人事制度の今を読み解く

弊社にて発行しております「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」で、過去に掲載したコラム「人事制度の今を読み解く」を紹介しております。経営のヒントご活用ください。

人事制度と関係性の質

近年、アメリカ企業では、個人や組織の成果・業績の最大化を目的としたパフォーマンス・マネジメントのあり方を見直す機運が高まっており、大手先進企業を中心とした従来型の人事評価制度や成果主義の廃止が注目された事も、その一環と捉えられます。
従来型の年次の評価と報酬、レーティングを中心とした評価制度は、手間や時間がかかるわりに、社員の能力開発やモチベーション向上につながっていないのではと指摘されるようになっております。
人材の減少や、グローバル化に伴うビジネススピードの変化、人材の多様化などを背景に、より中長期的な視点で社員を育成する人事制度が、アメリカ企業でも求められるようになってきたため、現場でのコミュニケーションや社員の主体性・創造性を重視するようになってきています。

従来型の人事制度は「結果の質」を引き出すために、社員自身に目標を設定させたり、優れた業績を上げた社員の報酬をアップしたりと、可視化のしやすい「行動の質」を管理・統制し、働きかける傾向があります。
MITのダニエル・キム氏が提唱する『組織の成功循環モデル』にあるように、行動の前の段階である可視化のしにくい「関係の質」や「思考の質」を高めていくことが重要です。
近年、これらを可視化できるITツールやクラウドサービスも様々、展開されてきております。

【組織の成功循環モデル】

  グッドサイクル バッドサイクル
職場で良好な信頼関係を築く 職場の人間関係が悪い
社員が前向きになる 面白くない、受身で聞くだけ
自発的に行動する意欲が生まれる 前向きな行動が生まれにくくなる
成果・結果が出てくる 成果・結果が上がらない
互いに尊重し、結果を認め、一緒に考える 対立し、押し付け、命令する
気づきや共有があり、さらにモチベーションが高まる 萎縮して、さらに視野が狭くなる

現場のコミュニケーションや、個々の社員の主体性や創造性を高めるといった「関係性の質」に働きかける人事施策や環境づくり、人事評価制度の構築を検討されてはいかがでしょうか。

2018年1月 「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」人事制度の今を読み解く

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