就業規則作成のポイント
就業規則を作成する際にポイントとなる点を以下にいくつかあげてみました。
業界に関わらず、労務トラブルを回避し会社を守るための重要なポイントとなります。自社の就業規則はどのようになっているか、気になるところはないか、ぜひ一度チェックされてみてください。
1.採用者の試用期間をどうするか
・試用期間中に発生し得る労務トラブルを具体的に明記し、どのような対策を講じるのかを規定する。
試用期間については、各社とも期間(3ヵ月とするものが多いようです)は定められており、この期間を状況に応じて短縮、または延長する旨は規定されています。しかし、単に期間を定めるのではなく、試用期間中に発生し得る労務トラブルをより具体的に明記し、この場合にどのような対策を講じるのかまで可能な限り規定しておきます。
2.病気や怪我への対応
・精神疾患による休職に対して、就業規則上の休職にプラスし、一定傷病による休職を救済するものとして設ける。
メンタルヘルス対策と合わせて検討することとなりますが、うつ病などの精神疾患による休職に対して、就業規則上の休職にプラスし、一定傷病による休職を救済するものとして設ける場合があります。
これは会社が医師の診断書や本人との面談を元に、今後の復職が期待される従業員に対し、一定日数の有給休暇を与えます。本来の休職期間+本休暇期間を経過しても傷病の改善の兆しがなく復職が難しい場合は、退職を促すこととなります。
3.情報漏えい問題
・勤務中だけではなく、業務外でも情報セキュリティに関する規定を設ける。
特にIT業界では、営業秘密の情報漏えいの防止を万全にする意味でも、セキュリティをどのように考え対応しているかを、規則上でも明らかにしておく必要があります。
就業規則内の服務規律部分に、やってはいけない行為・守るべきものを具体的に詳細に明記し、違反した際にどのような懲戒処分となるのかを、懲罰規定とリンクさせて定義しておきます。
4.メンタルヘルス問題
・会社がメンタルヘルスを捉えているか、メンタルヘルスに対してどのような対策を講じるのかを規定します。
この場合、定期的な調査の実施、調査結果に応じた専門医の紹介など、会社の本問題に対する姿勢を規定することで、従業員に安心感を与え業務に専念させる意識付けを行うこともあります。
5.解雇処分の取決め
・想定でき得るだけの懲戒処分内容を、それぞれの処分事項に応じて規定する。
現行の労働基準法は、法律が制定された背景からも従業員の権利をいかにして会社から守るかが基準となっており、特に解雇処分を下さざるを得ない場合には、それ相当の手順を踏んだ結果としてでないと処分が認められていません。つまり会社側からみると、これは解雇に相当するだろうという勤務態度や事件だったとしても、安易に解雇にはできないという現実があると認識しておく必要があるわけです。
では会社を少しでも労務リスクから守るにはどうすべきなのか、想定でき得るだけの懲戒処分内容を、それぞれの処分事項に応じて規定しておき、実際に処分すべき事件が起きた際に、相当の手順を踏んで対応できるようにしておくこととなります。
6.機密保持への意識付け
・機密保持事項にあたる情報は何か、保管媒体をどうするか、使用・持ち出しする際の
決済・承認方法などを具体的に明記する。
・会社に帰属する・著作権についても、権利はどこまでの範囲なのかを具体的に明記する。
機密保持に関する規定がしっかりとしている就業規則をみかける事は正直あまりありません。会社の機密事項は漏えいしないようにしなければいけない程度が一般的かと思います。
しかし、機密保持に対する重要性を意識づける意味でも、どんな情報が機密保持事項にあたるのか、どのような媒体で保管されておくべきなのか、使用・持ち出しする際の決済・承認方法などを具体的に明記しておくべきでしょう。合わせて著作権についても、会社に帰属する権利はどこまでの範囲なのかを具体的に明記しておく必要があります。
以上より各ポイントの共通点としていえることは、具体的に・詳細に規定することで会社を守ることができるものは極力具体的に明記しておくに尽きるでしょう。
従来の就業規則に対する捉え方では、内容を曖昧にしておくことで、様々な労務リスクに対応するとされていましたが、この曖昧さが災いし就業規則の内容を拡大解釈され、多大な負担を強いられる結果につながってきました。
ぜひ一度自社の就業規則を見直し、労務対策が講じられているか再確認してみてください。
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