. フレックスタイム制は、社員が始業時刻と終業時刻を自主的に決定し働く制度
  2. フレックスタイム制を導入するには就業規則だけでなく労使協定が必要

フレックスタイム制は、社員が始業時刻と終業時刻を自主的に決定し働く制度です。

通常は、1日の労働時間を、必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)と、いつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分けます。

コアタイムは必ず設けなければならないものというわけではなく、全部の労働時間をフレキシブルタイムとすることもできます。
これとは逆に、コアタイムがほとんどで、フレキシブルタイムが極端に短い場合だと、始業・終業時刻を社員が決定することにならず、フレックスタイム制とみなされないので注意が必要です。

この制度を導入するには、就業規則へ定めるのと労使協定の締結が必要になります。ただし労使協定は労働基準監督署へ届け出る必要はありません。

労使協定には、次の事項を定めます。

・対象となる社員の範囲(部署単位、職種単位、従業員の職位など)
・清算期間と起算日(労働時間の清算を行う期間、1か月以内で設定)
・清算期間における総労働時間(法定労働時間内で設定、計算方法は1か月単位の変形労働時間制と原則は同じ)
・標準となる1日の労働時間
・コアタイムを設ける場合は開始時刻と終了時刻
・フレキシブルタイム設ける場合は開始時刻と終了時刻

では就業規則には何を定めるかというと、フレックスタイム制を導入する社員については、始業・終業時刻を本人の決定に委ねるということを定めます。

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フレックスタイム制(2)

【今回のポイント】

  1. 実務上では一定期間の勤務予定により始業・終業時刻を把握し、業務上の必要に応じて制限を行う場合もある
  2. 清算期間内での実働時間が足りない場合は、次の清算期間でカバーする事もできる

フレックスタイム制は、社員が始業時刻と終業時刻を自主的に決定し働く制度です。

では一旦フレックスタイム制を導入したら、会議のために出社時刻を制限したり、早出や残業を命じる事はできないのでしょうか。

原則としては、会議のために出社時刻を制限するなどは、対象社員の同意がなければできない形となりますが、これでは実務に支障が出てしまいます。
社員に出退勤時刻を委ねるとはいえ、毎日、好きな時間に出社・退社されるのは、やはり実務に支障が出てしまいます。

これらを解消するために、事前に一定期間分の勤務予定をたて届出をしてもらい、届出された勤務予定を元に、会議など業務上必要があれば出社時刻を制限したり、残業を命じる形を取るのも一方法でしょう。

なおフレックスタイム制での時間外労働は、清算期間内での総労働時間を超えた分を時間外勤務手当として計算し支給します。

この超過時間分を次の清算期間分に充当することは、清算期間内分として支給されるべき給与の一部が支払われないこととなり、労働基準法第24条に違反するものとなるため、清算期間での超過時間分は清算期間での給与として支払わなければいけません。

逆に清算期間内での労働時間に不足があった場合は、不足時間分を給与から控除する方法の他、この不足分を次の清算期間での総労働時間に加える事も可能です。
ただし、不足時間を加えた結果、次の清算期間での総労働時間が法定労働時間を超える場合は、この超える分を時間外手当の対象としなければいけません。

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1年単位の変形労働時間制(1)

第●条(1年単位の変形労働時間制 )

  1. 第●条の規定にかかわらず、社員の所定労働時間は、次の事項等を定めた労使協定により、1年単位の変形労働時間制を採用する場合がある。
    ① 対象社員の範囲
    ② 対象期間
    ③ 対象期間における労働日とその労働日ごとの労働時間
    ④ 有効期間
    ⑤ 区分できる期間
  2. 所定労働時間は、1年間を平均して1週間あたり40時間以内とする。

【今回のポイント】

  1. 年間通して業務の繁閑の時期がある程度決まっている場合に有用
  2. 1年単位の変形労働時間制は労使協定の締結と届出が必要

1年単位の変形労働時間制は、一定の内容について労使協定を締結し届け出することで、1か月超~1年以内の一定期間内で、1日8時間を超えたり、1週40時間を超えて労働させることができる制度です。
ただし、この一定期間内を平均して1週40時間を超えないように労働時間を設定しなければいけません。

この制度は、一般的に盆休みや年末年始など年間を通して一定時期に繁閑が集中する業種に適しているとされ、デパート・小売り・物流業・学校などに有用とされています。

上記以外の一般企業でも、年間の休日を事前に設定し、これに合わせて各時期の労働時間を決めているところが多くあります。
この場合、1日の労働時間を変更せず休日数を調整することで、1週の法定労働時間を変形するのが目的となります。

新たに制度を導入する際には、特定の週の労働時間が今までより長くなる場合があり、不利益変更ではないかと問題になることがあります。

実際に導入するにあたり、導入後の全所定労働時間が導入前の全所定労働時間と同じか少なくなるように設定されていれば問題ないわけで、むしろ導入後の全所定労働時間が導入前より短く設定されていれば、不利益変更どころか利益変更にもなり得るのです。

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1年単位の変形労働時間制(2)

【今回のポイント】

  1. 労使協定の内容は具体的にする
  2. 対象期間内での労働日数や労働時間を上手く調整してみる

1年単位の変形労働時間制を導入するには、労使協定の締結と届出が必要となります。

労使協定では以下の内容について具体的にしていきます。

1)対象労働者の範囲
この制度の対象となる社員を職種や部門など具体的に定義しておきます。

2)対象期間と起算日
この制度を導入する期間と起算日を定めます。
対象期間は1か月を超え1年以内とし、起算日を設けます。

3)対象期間内の労働日と労働時間
労働日は、連続して働けるのは6日までとなります。
ただし特に業務が繁忙な期間を特定期間として設ける場合は、1週に1日の休日が確保できるよう労働日を設定します。
この特定期間を設けた場合には、対象期間内で変更する事はできません。
また対象期間内での労働日数は280日までとなりますが、対象期間が3か月以内であれば制限はありません。

労働時間は、1日10時間、1週52時間以内で定め、対象期間を平均して1週40時間を超えないように設定をします。
隔日勤務のタクシー運転手については、1日16時間までとされています。
対象期間が3か月を超える場合は、1週48時間を超える週は連続3回までか、3か月間で3回までのどちらかに設定されている必要があります。

4)有効期間
締結する労使協定の有効期間を定めます。
有効期間は1年程度が望ましいとされますが、3年以内のものであれば届出は受理するとしています。

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1年単位の変形労働時間制(3)

【今回のポイント】

  1. 時間外労働は労使協定で締結した時間を超えた分から
  2. 対象期間が終わった時に再度超えた分を精算する

1年単位の変形労働時間制を導入している際の、時間外労働の計算方法は以下の通りとなります。

1日について
労使協定で8時間を超える労働時間となっている日は、その時間を超えて労働した時間。
それ以外の日は8時間を超えて労働した時間。

1週間について
労使協定で40時間を超える労働時間となっている週は、その時間を超えて労働した時間。
それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間。この時、1日の時間外労働となった時間は除いて計算します。

対象期間について
対象期間での法定総労働時間の総枠を超えて労働した時間。この時、1日・1週間で時間外労働となった時間は除いて計算します。

法定総労働時間の総枠=40時間×(365日÷7日)

1年が365日のときの法定労働時間の総枠は2085.7時間となり、この総枠を超える労働時間となったかどうかは、対象期間が終了した時点で確定しますので、この分の時間外手当は、対象期間終了後の直近の給与支払時に精算することとなります。

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休憩時間

第●条(休憩時間)

  1. 休憩時間は、原則として12時から13時とする。
  2. 休憩時間は、自由に利用する事ができる。ただし、外出する場合は所属長に届け出て許可を受けなければならない。
  3. 1項の時刻については、業務の状況または季節により、事前に予告して当該勤務日の所定労働時間の範囲内で、就業時間及び休憩時間を繰り上げまた繰り下げ及び変更をすることがある。

【今回のポイント】

  1. 休憩時間は労働時間に応じて与える時間が決まっている
  2. 休憩時間は自由利用が原則だが、一定の制限を設ける事も可能

労働基準法では、労働時間が6時間超え8時間までは45分、8時間超えた場合は1時間の休憩時間を与えなければならないとしています。

8時間を超えた労働時間については、その後15時間だから2時間などと制限がされているわけではなく、8時間超えたら1時間与えればよいとなります。

とはいえ、長時間労働となると生産性も落ちてきますので、残業時や深夜勤務時に多少の休憩を取る事が多いのが実際のところでしょう。

この休憩時間、労働時間の途中で与えなければいけません。業務開始前や業務終了後に与えるという形は違法となります。

では残業時間を含めて6時間を超える場合はどうなるのでしょう。
この場合も労働時間の途中に与えなければいけませんので、遅くとも残業を始める前には休憩を取る必要があります。

休憩時間を分割して与える事は特に制限されているわけではありませんので、1日の休憩時間を分けて利用してもらうという事も可能です。ただし極端に細かく分けると、本来の休憩としての意味がなくなるため休憩時間として認められないケースもあります。

また休憩時間は、原則として社員に一斉に与えなければならず、休憩時間を自由に利用させなければいけません。

一斉に与えるのが業務上難しく交替制で休憩を取る場合などは、労使協定を締結すれば全員が一斉に休憩を取らない形にもできます。

自由に利用するという点について、法律上では「労働から完全に解放されることが保障された時間」としていますが、全くの自由利用を保障しなければいけないかというと、例えば「事業所内で休憩を取ること」「休憩時間に外出する際は所属長の許可を取る」など一定の制限はできるものとなります。

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休日

第●条(休日)

  1. 休日は次の通りとする。ただし、業務の都合上、他の日と変更することがある。
    ①日曜日
    ②土曜日
    ③国民の祝日
    ④年末年始(原則として12月29日から翌年1月3日まで)
    ⑤その他、会社が指定した日
  2. 前項の休日のうち、法定休日を上回る休日を所定休日とする。
  3. 変形休日制が適用される場合は、4週間を通じて4日以上の休日を与えるものとし、この起算日は、当該年度の4月第1土曜日とする。

