人事制度の今を読み解く
弊社にて発行しております「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」で、過去に掲載したコラム「人事制度の今を読み解く」を紹介しております。経営のヒントご活用ください。
人事評価は、運用が出来るかが重要
平成29年度の雇用関係助成金は働き方改革を軸としたものに編成され、新設された人事評価改善等助成金が注目を集めています。
以前、ご相談を受けた小売企業の例です。
圧倒的な商品力とカリスマ社長のリーダーシップのもと創業から10年で全国の店舗数は20を超えるほど急成長していました。
店舗数の増加と共に100名を越えるスタッフを抱えるようになると、店長のレベルによって働く環境に差が生まれるなど様々な問題が生じ、退職者が増加するという事態が起きていました。
経営層は人事評価制度等の整備をし、社員のモチベーションアップと離職率の改善につなげることを急務だと考えていました。
本社スタッフ、店長、アルバイトを含めたスタッフを合わせて30名近くの社員ヒアリングと全社員を対象とした社員意識調査を併せた組織診断を行うと、スタッフが求めていたものはハード面ではなく、社長とのコミュニケーションと、より良い店舗運営のための本社からのサポートや店舗間の情報共有、それぞれの役割に応じた教育機会の提供というソフト面を望んでいることが明らかになりました。
組織診断をもとに経営層と協議をした結果、仕組みではなく「人と人、心と心がつながるコミュニケーション」を最優先とし、本社と店舗、店舗間をつなぐ人材の配置と店長のサポート体制の強化、店長会議でのノウハウの共有を具体的な施策として行い、離職率の大幅な改善につなげました。
このように急成長している企業の場合、仕組みや制度等のハード面の導入という思考になりがちですが、効果的に運用ができなければ意味がありません。
人事評価制度は、運用が重要です。
上司と部下で目標を相互に設定し、フィードバック面談をきちんと行うといった運用ができていることでコミュニケーションを強化し、社員の成長と業績のアップにつながります。
今ある人事評価制度や会社の体制は、社員の処遇や気持ちに向き合う仕組みになっているか、運用が形骸化していないかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
2017年6月 「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」人事制度の今を読み解く