人事・労務の知恵袋

人事・労務 働き方改革に期待する変化・施策

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

レバレジーズ社が、中小企業の正社員を対象に「働き方改革の実態調査」を実施したところ52.4%が「働き方改革が進んでいる実感はない」と回答していることが分かりました。
働き方改革に最も期待する変化については、「給料の水準が上がること」(49.3%)が最も多く、「労働時間が削減され、プライベートの時間が増えること」(20.0%)、「健康な職場環境を得られること」(15.0%)と続いています。
優先して取り組んでほしいと思う働き方改革の施策では「給与の引上げ」(49.7%)が最も多く、2位「時間外労働の規制」(11.0%)と比較しても40ポイント以上の差があり、社員は賃上げを強く希望していることが分かり、同社は「昨今の物価高などの影響から、働きやすさよりも経済的な安定を求める人が増えていることが予想される」と分析しています。
同社は、今回の調査について「企業は働き方改革の実施施策として、『有給休暇取得の利用促進』『勤怠管理の強化』などの既存の福利厚生の活用にとどまるケースが多いことが見受けられました。一方で、社員は『賃上げ』を希望する割合が多いことから、企業の施策と社員が求めている施策に齟齬が生じています。これらのギャップは、現場の社員の声を拾えていないことが大きく影響している可能性があります。中小企業は大企業に比べて企業体力が高くないことから、社員が希望する賃上げを実施することが難しい場合もあります。今すぐに社員の希望する施策を取り入れることが難しい場合は、まずは現場社員の声を聞くことから始める必要がありそうです。社員が『自分たちの声を取り入れてくれている』と感じられるような体制づくりをすることで、多くの中小企業が働き方改革の実施目的としている、社員満足度の向上を実現できるかもしれません」とコメントしています。
レバレジーズ社のコメントにもありますが、働き方改革は働きやすさのフェーズから働きがいのフェーズに移行してきていると考えられます。
特に、物価高や人手不足の影響を鑑みると、賃金制度の見直しや人事評価制度の整備は中小企業でも必要性が高まってきていると考えられます。
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投稿日:2023/08/28
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