簡単ではない! 試用期間の考え方
試用期間中、会社側はどのような内容を確認し、どんな考え方で雇用期間を見るべきなのでしょうか。
●採用取り消しは簡単ではない
・試用期間は、採用した人物が社員としてふさわしいか、その後本採用として問題ないかを判断し決定する期間。
・「解雇権留保付労働契約」
「試用期間中であっても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」との解釈がされている事からも、めったやたらと採用取消にはできない。
・試用期間中に会社側が判断したい事をできるだけ具体的に定めておく。
・本人が持っているスキルに間違いはないか。
・仕事のパフォーマンスは高いか。
・参加しているプロジェクトメンバーとの相性は良いか。
・健康上の問題はないか、勤務態度に問題はないか。
●試用期間の長さ
・なんら決まりがないが、通常は3か月~6か月程度。最長は1年が限度。
・1年間の試用期間は、公序良俗に反して無効とされる可能性あり。
・6か月という期間は、入社日(=雇用された日)より6か月経過した時点で
80%以上の出勤率を満たしていれば年次有給休暇の付与条件を満たす事から
有給休暇を付与されるというのは社員としての身分保障がされるとの解釈もあり。
・雇用契約書での試用期間は6か月となっており、就業規則上での試用期間は3か月と定められている
場合には就業規則で定めた試用期間より長いため、不利益変更であると判断される可能性あり。
→就業規則上で「各社員との雇用契約により、試用期間を当初より新調する場合がある」と規定。
●試用期間で社員を解雇したい
しっかりと採用試験・面接を行い入社したとしても、どうしても会社が望む力を発揮してもらえなかったり、所属するプロジェクトでのコミュニケーションがうまくなく業務に支障が出てしまい、試用期間経過後も引き続き雇用できないと判断されるケースがあります。
結果として、能力のない社員を解雇するのは実際に難しく、係争になった場合には、裁判所は会社に対して、社員の能力がないことを示す証拠を求めてきます。
会社が求める能力がある・ないということを証明するのは大変難しく、会社と社員が合意して退職する合意退職が有効な方法と考えられます。
また、事前に就業規則上で、試用期間内での退職となる理由を、より詳細に、個別具体的に明記しておく事で、前述の合意退職を行いやすくもなります。