【今回のポイント】

  1. 休日には法定休日と所定休日がある
  2. 法定休日は必ずしも日曜日にする必要はない

休日は、毎週最低1日は与えなければならないとされています。これを週休制の原則といいます。

この毎週最低1日休むことの例外として、4週間のうち4日以上の休日を与える事も可能とされています。これを変形休日制といいます。
この場合、毎週1日ずつ与える必要はありませんので、特定の週に4日与えても構いません。
また変形休日制を導入する場合には、4週間を計算する起算日を設ける必要があります。

上記いずれかの方法で与えられる休日は、暦日を意味し、午前0時から午後12時までとなります。

また必ずしも日曜日でなければいけないわけではなく、他の曜日であっても構いません。

これら法律で定められた休日を「法定休日」といいます。

これとは別に「所定休日」があります。

所定休日は1日8時間1週40時間の原則より、多くの企業で週休2日としている中、上記の法定休日の他に定める休日をいいます。

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休日の振替

第●条(振替休日)

  1. 業務上必要がある場合は、前条の休日を他の日に振り替えることがある。
  2. 前項の場合、事前に所属長の許可を得て、届出書を提出するものとする。
  3. 休日を振り替える場合は、原則として1週間以内で振り替える日を指定するものとする。ただし、休日は4週間を通じ4日を下回ることはないものとする。

【今回のポイント】

  1. 休日の振替は「事前に変更」
  2. 振り替えた結果によっては時間外労働となる場合もあるので注意

休日の振替は、就業規則で休日と定められた日を事前に変更して労働日とし、代わりに労働日とされている日を休日とすることをいいます。

この場合、元々休日とされていた日が労働日となり、休日に労働させたことにはならないので、割増賃金を支払う必要はありません。

この振替を有効に行うためには、就業規則に振替休日に関する規定を定め、振替を実施する日の少なくとも前日までには、振替日を指定し労働者に通知することが必要とされています。

ただし1週1日または4週4日(変形休日制)の休日に違反してはならず、法定休日が確保されるように振替る日を決めなければいけません。

また休日の振替を行った結果、原則として1週40時間の法定労働時間を超えるときは、超えた分は時間外労働となり割増賃金の支払いが必要となります。

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代休

第●条(代休)

  1. 業務上必要がある場合及び臨時に就業の必要がある場合は、所属長の指示により休日に就業させることができる。その際、所属長の承認を得て、届出書を提出するものとする。
  2. 前項の休日に労働した社員に対し、会社の判断により代休を与えることがある。
  3. 前項の代休が与えられた場合の休日労働については、労働基準法所定の割増賃金(法定休日の場合は3割5分、それ以外の所定休日は2割5分)のみを支払う。

【今回のポイント】

  1. 代休は休日出勤した後に付与するもの
  2. 休日出勤分の割増率だけを支払うかどうかは就業規則に定めておき曖昧にしない

代休は、就業規則に定められた休日に休日労働をさせた後「事後に」休日を与えるものです。

振替休日と異なるのは「事前に」労働日と休日を変更するのではなく、先に休日労働が発生し、後日、別の労働する日に休みを与えるという点です。

振替休日では、事前に休日と労働日を変更していますので、原則として割増賃金の支払いは発生しません。

代休では、先に休日労働をし、その後に休みを与えますので、休日出勤手当は割増分だけでいいのか、働いた分の賃金も必要なのかが問題となります。

上記の規定例では、後日代休を与えた場合には、先に発生している休日出勤に対して割増率(法定35%、所定25%)のみ支払うものとし、代休を有給扱いとしています。

では代休をいつまでに与えるべきでしょう。

労働基準法では給与の全額払という考え方がありますので、同じ給与計算期間内で代休を与えるのが難しい場合には、休日出勤時の賃金支払がいったん必要になるという点に注意をし、少なくとも次の給与計算期間内には代休を与えるべきと考えます。

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事業場外労働みなし(1)

第●条(事業場外労働みなし)

  1. 会社は、業務上の必要がある場合、事業場外での労働を命じることがある。
  2. 社員が労働時間の全部または一部を事業場外で業務に従事した場合、労働時間の算定が難しいときは、所定労働時間働いたものとみなす。

【今回のポイント】

  1. あくまでも労働時間を正しく把握する事が困難な場合に採用できる
  2. 所定労働時間働いたとみなすのか、通常必要とされる時間働いたとみなすのか扱いが異なってくる

営業職の社員や記者など、現実としてどの程度働いていたかを確認するのが困難な場合があります。

事業場外労働みなしは、これら外での労働状況を把握するのが難しく労働時間が明確にならない場合に、一定の労働時間を働いたとみなす制度となります。

労働基準法38条の2では、事業場外でのみなし労働について3つの考え方をとっています。

1)所定労働時間働いたとみなす
2)使用者により通常必要とされる時間を働いたとみなす
3)労使協定を締結し通常必要とされる時間働いたとみなす

みなし労働時間では、労働時間の把握が困難な場合に、所定労働時間働いたとするのか、その業務を行うのに必要とされる時間働いたとするのかで、労働時間の捉え方が異なってきます。

また労働時間の全部を事業場外で働いていたのか、一部を働いていたのかでも取り扱いが異なりますので、一様に「所定労働時間働いたとみなす」と定めるにはリスクがあるといえます。

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事業場外労働みなし(2)

【今回のポイント】

  1. 事業場外労働みなしは「使用者の具体的な指揮監督が及ばず」がポイント
  2. 携帯電話やスマホなどを持っているからといって、必ずしも事業場外労働みなしとならないとも限らない

事業場外労働というと、外勤の営業職を想像されるのが通常ですが、これには出張や臨時での他業務応援なども含まれます。

行政通達でいうところの「労働時間の算定が難しいとき」というのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務とされています。

ポイントは「使用者の具体的な指揮監督が及ばず・・・」です。

携帯電話・スマホなどの携帯機器が当たり前の世の中で、現実に使用者の具体的な指揮監督が及ばない状況があるのかが問題となります。

行政の考え方では「携帯電話等によっていつでも連絡がとれる状態にあって随時使用者の指示を受けながら労働したりする場合」は、みなし労働時間制の対象外となるとされています。

つまり携帯機器を持っているからといって必ずしも事業場外労働みなしとはならないという事ではなく、連絡が取れる状況にあるのか、また指示を受ける程度によって判断されるという事になります。

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事業場外労働みなし(3)在宅勤務

【今回のポイント】

  1. 自宅内で自身の一定の裁量により業務を行っていること
  2. 在宅勤務では労災が発生した時の立証が難しい

事業場外労働みなしとして在宅勤務があります。

在宅勤務の場合、使用者の指揮命令下にあるとも言い難く、また実際に労働時間を管理する事が難しい状況での労働といえます。

行政通達では、次の(1)と(3)の要件を満たしている場合には、事業場外労働みなし制を導入できると判断しているようです。

事業場外労働みなしとして在宅勤務があります。

(1)業務を行う場所が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われていること
(2)PCなどの情報機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくとされていない事
(3)業務を行う際に、随時具体的な指示に基づいて行われていないこと

つまり、自宅で作業をし、その作業も具体的な指示を都度受けることなく、ある程度自主的に進めていける形であり、また情報機器はいつでも会社からの指示を受けられるような常時接続にはなっていない、という状況である事が必要とされます。

在宅勤務の場合、労働時間の管理が難しいという一面があるため、労災が発生した際の立証も難しいという一面を持っていますので、業務に対する具体的な指示は受けなくとも、その日の業務内容とかかった時間等の報告は当然に必要となると考えます。

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事業場外労働みなし(4)会社に戻ったとき

【今回のポイント】

  1. 実際に働いた時間がみなした時間より短かったとしても「みなした時間」が適用される
  2. みなし時間を、所定労働時間とするのがいいのかどうかは検討が必要

事業場外での勤務を終え一旦会社に戻り、さらに仕事をした場合は、会社に戻って仕事を始めたところから労働時間の把握ができますので、事業場外労働みなしの時間としてはカウントできません。

この場合、事業場外で労働したとみなす時間 + 会社内で労働時間が把握できる時間を足した時間が、1日の実働時間と取り扱われます。

この「事業場外で労働したとみなす時間 + 会社内で労働時間が把握できる時間」が法定労働時間を超えていると、36協定の対象になりますし、割増賃金の支払いも必要となります。

「労働時間の全部または一部を事業外で労働をし、労働時間の算定が難しい場合には所定労働時間働いたとみなす」と就業規則に定めてあり、事業場外労働みなしが 適用されるときは、事業場外での労働時間が2~3時間と短時間であったとしても所定労働時間働いた事になるわけですから、会社に戻ってからの労働時間に よっては割増賃金の支払い対象となります。

外勤の営業職など、会社に戻ってからの業務に対する労働時間が一定程度と見込めるような場合は、事業場外労働とみなす時間を所定労働時間としていいのか、あるいは通常必要とされる時間として一定時間に留めておくのが現実的なのかどうかを考える必要があるでしょう。

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専門業務型裁量労働制(1)要件

第●条(裁量労働制)
労働基準法第38条の3および4に定める裁量労働に従事する者の労働時間については、その対象者およびその労働時間の算定に関する労使協定を締結したときは、第●条の労働時間の規定に関わらず、当該労使協定に定めるところによる。

【今回のポイント】

  1. 専門業務型裁量労働制は、実際に労働した時間に関係なく労使協定で定めた時間働いたとみなす制度
  2. 一定の業務でのみ利用できる

専門業務型裁量労働制とは、法律で定めた一定の業務を行う労働者に対して、実際に労働した時間に関係なく、労使協定で定めた時間働いたとみなす制度です。

労使協定で定めてあるからといって、全てがみなし労働時間になるわけではなく、休憩時間・休日・時間外労働・深夜労働に関する法律の適用があります。

裁量労働制であっても休憩時間を取らなければいけません。

みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には、法律で定めた割増賃金を支払わなければいけません。

