先日、給与明細の内容についてご質問をいただきました。
給与明細を電子明細で発行するように切り替えたいが、そもそも、明細の内容はどこまで必要とされているでしょう?というものです。
労働基準法では、108条(賃金台帳)と109条(記録の保存)で規定しているだけで、給与明細の記載等に関する具体的な規定はされていません。
給与処理上では、健康保険・厚生年金保険や雇用保険料の控除がされ、この控除額を被保険者(社員)に通知しなければならないとされていますので、何かしらの計算方法と保険料額を示す必要があります。
同様に、給与から控除される所得税についても、所得税法231条で「必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」とされています。
つまり、毎月の給与処理を行った結果としての給与明細を書面や電子化されたものでも発行し、本人に内容を通知しなければならない事となります。
具体的にどこまで通知すべきかについては、労働基準法24条(賃金の支払)に関する行政通達で示されています。
【H10.9.10基発第530号(S50.2.25基発第112号は廃止)】
3.使用者は、口座振込み等の対象となっている個々の労働者に対し、所定の賃金支払日に、次に掲げる金額等を記載した賃金の支払日に、次に掲げる金額等を記載した賃金の支払に関する計算書を交付すること
(1)基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
(2)源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
(3)口座振込み等を行った金額
この時、年次有給休暇の取得日数や残日数などは、法律上の通知義務はないものの給与計算上の根拠ともなる事から、明細上に日数を明示し通知する形とします。
給与明細を電子化して通知する場合も上記の明細内容を基本とし、これにセキュリティ上の扱いを設けて通知をする事となります。
参考)
労働基準法108条(賃金台帳)
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
労働基準法109条(記録の保存)
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。
所得税法231条(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)
- 居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。
- 前項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定による給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請求があるときは、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。
- 前項本文の場合において、同項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、第1項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を交付したものとみなす。
上記内容に関連する「給与計算アウトソーシング」ページもご覧ください。
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