人事制度の今を読み解く

弊社にて発行しております「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」で、過去に掲載したコラム「人事制度の今を読み解く」を紹介しております。経営のヒントご活用ください。

人事評価制度のおける文化の相違

人口約6億人といわれるASEANをはじめ、アジアに進出する日系IT企業が増えています。
ASEANでは生産年齢人口の割合が高く、インドネシアを中心に人口増加は続いており、15年後の2030年には約7.2億人、さらに2050年には約7.8億人に達すると見込まれており、非常に有望なマーケットだといえます。
また、日本国内でもアジアを中心とする外国人材は、就業意欲が高く勤勉であり、IT関連企業ではうまく活用している会社も少なくありません。
アジアに拠点を展開する日本企業や外国人材を活用している企業からは、「人材マネジメントが難しい」「優秀な人材が定着しないため、人材採用と育成にコストがかかる」などの課題がよく挙げられています。

人事評価制度は、大きく分けて賃金制度・等級制度・評価制度の3つから構成されていますが、評価制度に文化の違いが現れやすくなっています。

文化 重点 評価制度においての違い 背景
日本 能力行動 取り組む姿勢が根付いている為、評価制度が多少曖昧でも機能する 流動性の高い労働市場のため、成果に連動した報酬や昇格を重視
アジア 成果キャリア 目標や評価基準が処遇と連動しないと機能しにくい 中長期雇用が前提のため、短期的な成果よりもプロセスを重視

この認識の違いは、管理職と社員との信頼関係にマイナスの影響を及ぼし、優秀な社員の離職やモチベーションの低下につながる可能性もあります。

Mercer社のレポートによれば、以下の評価制度の分析がされております。

アジアの文化からみる日本企業の評価制度の課題 アジアの文化に適した評価制度
  1. 中心化・寛大化した評価結果
  2. 評価結果と処遇の結びつきが薄い
  3. 評価結果に重点をおいたコミュニケーション
  1. 成果重視の評価基準の設定
  2. 客観性と公平性の高い評価プロセスの整備
  3. 成果主義の強化

働き方改革の9分野の方向性のなかには、人手不足の観点から「外国人材の活用」が挙げられており、アジアを中心とした外国人材の活用を考える際には、評価制度も改めて検討されてはいかがでしょか。

2017年11月 「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」人事制度の今を読み解く

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