休日に労働する場合や深夜労働にも割増賃金は支払わなければならず、働き方によっては36(サブロク)協定の締結と届出が必要となります。

現実には36協定を締結した上で、専門業務型裁量労働制が適用となる業務について、別途労使協定を締結し届け出を行う事となります。

専門業務型裁量労働制に関する労使協定では、対象となる業務、みなし労働時間、健康管理、苦情処理に関する措置、有効期間などを定めていきます。

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専門業務型裁量労働制(2)対象業務

【今回のポイント】

  1. 制度を導入する際に、対象者の個別同意は必要ない
  2. 対象となる業務かどうかは法律の解釈だけでなく労使間での十分な検討も必要

専門業務型裁量労働制は、対象となる労働者の同意を必要としませんので、労使協定で締結されている内容が、対象労働者に適用されるものとなります。

この制度では、適用される業務が法律で定められており、現在は以下の19種類となっています。
ここは法律のまま記載します。

個別業務の解釈はこちら
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
  7. 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
  8. 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

実際に専門型裁量労働制を導入するにあたり、法律で定めた業務に該当するのかどうかが問題となります。

法律に基づいた解釈だけだと適用されない可能性もありますので、行政通達の文言に則って検討しながらも、会社と労働者との間で十分に協議をし定める必要があります。

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専門業務型裁量労働制(3)労使協定で定めること

【今回のポイント】

  1. 専門業務型裁量労働制を導入するには、一定の事項を定めた労使協定を締結し管轄労働基準監督署へ届出る必要がある
  2. 1日のみなし労働時間が法定労働時間を超えているときや深夜勤務・休日労働が発生したら割増賃金が必要

専門業務型裁量労働制を導入するには、一定の事項を定めた労使協定を締結し管轄労働基準監督署へ届出る必要があります。

【労使協定で定める事項】

  1. 対象となる業務
    具体的には所属部門や一定の職種の中から、会社が指示する者となります。
  2. 労働時間としてみなす時間
    対象業務を行うのに必要とされる時間を定めます。
    これは1日あたりの労働時間を協定するとされ、1週間のみなし労働時間は認めないとされています。
    必要とされる時間が9時間など法定労働時間を超える場合には、法定労働時間を超える分の割増賃金を考慮した賃金を支払わなければいけません。
  3. 対象となる業務を行うための手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
  4. 対象労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
    具体的には、労働時間の把握と一定期間ごとの健康状態チェック、健康状態によっては特別健診を実施したりします。
  5. 対象労働者からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容
    健康状態に限らず、様々な問題や課題を相談できるところ(総務部門や外部専門窓口など)を設置するようにします。
  6. 協定の有効期間
    3年以内とすることが望ましいとされています。

上記以外に、労働時間については深夜労働や休日労働をどう扱うかがポイントになります。

裁量労働によるみなし労働時間とはいえ、深夜労働や法定休日労働が発生したときは、一定の割増賃金を支払わなければいけません。

多くの場合、深夜労働・休日労働は裁量労働に含めず、別途、所属長の許可や承認を得る形として分けて管理をしています。

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遅刻・早退・欠勤

第●条(遅刻・早退・欠勤)

  1. 社員は、交通遅延、私傷病その他やむを得ない理由により、遅刻・早退・欠勤となる場合には、あらかじめ所属長に届け出をし、承認を得なければならない。
  2. 遅刻ならびに欠勤につき事前に承認を得ることが難しい場合には、事後速やかに届け出をし、承認を得ること。

【今回のポイント】

  1. 遅刻や欠勤時の届け出は、労務が提供されなかったという事実を認めるもので、労務提供の義務が免除されるものではない
  2. 遅刻や欠勤時のペナルティは減給制裁に違反しないよう注意が必要

遅刻・早退・欠勤時に届出をし承認を得る事により、労務の義務が免除されるものではありません。

あくまでもそれぞれの時間分の労務が提供されなかったという事実を認めるものとなります。

よく交通遅延に対し「遅延証明書」を出せば遅刻という事実が免除される扱いをしていますが、これは必ずしも認める必要があるものではありません。

5分・10分の交通遅延で遅刻するという事は、通常でも始業時刻に業務を開始できる状態ではないともいえ、ある程度余裕をもって出社すべきといえます。

これに対して、遅刻や欠勤が発生した際に、会社が年次有給休暇を使用するよう指示するケースがあったりします。

これは年次有給休暇の請求権は社員側にあるものであり、会社が使用を指示できるものではありません。

また遅刻3回で1日欠勤分を給与から控除するなどの扱いをするケースもあります。

遅刻や欠勤時間に相当する分を給与から控除するのは「ノーワーク・ノーペイ」の原則による者でもあり認められますが、ペナルティを課す場合には、労働基準法で定める減給制裁の制限が適用され、一定程度までしか認められないものとなります。

遅刻や欠勤が多いなど勤務状況が良くない場合には、日頃からの指導と人事考課での判断など、改善を求めた上での対処が必要といえます。

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年次有給休暇(1)要件と性質

第●条(年次有給休暇)

  1. 入社日より6カ月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した社員に対して、6カ月を超えた日(これを応答日とする)に10日の年次有給休暇を与える。
  2. 前項以降の年次有給休暇の付与日数は次のとおりとする。ただし応答日前日までの過去1年における所定労働日の出勤率が8割以上である者に限る。
    <勤続期間(継続勤務)>    <付与日数>
    • 入社日より勤続1年6カ月後の応答日  11日
    • 入社日より勤続2年6カ月後の応答日  12日
    • 入社日より勤続3年6カ月後の応答日  14日
    • 入社日より勤続4年6カ月後の応答日  16日
    • 入社日より勤続5年6カ月後の応答日  18日
    • 入社日より勤続6年6カ月後の応答日  20日
    • 以後毎年の対応日           20日
  3. 年次有給休暇は、特別の理由がない限り少なくとも2日前までに、所定の手続により届けなければならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、指定した日を変更することがある。
  4. 第1項、第2項の出勤率の算定にあたっては、年次有給休暇、産前産後の休業の期間、育児休業期間、介護休業期間および業務上の傷病による休業の期間は出勤したものとして取り扱う。
  5. 社員の過半数を代表する者との書面協定により、各社員の有する年次有給休暇のうち5日を超える日数について、予め時季を指定して与えることがある。
  6. 労使協定を締結した場合は、次の各号に定める要領で時間単位での年次有給休暇(以下、時間年休という。)を付与することができる。
    ①時間年休は、1時間単位で取得することができる。
    ②時間年休は、1年間に付与された年次有給休暇のうち5日間以内とする。
    ③時間年休を計算する場合の1日の時間数は8時間とする。
    ④時間年休の次年度への繰越しにあたって、繰越年次においても時間年休は5日以内となるように設定する。
    ⑤時間年休の取得をする場合は、少なくとも2労働日前までに所定の手続により申し出なければならない。ただし、業務の都合によりやむを得ない場合は、指定した時間もしくは日を変更することがある。
  7. 年次有給休暇は次年度に限り繰り越すことができる。
  8. 年次有給休暇に対しては、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う。なおこの場合、原則として実費弁償としての通勤手当はこれを支払わない。

【今回のポイント】

  1. 年次有給休暇を付与するには、一定の勤続年数や出勤率などが求められる
  2. 法律で定める要件を満たしていれば、休暇の付与方法、利用する際の単位などは、会社によって異なっても構わない

労働基準法では、雇入れ日から6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した場合に、継続または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならないとされています。
そして、その後は6カ月を超える勤続年数1年につき1労働日を加算し、3年6カ月目からは2日ずつ加算され、6年6カ月以降は最大20日とされています。

年次有給休暇(以下、年休とします)には以下の付与する要件と性質があるものとなり、これらは次回以降詳しくみていきたいと思います。

  1. 一定以上の勤続年数
  2. 8割以上の出勤に対して年休を付与する保障
  3. 労働者が年休を請求する権利の保障
  4. 使用者(会社)が年休取得の時季を変更する権利
  5. 年休を利用する際の単位

多くの企業では、これら要件を考えながら、労働基準法で定める要件を満たしているのを前提とし、年休を付与するタイミングを社員ごとではなく一斉に付与するようにしたり、年休を利用する際の単位を1日・半日・時間(法改正による)にするなど、様々な方法で与えています。

これらは全て就業規則に定め、必要に応じて労使協定を締結する事で、運用が成立されるものとなります。

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年次有給休暇(2)勤続年数

【今回のポイント】

  1. 年次有給休暇の付与には勤続年数が求められる
  2. 勤続年数が通算されるかは個別の状況により確認する必要がある

年次有給休暇(以下、年休)を付与するにあたり、一定期間の勤続年数が必要とされます。

この勤続年数をどう判断するかにより付与数に影響するため、取り扱いに注意が必要です。

具体的には、以下のような場合には勤続年数として通算するようにと行政通達が出されています。(S63.3.14基発150号)

  1. 定年退職者を引き続き嘱託等で再雇用している場合。退職金が支給されている場合も含む。ただし、退職日から再雇用日までの期間が空いており、客観的にみて雇用契約が断続している場合を除く。
  2. 労働基準法21条に該当する日々雇用される者、2か月以内の期間を定めて使用される者、4か月以内の期間を定めて使用される出稼ぎ労働者、試用期間中の者でも、雇用実態より引き続き使用されていると認められる者
  3. 一定期間ごとに雇用契約を更新し、契約期間が6か月以上になっている場合で、雇用実態より引き続き使用されていると認められる者権利
  4. 在籍出向者
  5. 休職者が復職した場合
  6. 会社の解散で、社員の待遇などの権利義務が新会社に包括し承継された場合
  7. 社員全員を解雇し所定の退職金も支給し、その後に改めて一部の社員を採用したが、実際には人員を縮小しただけで、前と変わらずに事業を継続している場合

これらに関わらず、雇用契約が存続しているのかどうか、使用者との関係性がどうかなど、継続勤務とするかどうかは勤務実態により判断されます。

安易に自社都合だけで判断するのではなく、状況によっては確認が必要といえます。

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年次有給休暇(3)出勤率

【今回のポイント】

  1. 年次有給休暇を付与する際には8割以上の出勤が前提
  2. 出勤率に含めなければいけない日と含まなくてもよい日が決められている

年次有給休暇(以下、年休)を付与する際には、全労働日の8割以上出勤する事を要件としています。

企業によっては出勤率を厳密にみずに年休を付与しているケースもあります。

法律でいうところの「全労働日」というのは労働義務のない日は含まないとされていますが、行政通達等により、以下の日についても全労働日に含まないとされています。(S33.2.13基発90号、S63.3.14基発150号)

