人事制度の今を読み解く

弊社にて発行しております「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」で、過去に掲載したコラム「人事制度の今を読み解く」を紹介しております。経営のヒントご活用ください。

働き方改革の段階と人事評価制度の位置づけ

多くの企業がITツールやクラウドサービス・AIといった新製品や新サービスに「生産性向上」「長時間労働の是正」というキャッチコピーを掲げるようになりましたが、「働き方改革」と人事評価制度の位置づけについて、考察していきます。
IT専門調査会社IDC Japanは、「働き方改革の段階とIT活用」のレポートより、働き方改革を3つの段階で捉えています。

段階 テーマ 取り組む内容 目的
第一段階 管理の強化
  • 勤怠管理
  • 人事管理
「情報の可視化」
  • 制度変更等で、長時間労働を抑制
第二段階 効率性と
生産性の向上
  • 社内コミュニケーションツールの導入
  • データプラットフォームの活用
「情報の活用」
  • 社内コミュニケーションの活性化
  • 個人の持つナレッジ活用による生産性の向上
第三段階 人材活用と
事業拡大
  • 分析基盤の導入
  • 経営に対する取り組みの効果測定
「情報の戦略化」
  • データ分析による人材活用と顧客インサイトでの収益拡大や新製品開発

多くの中小企業が第一段階にあり、クラウドサービス導入等による勤怠管理の強化、就業規則やルールの見直しにより長時間労働の抑制に取り組み始めています。

人事評価制度の導入の目的を、第一段階である長時間労働の抑制や成果と給与の連動による離職の防止という思考にもなりがちですが、真の目的は上司と部下のコミュニケーション強化により、社員一人ひとりの成長を促し、業績をアップさせることのため、第二段階、第三段階に該当します。

勤怠管理や人事管理が整備されていなければ、人事評価制度の目的が「何のための評価か」「評価制度で何がよくなるのか」はっきりしないため、現場での違和感や不信感につながりやすくなります。
また、人事評価制度は人が人評価するものですので、上司と部下で相互の目標を確認し、フィードバック面談も行う必要があり、評価基準の設定や公平性の観点からも、そもそも社員の意識や社内の人間関係がうまくいっていなければ、効果的に運用できない可能性が高くなります。

IT技術の進化により、運用に対する障害や負荷は改善され、人材のデータ分析等にも活用しやすくなっていますが、自社がどの段階にあるか、導入の目的や運用できるかを考えてはいかがでしょうか。

2017年9月 「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」人事制度の今を読み解く

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