  1. 使用者の責任ではない理由による休業日
  2. 生理休暇を取得した日
    (行政通達では全労働日含むとされています(S23.7.31基収2675号)が、学説では反対意見あり)
  3. 慶弔休暇を取得した日
    (就業義務を免除する日との趣旨で定めている場合)
  4. 労働組合のストライキにより労務の提供が全くされなかった日
  5. 休職期間中
  6. 休日出勤した日
    これとは逆に、以下の日については出勤したとみなし、全労働日にふくむものとされています。(法39条7項、S22.9.13発基17号)
  7. 業務上の理由による傷病で休業している期間
  8. 産前産後の休業期間
  9. 育児介護休業法による休業期間
  10. 年次有給休暇を取った日

なお年休を付与する前1年間の出勤率が8割未満では、その後1年間の年休は付与されませんが、勤続年数には出勤率が8割未満の期間も含まれます。(H6.1.4基発1号)

また出勤率が8割未満で付与されなかった年の翌年に付与する年休は、本来付与されるべき勤続年数に応じて付与され、出勤率不足で付与されなかった日数とする事はできません。

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年次有給休暇(4)事前申請

【今回のポイント】

  1. 事前申請は2日前程度が判例上では限度
  2. 職種にもよるが業務に与える影響を考慮したルール作りがポイント

労働基準法では、社員が年次有給休暇(以下、年休)の取得時期を指定する時季指定権が認められており、一方で会社=使用者が年休の取得時期を変更する時季変更権も認められています。

実際には、突然に年休取得を請求されると業務に支障が生じる場合もありますので、ある程度事前に年休の取得を申し出するようにしておく必要があります。

ではどの程度前までに事前申請を行うのが妥当でしょうか。

業務内容にもよりますが、判例では、取得希望日の前日正午までに申し出るよう就業規則に定めていたケースや、前々日までに申し出るよう就業規則に定めていたケースは違反ではないとしています。

なかにはパイロットのように突然の年休取得に対して代替要員の確保が難しい場合には、取得希望日の2週間以上前までに事前申請するよう求めているケースもあるようです。

どの程度までなら法令違反とされないないかは職種・業務内容によりますが、会社が期限を設ける場合は2日前程度が限度ではないかとされています。

業務に支障が生じる可能性が低いにも関わらず極端に前から申し出をさせるようなルールは避けるべきといえます。

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年次有給休暇(5)時季指定権、時季変更権

【今回のポイント】

  1. 労働者は時季指定権、使用者は時季変更権
  2. 人手不足を理由とした時季変更権は認められにくい
  3. 労働者側も周囲への影響を考慮しない一方的な年休の請求は行わないこと

年次有給休暇(以下、年休)は、一定期間の継続勤務と8割以上の出勤率の要件を満たせば、法律上当然に発生する権利となります。

また労働基準法では年休を労働者の請求する時季に与えなければならないとしており、これが時季指定権とされます。

その一方で、労働基準法では請求された時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に与えることができるとしており、これが時季変更権とされます。

つまり労働者側の時季指定権と、使用者側の時季変更権のそれぞれの権利があるとなるわけです。

時季変更権が認められるかどうかは、労働者の年休請求が事業の正常な運営を妨げる事となるかの判断になり、事業規模・事業内容・担当業務の性質・実際に業務の繁閑度合いがどうか・代替者の配置ができるか、から判断することになります。

この時季変更権、人手不足が理由となる扱いは正当と認められにくいので注意が必要です。

また労働者側も、業務の状況や繁閑度合いを考慮せずに、個人的な理由だけで一方的に時季指定を行うことは、周囲の社員への影響も大いにありますので、お互いに調整しながら運用すべきといえます。

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年次有給休暇(6)次年度への繰り越し

【今回のポイント】

  1. 年休の繰り越しは2年まで。起算日は年休が取得可能となった日から。
  2. 当年分の年休と繰り越した年休のどちらから取得するかは法的定めはないが、今までの実態などから定めていくべき。

取得しなかった年次有給休暇(以下、年休)には繰り越しが認められています。

繰り越しできる期間は、労働基準法で定める2年間の時効にあたると考えられ、起算日は年休が取得可能となった時点よりカウントします。

例えば3か月の試用期間が終了した時点で5日付与し、入社6か月後に5日付与するとした場合は、それぞれ年休が付与された時点から起算します。

当年に付与された年休と前年から繰り越した年休の両方の付与日数を持ち合わせているときに、どちらの年休から取得するのが正しいのでしょうか。

結論からいくと労働基準法では具体的に定めがあるわけではなく、最終的には就業規則や労働協約でどのように定めているかによるところにもなります。

ただ今までは繰り越した年休から取得してきたものを、いきなり今年からは当年分より取得するように取り決めしたとしても、実態から判断する限りは従来通りの取得方法を取るべきとなるでしょう。

具体的な規定がない以上、どちらから取得するかを定める場合には慎重に取り扱うべきといえます。

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年次有給休暇(7)基準日を設けて付与する場合

【今回のポイント】

  1. 付与基準日を設ける場合は、法律で定める付与より社員に有利になる
  2. 入社年度の付与方法は入社月や一定期日ごとに付与日数を設ける

年次有給休暇(以下、年休)は入社日より6か月経過時に10日付与するのが基本となりますが、社員数が多いと入社日で年休を管理するのが煩雑になります。

年休付与の管理を簡略化するために、基準日を設けて付与する扱いを行います。

これは4月1日や10月1日など全社員に年休を一斉に付与する日(基準日)を決めておき、基準日時点の勤続年数と出勤率により年休を付与する方法になります。

基準日を設ける場合、入社初年度は基準日に一括し年休を付与するのではなく、入社月に応じて年休付与日数を決めて付与する方法を取るケースが通常です。

これは法定より前に年休を付与する事となり社員に有利な取り扱いとなるための処置になります。

行政通達上でも以下の要件を満たしていれば差支えないとされています。(H6.1.4基発1号)

1)斉一的取扱い(基準日に一斉に付与すること)や分割付与(入社年度に付与日数を分けて付与すること)により法定基準日以前に付与する場合の8割出勤要件は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと

2)次年度以降の年休付与日についても、初年度付与日を繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間を法定基準日より繰り上げること

具体的な方法は基準日の設け方や入社年度の付与方法によるところとなりますので、自社にあった方法を検討する必要があります。

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年次有給休暇(8)計画的付与

【今回のポイント】

  1. 付与された年次有給休暇のうち5日は残し、これ以外を計画的付与として利用できる
  2. 計画的付与で決められた利用日は、別の日に変更することはできない
  3. 年次有給休暇が付与されていない場合は、別に有給を与えて利用できるようにする

例えば年次有給休暇(以下、年休)が10日付与されていた場合、このうち5日分の年休を取ってもらう時期を固定化して利用する制度を、計画的付与といいます。

労働基準法では「5日を超える日数」について計画的に利用する事ができるとしており、利用するには労使協定の締結が必要となります。

この計画的付与は、全社一斉に行っても構いませんし、部門や職種ごとに設定しても構いません。

利用する時期も、年間の一定日を固定する場合もあれば、一定の範囲内で個別に利用する方法とする場合などがあります。

では入社したばかりで、まだ年休が付与されていない社員はどうするのでしょう。

この場合は、計画的付与の対象となる社員に対し有給の特別休暇を与えるなどし、制度を利用できるようにします。

また社員には年休の時季指定権があるとされていますが、計画的付与を定めた場合には、これに反対する社員に対しても年休日が確定するものとなりますので、別の日を年休日として指定することはできないとされています。

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年次有給休暇(9)時間単位での付与

【今回のポイント】

  1. 最大5日までを時間単位での取得に振替可能
  2. 育児を行う者などの取得目的での制限はできない
  3. 所定労働時間に端数があるときは切り上げになる

平成22年の法改正により、年次有給休暇(以下、年休)のうち5日分を時間単位で取得できるようになりました。

時間単位での取得とする場合には、労使協定を締結し、次の事項について取り決めが必要とされます。

1)時間単位での付与をする対象労働者
一部の社員を対象とする場合は「育児を行うもの」などと取得目的による制限はできません。

2)時間単位で取得する日数
最大5日までとなり、前年度からの繰り越しがある場合には、繰り越し分も含めて5日までとなります。

3)年休1日分の労働時間数
例えば1日の所定労働時間が7時間30分とすれば端数を切り上げ8時間としてから、対象日数分の時間数を計算しなければいけません。
また日によって所定労働時間が異なるときは、1年間での平均所定労働時間を計算するか、一定期間での平均所定労働時間を計算します。

4)付与する時間単位
1時間、2時間と付与する時間単位を定めます。この時、1日の所定労働時間を超える事はできず、分単位での付与も認められていません。

時間単位での年休付与についても、会社側の時季変更権は認められていますが、もともと1日単位の年休を時間単位に振り替えたり、時間単位の年休を1日単位に振り替える事はできません。

また時間単位年休1時間分の賃金は、次のいずれかをその日の所定労働時間数で割った額になり、これは1日単位の年休取得時と同じ方法とします。
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③標準報酬日額(労使協定が必要)

年次有給休暇の時間単位付与
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf

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慶弔休暇(特別休暇)

第●条(慶弔休暇 )

  1. 次の各号の1に該当するときは所属長への願い出により、特別休暇を受ける事が出来る。
    ①本人の婚姻の場合 -最大5日まで
    ②子女の婚姻の場合 -最大3日まで
    ③忌引(配偶者、親、子供、兄弟、祖父母の場合) -最大5日まで
    ④忌引(伯叔父母、甥姪、曾祖父母等4親等までの親族) -最大3日まで
  2. 前項の場合、遠隔地に赴く必要があるときに限り往復日数の範囲内で休暇日数を加算する事がある。
  3. 第1項各項の休暇は有給休暇とし、所定労働時間を労働した場合支払われる通常の給与によるものとする。ただし、退職を予定している社員については、この限りではない。
  4. 第1項で定める休暇には、第●条の休日を含む。
  5. 第1項で定める休暇の取得を希望する者は、会社が定める方法により申請し、その承認を得なければならない。ただし、第1項3号及び4号に定める休暇で、やむを得ず事前に申請する事ができない場合は、事後速やかに申請し承認を得ること。
  6. 前項の手続きを怠った場合、原則として無断欠勤として取り扱う。

【今回のポイント】

  1. 法律で必要とされる休暇ではなく、会社が任意に定めるもの
  2. 取得する際の要件や有給か無給かなどは明確にしておく

本来であれば、年次有給休暇を付与すれば、法律で定める休暇を与えている事になりますので、これらの特別な休暇を付与する義務はありませんが、多くの企業では、慶弔に関する休暇を設ける形としています。

このような任意の休暇を規定する場合には、トラブルとならないためにも、以下の点について定めるようにすべきでしょう。

■休暇が付与される要件(勤続年数、付与する理由、対象となる親族の範囲など)
■いつまでに取得する事ができるのか
■付与される日数には休日が含まれるのかどうか
■休暇を取得した場合は、有給か無給か

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女性従業員の労働時間・休憩・休暇

【今回のポイント】

  1. 妊産婦に対する制限は「本人から請求があったら」
  2. 制限がされた労働時間に対する賃金は「無給」でかまわない

女性従業員の場合、妊産婦に対する労働時間等の制限が設けられています。

妊産婦は、妊娠中および産後1年未満の女性従業員を意味します。

産後休業の一定期間を除くと、いずれも「本人から請求があったとき」に、これを認めなければならず、また会社が強制的に制限を行う事はできません。

【妊産婦に対する制限】

  1. 所定労働時間内に母子保健法に基づく保健指導または健康診査を受けるために通院休暇の請求があったとき
  2. 本人から請求があった場合の、時間外労働、休日労働、深夜労働の制限
  3. 本人から請求があった場合の、1日2回、30分ずつの育児休憩時間
  4. 産前6週(多胎妊娠は14週)、産後8週の休業(産前は本人からの請求による)
  5. 妊娠中の女性従業員から請求があった場合の、軽易な業務への転換(業務変更による賃金変更はOK)
  6. 本人から請求があった場合の、育児休業(原則として産後休業終了後、子が満1歳になるまで)

【一般女性従業員に対する制限】

  1. 本人から請求があった場合の生理休暇

請求があった休業・休憩時間についてはノーワークノーペイの原則が適用されますので、「無給」として構わず、就業規則上でも明確に定めておくべきといえます。

ちなみに、出産の範囲については妊娠4カ月以上の分娩とし、正常分娩以外の早産、流産、死産等も含まれます。
ここでの1カ月は28日として計算されますので、4カ月以上=85日以上を指します。

妊娠中絶であっても妊娠4カ月以後に行われた場合は産後休業の適用がされ、産前休業については認められないものとされています。(S26.4.2婦発113号)

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管理監督者(1)労働時間・休憩・休日

第●条(適用除外)

  1. 次の各号のいずれかに該当する者については、本章の定める労働時間、休憩および休日に関する規則と異なる取扱いをする。
    ① 使用者の定める管理もしくは監督の地位にある者
    ② 使用者が機密の事務を取り扱うと指定した者
    ③ 行政官庁の許可を受けた監視または断続的勤務に従事する者
  2. 前項①に該当する者の労働時間、休憩および休日については、その管理を本人が自主的に行なうものとする。

【今回のポイント】

  1. 労働基準法で定める管理監督者などは、労働時間・休憩・休日に関する規定は適用されないが、深夜労働だけは適用される
  2. 特に管理監督者は、どういう立場・職責・処遇であれば該当するのか企業の実態により異なる

労働基準法41条では、管理監督者・機密事務取扱い者・監視または断続業務従事者に対して、労働時間・休憩・休日に関する規定は適用しないとしています。

深夜労働についての規定は適用されるため、深夜労働が発生すれば深夜割増賃金の支払いは必要となります。

では就業規則では、それぞれの規定は適用しないとするだけで足りるのでしょうか。

上記の対象者であっても、就業規則の作成届出義務は適用される事から、始業・終業時刻や休日の定めは必要となります。

これに違反しないよう、上記対象者は就業規則で定める労働時間、休憩および休日に関する規則と異なる取扱いをするとしておき、さらに管理監督者に、労働時間等の管理は自主的に行うと定めておきます。

就業規則の扱いで特に問題となるのは「管理監督者」に関する事項で、どういう立場・職責・処遇であれば、労働基準法でいうところの管理監督者として扱う事ができるのか、行政指針と実際の現場では大きくかい離している事がよくあります。

次回以降は、管理監督者として扱う際の留意点についてお伝えします。

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管理監督者(2)管理監督者の要件

【今回のポイント】

  1. 管理監督者として認められるには、相当高度な立場の者とされている
  2. 必要要件すべてを満たしていないと管理監督者としては認められない

働基準法でいうところの「管理監督者」は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けないとされています。

この「経営者と一体的な立場にある者」については、単に肩書や職位ではなく、会社での立場や権限を踏まえた上で実態から判断する必要があるとされていますが、正直、相当高度な立場の者を法律では求めています。

要件1
労働時間、休憩、休日等に関する決まりに関係なく活動する必要があるほど重要な職務内容を任されている

要件2
労働時間、休憩、休日等に関する決まりに関係なく活動する必要があるほど重要な責任と権限を持っている

要件3
実際の働き方も、労働時間や休憩・休日等の制限になじまない

要件4
給与・賞与等について、その地位にふさわしい待遇となっている(一般社員と逆転しない)

これらの要件すべてを満たしている事が、管理監督者として認められる要件であるとされています。

リー ダー職・課長職だから管理監督者だ、管理監督者だから残業代は支払わないとし、実際には仕事に裁量権もほとんどなく上司の指示を仰いで仕事をしている状況 (=通常の労働者と変わらない)であっても、残業代を抑制するために管理監督者としているケースが多かったりする事から、このような厳しい要件とされてい ます。

次回は個別の要件について具体的なところをお伝えします。

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管理監督者(3)重要な職務内容

【今回のポイント】

  1. 重要な職務内容を任されているかどうかが判断のひとつになる
  2. 主に人事・採用権があるかどうかが判断材料に

管理監督者の要件として「経営者と一体立場にある者」というのがあります。

この要件のひとつが「労働時間、休憩、休日等に関する決まりに関係なく活動する必要があるほど重要な職務内容を任されている」というものです。

では具体的に、どのような職務内容を任されていると要件を満たしていると解釈されているのでしょう。

行政の判断材料として「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者」と「金融機関における管理監督者の範囲」があります。

他店舗展開のケースは、世間で注目されたマクドナルド店長の管理監督者性を問われた裁判が元になっているもので、(1)採用、(2)解雇、(3)人事考課、(4)労働時間の管理に対して、実質的な権限を持っているかどうかで判断されます。

実際には、これらの実質的な権限を持っていないと管理監督者とならないとされるのではなく、個々の実態に応じて判断はされています。

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管理監督者(4)重要な責任と権限

【今回のポイント】

  1. 実質的な責任と権限を持っているかどうかで判断
  2. 課長・リーダーなどの肩書きだけでは判断されない

管理監督者の要件2つめには、「労働時間、休憩、休日等に関する決まりに関係なく活動する必要があるほど重要な責任と権限を持っている」というものがあります。

これは、労働条件の決定や労務管理に対して、経営者と一体的な立場にあるというためには、経営者から重要な責任と権限を委ねられている必要があるというもの で、「課長」「リーダー」といった肩書があったしても、自身の裁量で決定できる権限が少なく、大概の事は上司に決裁を仰がなければいけなかったり、ただ単 に上司の命令を部下に伝達しているに過ぎないような状況であるのは、管理監督者とはいえないとしています。

前回お伝えした「重要な職務内容」と同様に(1)採用、(2)解雇、(3)人事考課、(4)労働時間の管理に対して、実質的な責任と権限を持っているかどうかで判断されます。

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管理監督者(5)労働時間の規制になじまない勤務態様

【今回のポイント】

  1. 基本は自身に労働時間の裁量があるのが前提
  2. 労働時間の管理がされている場合はNG
  3. 部下と同じ仕事をしている時間がほとんどの場合もNG

管理監督者の要件3つめとして「実際の働き方も、労働時間や休憩・休日等の制限になじまない」、つまりは労働時間や休日出勤等の制限なく、時間に自由度がある形になっているかどうかという点があげられます。

管理監督者は、時間に関係なく経営上の判断や対応が要求される立場であり、労務管理においても一般労働者と異なる立場にある必要があるとされます。

労働時間について厳格な管理をされているような場合は、管理監督者とはいえません。

1)遅刻、早退等に関する取扱い 【管理監督者性を否定する重要な要素】

遅刻や早退の概念があり、これにより減給の制裁を受けてしまったり、人事考課で勤務成績評価としてマイナス評価を受けるような取扱いがされる場合。

過重労働による健康障害防止や深夜勤務については割増賃金の支払いが義務付けられている点から、労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならないとされます。

2)労働時間に関する裁量 【管理監督者性を否定する補強要素】

裁 判例にあったように、例えば営業時間中は店舗に常駐しなければならなかったり、アルバイト・パート等の人員が不足する場合に、短時間勤務者の業務を自ら行 わなければならず、結果として長時間労働が恒常的に発生しているような状況にある場合には、実際には労働時間に関する裁量はほとんどないと判断されます。

3)部下の勤務態様との相違 【管理監督者性を否定する補強要素】

管 理監督者としての職務も行っているが、会社から指示された業務マニュアルに従い業務に従事している状況になっている、プレイングマネージャーとしての要素 が極めて高く、労働時間の規制を受ける部下と同様の働き方が労働時間の大半を占めているような場合は、管理監督者性を否定するものとされます。

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管理監督者(6)賃金等の待遇

【今回のポイント】

  1. 基本は職制を考慮した給与となっていること
  2. 年収ベース、時間単価で一般社員より低いのはNG

管理監督者の要件に「職務の重要性から、定期給与、賞与、その他の待遇において、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていなければならない」というのがあります。

具体的にはどのような賃金処遇である事を求めているのでしょう。

1)基本給、役職手当等の優遇措置 【管理監督者性を否定する補強要素】

基本給や役職手当等を実際の労働時間数から判断した際に、時間外手当や休日出勤手当が支払われないとすると、金額としてあまり十分とはいえるものではなく、職制に対して優遇されているとはいえないような場合は、管理監督者ではないと判断されます。

2) 支払われた賃金の総額 【管理監督者性を否定する補強要素】

1年間に支払われた賃金総額が、勤続年数・業績・専門職種等を考慮されていない中で、同じ企業の一般社員の賃金総額と同じか、これより低い場合は、管理監督者ではないと判断されます。

3) 時間単価 【管理監督者性を否定する重要な要素】

欠員補充などで実際に長時間労働を余儀なくされた結果、支給された賃金額を時間単価に換算すると同じ職場に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合。

特に、換算した時間単価が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素とされます。

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服務規律(1)服務の原則、規律

【今回のポイント】

  1. 服務規律は労働基準法で定める事を義務づけられていない
  2. 働く上で守って欲しいルール、やってはいけないルールを、企業に合わせ自由に規定すべき
  3. 遵守事項である以上、違反した際には懲戒処分の対象となり得る

多くの就業規則に「服務規律」が定められています。

これは労働基準法で義務付けられているものではありませんが、企業で働く上での一定の規律が必要であり、これを行動規範として定めています。

社員が労務を提供する上での行動規範である以上、これに違反をした場合には、程度の差こそあれ懲戒処分の対象となり得ます。

働く上で守って欲しいルール、やってはいけないルールを、企業に合わせ自由に規定すべきものといえます。

実際には様々な形で規定されますが、多くの企業では遵守事項として以下のような規律を定めています。

1)政治活動・宗教活動を禁止する規定
2)演説・集会・文書等の配布・貼付の事前許可
3)販売活動等の事前許可
4)兼業の禁止、または事前許可
5)社員間での金銭貸借を原則禁止する規定
6)在職中・退職後の秘密保持義務
7)個人情報取扱いに関する規定
8)セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの禁止
9)ハラスメントに対する会社の措置
10)PC等の電子機器の取り扱い
11)私物の持ち込み禁止、所持品の検査
12)会社で貸与しているPCや携帯端末等の私用禁止、データのモニタリング

その他、会社独自のルールなども規定し、働く際に遵守すべき事項として周知を徹底するようにします。

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服務規律(2)服務規律の変更と不利益変更の関係

【今回のポイント】

  1. 服務規律は企業変化に応じてマメに変更すべき
  2. 服務規律の変更は労働条件の不利益変更にはあたらないが極端なものは無効になる場合も

企業を取り巻く環境の変化に応じて、社員に守ってもらうべき服務規律の内容も見直しが必要になります。

特にIT環境の変化は目まぐるしく、今まではPC等の情報漏えいに注意をしておけば事足りていたものが、スマートフォン等の携帯端末の普及により、社外での情報管理や社員の情報発信方法に関しても注力していかなればならない状況になっています。

服務規律は労働基準法で規定が義務付けられているものではありませんが、労働契約を締結するという事で、企業に対し、秩序を維持する義務を負っている社員側からみれば、服務規律の新設・変更は不利益変更にあたるのではないかとの考えも成り立つといえます。

こ の点について、使用者(企業側)は会社の秩序を維持する権限を当然に持っており、服務規律は、社員が当然守らなければならない事項を、確認する意味で定めたものといえますので、これを新設・変更することは労働条件の不利益変更に該当はせず、労働契約法10条(業規則による労働契約の内容の変更)にも当たらないと解釈されます。

ただし服務規律に違反した際の懲戒処分内容が妥当かどうかの判断は異なります。
過度に規制をしたり、社員の日常生活に支障を及ぼすまでの規定等は無効となる場合もありますので、法律を無視した一方的な順守ルールを設ける事は避けるべきです。

【労働契約法10条】
使 用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程 度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである ときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

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服務規律(3)情報機器の私用禁止とモニタリング

【今回のポイント】

  1. 実働時間をしっかり把握する意味でも私的利用は禁止する
  2. 実施理由を限定し、定期・不定期にモニタリングを実施する事も必要

仕事をする上で、パソコンや携帯電話、今ではスマートフォンの利用は当たり前の状況である一方、ネット検索・eメールなど私的に利用されやすいという実態があります。

電話とは違い、業務上で利用しているのか、私的に利用しているのか分かりにくく、実際に働いている時間かどうかも怪しまれる場合もあります。

このような状態を避けるため、服務規律内で会社が貸与した情報機器の私的利用を禁止し、また定期・不定期にモニタリングを実施する事を規定します。

データのモニタリングは、社員のプライバシーとの関係で問題が生じる可能性がありますので、事前に就業規則に根拠を明示しておき、労務管理の観点から必要である事を明確にしておきます。

会社がモニタリングする権利があるとはいえ、その方法によっては権利濫用とされる可能性もありますので、無制限に行うのではなく、明らかに私的利用が認められる場合や、会社の秩序を乱すような情報発信を行っていると認められる場合に限定し、モニタリングを実施するのが適切といえます。

規定例
第●条

  1. 社員は、会社が貸与した情報機器を業務遂行に必要な範囲で使用するものとし、私的に利用してはならない。
  2. 会社は、必要と認める場合に、社員に貸与した情報機器内に蓄積されたデータや電子メール等を閲覧することがある。

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服務規律(4)休日の携帯電話による業務指示への対応

【今回のポイント】

  1. 業務の緊急性・必要性に応じて、帰宅後や休日の対応を指示する
  2. 利用機器は会社から貸与し、対応する頻度は限定する

服務規律では情報機器の私用禁止と合わせて、携帯電話の利用についても規定をします。

具体的には、業務時間中に携帯電話の私的利用を禁止する事と、休日の携帯電話による業務指示への対応について定めておきます。

業務時間中の私的利用は、会社の許可なく行わないようにし、利用する事があっても常識的な範囲内で短時間で済ますようにします。

よく問題になるのは、帰宅後や休日に携帯電話の電源を入れておき、いつでも待機していなければならない場合に、これが労働時間にあたるのかどうかが判断の迷うところになります。

携帯電話は、基本的にいつどこにいてもつながるため、社員からすれば、帰宅後も休日もいつ電話がかかってくるか分からないため、心理的負担がある事は否めません。

医師のように、業務上の緊急性が高い場合には常時対応する事が求められますが、本当に休日も対応が必要な業務なのかどうかも判断が求められます。

帰宅後や休日も携帯電話への対応を求める場合には、就業規則で根拠を定め、また社員の不利益な条件についての対処も必要となります。

1)業務上必要があること

関わる業務の中で、どこまで緊急性を求められるのか、どこまで対応する必要があるのかで判断をします。

2)個人の携帯電話ではなく、会社が貸与した携帯電話とする

業務上の必要性から、帰宅後や休日の携帯電話対応を求める以上は、会社が貸与した携帯電話とするのが適切です。

3)帰宅後や休日対応の頻度を限定する

いくら業務上の緊急性が高いとはいえ、365日・24時間対応では社員の心理的負担が大き過ぎるといえます。
対応については、例えば休日なら月2回など一定時間や回数を設けるべきでしょう。

4)不利益を解消するため一定の手当を支払う

帰宅後や休日の対応を求めるとはいうものの、時間や場所まで拘束するものではないため、携帯電話の電源を入れている間中、必ずしも使用者側の指揮命令下にあるというわけではなく、労働時間に該当するとはいえません。

とはいえ、心理的な拘束があるのも事実である事から、代償的な措置として一定額の手当を支給する方法をとります。

手当額は、どの程度の拘束性があるかにもより金額を設定すべきと考えますが、宿日直手当の再定額に関する行政通達※を参考にした場合、1時間あたりの最低賃金額に1日の所定労働時間の3分の1の時間をかけた額とするのも一つの考え方になります。

※監視または断続的労働について労働基準監督機関の許可を受け、宿日直勤務を行なう場合、「宿日直手当」の最低額は、当該事業場勤務の同種労働者への支払賃金の一人一日平均額の3分の1以上の額とする。

規定例
第●条

  1. 社員は、就業時間中に会社の許可なく、個人の携帯電話等の情報機器を私的に利用してはならない。
  2. 会社は、社員に対し、業務上の必要性がある場合に緊急連絡手段の確保のため、就業時間外及び休日に携帯電話等の情報機器を貸与し、その電源を入れておくよう命じる事がある。
  3. 前項の規定により、携帯電話等の情報機器の貸与を受けた社員は、その情報機器類を私的に利用してはならない。

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健康診断の受診

【今回のポイント】

  1. 会社には健康診断を実施義務があり、社員は健康診断を受診する義務がある
  2. 健康診断を受診している時間は労働時間ではないため「無給」でも構わない

法律で定める健康診断には、雇入れ時健康診断・定期健康診断・特定業務従事者の健康診断・海外派遣労働者の健康診断、他にも危険物を取り扱う労働者に対する特殊健康診断など、実は様々な健康診断があります。

一般的には、雇入れ時健康診断・定期健康診断・深夜業に関する特定健康診断が行われています。

就業規則上で規定すべきは、社員は健康診断の受診義務がある事、異常所見時の再検査受診と報告の義務がある事、診断受診時の費用負担が主となります。

特に、会社が指定する健康診断を受診しなかった場合に、自身が希望する医療機関で受診するのか、受診した場合の費用負担をどうするのか、受診している時間は有給か無給かなど具体的に規定します。

また健康診断の結果が会社に届かず、社員本人に通知される事が多い事から、健康診断結果を必ず提出するよう規定し、提出がない場合には、本人が健康で労務を 提供できるかどうか判断がつかない事を理由に、就労を拒否し、または受診拒否に対する懲戒処分も可能性がある事を規定します。

【規定例】
第●条(健康診断等)

  1. 社員には、毎年1回以上、会社の指定する医師による定期健康診断を受診しなければならない。また、法に定められた者は6か月に1回実施する健康診断を受診しなければならない。
  2. 社員が正当な理由なく前項の健康診断を受診しない場合、第●条の規定により懲戒処分とすることがある。
  3. 社員はこの健康診断の受診および結果を、会社へ通知することを拒否することができない。
  4. 健康診断結果の情報は、安全配慮義務を果たす関係上、会社が一括して管理を行なう。よって、社員個人に健康診断結果が通知された場合であっても、社員はその結果を会社へ提出する義務を負う。
  5. 社員は、健康診断の結果に異常の所見がある場合には、会社の指定する医師による再検査を受診しなければならない。
  6. 社員が、正当な理由なく前項の再検査を受診しない場合、またはその結果を会社に報告しない場合、会社は当該社員に対し、労務提供を拒否し、または就業禁止の措置をとる場合がある。なお、この期間については無給とする。
  7. 健康診断の結果、特に必要のある場合は就業を一定の期間禁止し、または職場を配置替えすることがある。
  8. 会社は、第1項の定期健康診断および第5項の再検査以外にも、社員に対し、健康診断の受診ないし会社の指定する医師への検診を命じることがある。
  9. 第1項、第5項及び前項に定める健康診断にかかる時間については、無給とする。
  10. 社員が会社の指定する健康診断を受けることができない場合、または希望しない場合は、他の診療機関にて健康診断を受け、その結果を証明する書面を会社に提出しなければならない。なお、当該健康診断の費用は自己負担とする。
  11. 前項の場合、会社が指定する診断項目を満たしているものであること。

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疾病等による就業制限

【今回のポイント】

  1. 法律で定める伝染病は就業を禁止・制限する
  2. 精神疾患により労務を提供できない状態にある場合も就業を禁止・制限を加える
  3. 就業ができない期間は「無給」でも構わない

安全衛生法では、伝染病の疾病や他の疾病にかかった労働者に対して、使用者は就業を禁止するよう定めていますので、一定の疾病にかかった場合には、就業を禁止するよう定めます。

また法律で定めた疾病以外にも、心身ともに健康な状態で労務を提供できない状態にある場合も、就業を禁止したり制限を加えるようにし、完治を促す形とします。

上記いずれのケースでも、労働者側の事情により就業ができないものとなりますので、会社側には賃金支払義務がない事から、就業禁止・制限期間は「無給」となる事を定めておきます。

規定例の第4項は、新型インフルエンザ対策として規定しています。

新 型インフルエンザに関しては、一定期間を経過した場合は他人に感染する可能性が低いとされ、医療機関に診断書を求める必要性が低く、また診断書の記載を求 めることで医療機関の負担を増やし、場合によっては診断書作成までの時間もかかるなど、速やかな職場復帰を妨げる可能性もあることから、診断書提出の免除 規定を設けてます。

【規定例】
第●条(就業制限)

  1. 社員が次の各号に該当する場合は、会社の指定する医師に意見を聴いた上、就業を禁止する。この場合、社員はこれに従わなければならない。
  2. ①感染症法に定める感染症に罹患している者、およびその保菌者
    ②病毒伝播のおそれのある伝染性の疾患にかかった者
    ③精神障害のため、現に自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれのあるとき
    ④心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるとき
    ⑤前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかったとき
    ⑥勤務のため、病気が悪化するおそれがある者、および病気治療後回復せず、通常勤務が困難と認められる者
  3. 前項の就業制限については、会社に責がないことが明らかな場合、無給とする。
  4. 社員は、本人または同居する家族などが伝染病にかかり、またはその疑いがあるときは、直ちにそのことを会社に届け出なければならない。
  5. 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づく各種措置が講じられた場合、当該措置に従うものとする。この場合、当該措置により就労が不能となった際の給与については、第2項の規定を準用する。

第●条(就業制限者の再就業)

前条により就業を制限された者が、疾病より回復し就業しようとする場合、医師の診断書を提出し会社の許可を受けなければならない。ただし他人に感染する可能性が低く、医師が職場復帰を口頭にて許可した場合は、診断書の提出を免除するものとする。

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懲戒の意義

【今回のポイント】

  1. 懲戒処分を有効なものとするには就業規則に必ず定める必要がある
  2. 定めた内容に合理性がないと無効となってしまう

懲戒処分は、企業が守るべきルールとして定めたものに違反した社員の行為を制裁する罰則になり、企業=使用者が一方的に、社員に不利益な取り扱いをするものです。

そのため、どこまで制裁罰を与えることができるのかは、非常に難しいものであり、個々の事例により解釈が異なってきます。

判例では、企業=使用者側に一定の企業秩序(ルール)を定める権利があるとし、この企業秩序を律するための一環として懲戒処分があるとしています。

つまり、社員=労働者には、就業規則や個別の雇用契約により会社のルールを守る義務が生じますが、企業=使用者には、会社のルールに違反した行為に対する制裁として懲戒処分ができるとしています。(関西電力事件、最判S58.9.8労判415-29)

とはいえ、企業が勝手に極端な制裁基準を設けてしまうのは、社員側からすれば、事あるごとに処分されるかもしれないと安心して働く事ができませんし、制裁ルールによっては、すぐに懲戒解雇とされてしまうのも困りものです。

そこで判例では、企業=使用者が一方的に様々な制裁基準を設けるのではなく、懲戒権をもつためには「あらかじめ就業規則で懲戒の種類と事由を定めておく必要がある」とし、就業規則に懲戒の根拠がある事を要件としています。(フジ興産事件、最判H15.10.10労判861-5)

就業規則に定めた懲戒事由と処分の種類以外で処分はできない事となりますので、実務上では、懲戒の種類や事由を定める際に、以下のポイントについて検討しなければいけません。

1)就業規則や誓約書に懲戒処分が定めてあるか

2)就業規則や誓約書に定めてある内容には合理性があるか

3)懲戒処分の対象となる事由が明確になっているか

そして実際に懲戒処分とする際には、以下のポイントについて検討する必要があります。

1)懲戒権が発生しているか(就業規則、誓約書)

2)実際に企業秩序に違反する行為があったのか

3)違反した行為は、就業規則に定める懲戒事由に該当するか

4)懲戒処分とした内容に合理性はあるか

懲戒処分は、処分行為そのものが労働者に対する不利益行為となるため、処分そのものの有効・無効が問われます。

まず自社のルール(企業秩序)として守らなければならない事を明確にし、これに違反する程度によってどのような処分とすべきかを、慎重に決定していく必要があるのです。

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懲戒処分の種類(1)

【今回のポイント】

  1. 懲戒処分の種類と程度は就業規則に定める必要がある
  2. 懲戒処分となる事由に応じて、処分の程度を定めていく

懲戒処分を行うには、社員との労働契約内容として懲戒する権利を明確にするために、就業規則等に規定をします。

また懲戒処分の種類と程度に関する事項は、その定めをする場合に、就業規則に相対的に記載しなければならない事項とされています。(労働基準法89条9号)

懲戒処分の種類としては、軽い方から以下の通りとなります。

【戒告】
将来を戒めるのみで始末書の提出はしない。

【けん責】
けん責(譴責)は、始末書を提出させて将来を戒める事。

始末書の提出を拒否するケースでは、提出拒否をもって、さらに懲戒処分とするのではなく、再提出の指示にも従わないようであれば、改善する姿勢がないとみなして人事評価に反映させ処遇をしたり、または普通解雇となった際の判断事由の1つとして捉えておくべきです。

【減給】
労働者が受け取ることのできる賃金から制裁罰として一定額を差し引くこと。
労働基準法91条で制限されており、1回の減給額は平均賃金の1日分の50%以下まで、減給の総額は一賃金支払期(1か月分給与の計算期間)に支払われる賃金の10%まで。

もし上記の制限を超えて減給の制裁を行う場合は、超える分を次の賃金支払期に延ばさなければならないと考えられています。

また人事評価の結果として賃金が減額される場合や、職務の変更に伴い賃金が減額される場合は、懲戒処分とは扱いが異なるため、労働基準法の制限は受けません。(S26.3.14基収518号)

なお出勤停止の懲戒処分を受けている時に無給扱いとなるのは、労働基準法の制限とは関係ありません。(S23.7.3基収2177号)

【出勤停止】
労働契約をそのままとして就労を一定期間禁止すること。
出勤停止期間中は無給とし勤続年数にも算入しない。

出勤停止の期間について法律上の規制はありませんが、あまり長期間になると無給状態が長くなり生活が不安定となるため好ましくないとされます。

長期間の出勤停止にするのではなく、この場合は、より重い懲戒処分を行うべきで、長くても14日~30日程度までを限度とするのが適切と考えます。

ちなみに多くの企業が「7日以内」と定めているのは、戦前の工場法の名残と考えられています。

※工場法:1911年(明治44年)公布、1916年(大正5年)施行、1947年(昭和22年)に労働基準法制定により廃止。

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懲戒処分の種類(2)

【今回のポイント】

  1. 降格は制裁罰になる
  2. 諭旨解雇と諭旨退職は扱いが異なるので混在しないよう要注意く

【降格】
職位の引き下げを人事処分ではなく制裁罰として行う。
職位が降格することにより給与も減る。

【諭旨解雇】
本来であれば懲戒解雇処分となるものを、情状等を斟酌して処分を軽減すること。
本人が反省していると認められるときは、解雇事由を十分に説明をし解雇する。
また退職金は、状況により一部不支給とする事が多い。

これと同様の懲戒処分として「諭旨退職」があります。 諭旨退職は、懲戒解雇に該当する際に自主的に退職届を届け出するよう勧告し、直ちにこれに従わない場合、懲戒解雇とする扱いをいいます。 諭旨退職も懲戒処分である点に注意が必要です。 諭旨退職の場合、社員に自主的に退職届を届け出させる点より、退職勧奨による自己都合退職であるとの誤解を生じさせる事があり、退職金などのトラブルになるリスクあります。

【懲戒解雇】
解雇予告も解雇予告手当の支払いもなく、即時に実行される、一番重い処分。懲戒処分の中では「極刑」とされる。
退職金も、全額不支給とするのが多い。

懲戒処分を下しても社員から不当解雇と訴えられると、相当程度の確率で会社(使用者)は懲戒解雇は無効であったとの判断をされるため、相当程度の事由があっての処分でないと正当であると判断されるのは難しい。

以上のような懲戒処分を下される事となる違反行為として

1)上司の指示命令に従わない、勤務態度が不良であるなどの労務の提供に関すること

2)会社の施設・機材を壊す、無許可で施設を利用するなどの施設の管理に関すること

3)情報漏えい、無断遅刻・無断欠勤、経歴詐称などの秩序維持に関すること

4)無許可での副業、会社の信用を傷つける行為などの会社外・就業時間外に関すること

があり、これらの違反行為の度合いに応じて処分が決定される事となります。

懲戒処分を下すには、処分が不当とならないよう相当程度の注意・配慮が必要とされます。

まずは誤認がないか事実確認を徹底します。

その後、本人に事実を確認し、処分に対する弁明の機会を与えます。

結果として処分を下す事となった場合、同様の処分を受けている者と不公平にならないように扱います。
同程度の違反行為に対し人物によって処分の程度が異なってしまうと、不公平感が生じ、会社に対する信頼感が薄まることにもつながりかねません。

ちなみに労働組合があり、組合との協議が必要とされている場合でも、組合側が協議に応じなかったり、組合側委員が懲戒委員会に出席しないようなときには、使用者側委員の一方的な決定となったとしても、手続上違反とはなりません。

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懲戒処分の事由

【今回のポイント】

  1. 懲戒処分は違反度合に応じて適用される
  2. 就業規則に定めてあったとしても必ずしも処分が有効になるとは限らない

懲戒事由は、それぞれの処分度合いに応じて適用していくようにします。

具体的には、各企業の実態に応じた懲戒事由と処分とすべき内容を定めることになります。

ただし、懲戒事由として定めたものが、必ずしも懲戒権を行使する場合に有効になるとは限りません。

前回の違反行為のポイントに該当するかどうかで判断され、就業規則に懲戒事由が定めてあるからといって、直ちに懲戒権を行使できるわけではない点に注意が必要です。

懲戒処分の対象となるのは企業秩序を乱す行為ですから、懲戒事由となるのは、企業秩序を維持する義務に違反する行為となります。

この点から、懲戒処分の対象は、企業施設内または就業時間内での行為が対象となるのが原則ですが、企業施設外や就業時間外であっても、会社関係者に関わる行為で私的行為でない場合は、懲戒処分の対象となり得ます。

【規定例】
第●条(懲戒事由と適用)

  1. 社員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
    (1)正当な理由なく無断欠勤○日以上に及ぶとき
    (2)正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき
    (3)過失により会社に損害を与えたとき
    (4)素行不良で会社内の秩序又は風紀を乱したとき
    (5)第●条及び第●条に違反したとき
    (6)その他この規則に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき
  2. 社員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。この場合において、行政官庁の認定を受けたときは、労働基準法第20条に規定する予告手当は支給し ない。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第●条に定める普通解雇又は減給若しくは出勤停止とすることがある。
    (1)重要な経歴を詐称して雇用されたとき
    (2)正当な理由なく、無断欠勤○日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき
    (3)正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、○回にわたって注意を受けても改めなかったとき
    (4)正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
    (5)故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき
    (6)会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)
    (7)素行不良で著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき
    (8)数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないと認められたとき
    (9)相手方の望まない性的言動により、円滑な職務遂行を妨げたり、職場の環境を悪化させ、又はその性的言動に対する相手方の対応によって、一定の不利益を与えるような行為を行ったとき
    (10)許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき
    (11)職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若しくは求め、又は供応を受けたとき
    (12)私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷等によって会社の名誉信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき
    (13)会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき
    (14)その他前各号に準ずる程度の不適切な行為があったとき
  3. 第2項の規定による社員の懲戒解雇に際し、当該社員から請求のあった場合は、懲戒解雇の理由を記載した証明書を交付する。

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懲戒処分前の自宅待機

【今回のポイント】

  1. 解雇処分前の一定期間は、処分の妥当性を判断するためと他の社員への影響を考慮して自宅待機とすべき
  2. 自宅待機が労働者側の責任に起因するかどうかで賃金支払を考える

社員は、労働者として労務を提供する義務を負ってますが、働く事を求める請求権はもっていません。

という事は、企業=会社は社員が働く事を拒否できるという事になります。

懲戒処分とするにあたり、企業が社員の就労を拒否する事ができるのは次の通りとなります。

1)懲戒処分としての出勤停止

2)解雇処分する前に、処分の妥当性を判断するための調査や審議する期間として、一定期間の就業を禁止したり自宅待機を命じる

3)業務に就く事が不適当として、業務命令として一定期間の就業を禁止したり自宅待機を命じる

これらの措置が有効であるとされるには、相当の事由があり権利濫用とされない事が前提となります。

また自宅待機中の賃金を支払うかどうかがよく問題となります。

基本的には、使用者の責任によるものであれば賃金を支払う義務があります。

解雇処分に該当したり処分に該当するおそれがある場合には、証拠隠滅の危険性があったり、他の社員の就労環境に影響を与えるおそれがあるの考えると、労働者側に責任が起因するものといえますので、一定期間の自宅待機中の賃金を支払う義務がないと考えられます。

【規定例】
第●条(自宅待機)

  1. 諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当する行為があった場合またはあったと疑われる場合、調査または審議が決定するまでの間、期限を定めて自宅待機を命ずることがある。
  2. 自宅待機を命ぜられた者は所定労働時間中は自宅で待機し、会社が出勤もしくは連絡を求めた場合には直ちに対応できる態勢を整えておくものとする。
  3. 自宅待機の期間は短縮または延長することがある。
  4. 社員は、正当な理由がなければこれを拒むことはできない。
  5. 自宅待機中の賃金は、支給しない。

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懲戒処分での弁明の機会

【今回のポイント】

  1. 弁明の機会を与えるのは諭旨解雇や懲戒解雇など重罰のみ
  2. 通常の処分は注意指導を繰り返し事実の積み重ねを証拠とする

懲戒処分が有効であるとするためには、懲戒事由と懲戒の種類・程度が就業規則に明記されていなければいけません。

また、同じ程度の違反に対しては同じ処分をする必要があります。これは企業内で今までどの程度の処分を行ってきたのかを十分に確認しながら対処する事を意味し、併せて違反の程度に対して、相当な処分である事も求められます。

そして懲戒処分を下す際には、手続きとして適正である事が求められます。

ここで諭旨解雇や懲戒解雇処分については、一方的に処分を下し不公平だとされないためにも、本人に弁明の機会を与え、違反内容の最終確認や指示命令を拒否している場合はその理由などを話してもらいます。

諭旨解雇や懲戒解雇処分は、普通解雇と比較すると相当の処分理由が求められ、特に裁判にまで至ってしまった場合は、余程の処分理由がない限りは解雇無効と判断されます。

解雇トラブルとしないという意味では、処分内容を相手によく理解してもらい自己都合退職してもらうのが最善の方法といえますが、最近の傾向として、社員側から懲戒処分の意味をよく理解しないまま、普通解雇処分としてもらうよう申し立ててくるケースもあります。

これは安易に失業給付を早く受給したいというのが理由のようですが、本人の将来を鑑みれば、安易に普通解雇処分とすべきではありません。

企業側からすれば、違反行為に対し注意指導を繰り返しながら指導した証拠を残しながら、懲戒処分による制裁を都度行いつつ、相手に行為を是正してもらう機会を与えるという事実の積み重ねが必要であり、これをもって解雇処分が有効となるようにします。

諭旨解雇や懲戒解雇処分とまで至らない程度の処分は、上記のように事実の積み重ねによる処分が有効であるものとし、重罰となる諭旨解雇や懲戒解雇処分に対してのみ、弁明の機会を与えるようにします。

【規定例】
第●条(弁明の機会)
諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当するとして、諭旨解雇または懲戒解雇になるおそれのある社員は、事前に弁明の機会を与える。

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懲戒処分での教唆・ほう助・加重、損害賠償

【今回のポイント】

  1. 懲戒に該当する行為をそそのかしたり手助けしたら、一緒に処分となる
  2. 懲戒処分と損害賠償は別物。賠償責任は果たさないといけない。

懲戒処分に該当する行為そのものを行った社員は罰する事ができますが、処分に該当する行為をしてしまうようそそのかしたり(教唆)、処分に該当する行為を手 助けしてしまったり(ほう助)している場合は、直接的に企業秩序に違反しているわけではないので、これら行為も懲戒処分の対象とするために就業規則に規定 をします。

また一度懲戒処分を受けた者が、一定期間内にさらに懲戒に該当する行為をした場合や、同時に2つ以上の懲戒に該当する行為をした場合に、処分を重くするために規定をします。(加重)

加重の扱いは制裁に関するものであるため、就業規則の相対的記載事項とされ、処分の有無を規定しておく必要があります。

懲 戒処分を受けたことで、会社に与えた損害に対する請求を免れるのではと考えられたりしますが、労務提供義務や不法行為を行った事で、会社に対して損害を与 えた場合は、懲戒処分を受けたからといって免れるものではない事から、損害賠償と懲戒処分の関係性についても規定をしておきます。

【規定例】
第●条(教唆及びほう助)
社員が、他人を教唆し、またはほう助して懲戒事由に該当する行為をさせたときは、その行為に準じて懲戒処分とする。

第●条(加 重)
第●条各号の一の懲戒処分を受けた者が、その後1年以内にさらに懲戒に該当する行為をしたとき、または同時に2つ以上の懲戒該当行為をしたときは、その懲戒を加重する。

第●条(損害賠償)
社員が違反行為等により使用者に損害を与えた場合、使用者は損害を原状に回復させるか、または回復に必要な費用の全部もしくは一部を賠償させる。なお、当該損害賠償の責任は、懲戒された事によりまたは退職後も免れることはできない。さらに、本人より賠償がなされないときは、身元保証人にその責任を追求することがある。

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