給与の締日・支払日を変更する場合、どのような点に注意すべきでしょう。
1.就業規則の変更手続と、社員の同意を得ること
賃金の締め切り・支払日は、就業規則に規定しなければならない「絶対的記載事項」となりますので、変更に伴い、管轄労働基準監督署への届出が必要になります。
変更の仕方によっては、給与計算期間が1か月を切る月が発生し支給額が少なくなる場合もあります。
計算期間が少なくなった分は時間外手当の計算等にも影響がありますので、変更月の基本給は1か月分のまま支給をし、差額分を翌月で精算をする、など極力支給額への影響を抑えるようにします。
若干の変動でも社員によっては生活に影響がないとも限りませんので、会社が一方的に変更するのではなく、あらかじめ社員の皆さんに説明をした上で変更するのがよいでしょう。
支給日を翌月に変更する場合などは労働基準法で定める「毎月1回払い」に違反する可能性もあります。
締日・支払日の変更に伴う影響を抑えるために
●変更するまでの予告期間を長めにし、社員に一定の備えをしておいてもらう
●変更月を賞与支給月に合わせ生活費への影響を少なくするようにする
●場合によっては短期で無利子での貸付を行うことも検討する
など、何らかの移行措置を講ずることも必要になります。
2.4~6月に変更するときは社会保険手続きに注意
4月から6月の間に給与の締切日を変更すると、社会保険の算定基礎届の算定月に該当するため、事務処理手続きが煩雑になります。
社会保険の算定基礎処理は、4月~6月の3か月の給与を3で割り報酬月額を算出します。
例えば、20日締め25日支払いだったものを、5月から10日締め25日払いに変更すると、4月25日は3月21日~4月20日までの1か月分が支払われ、5月25日には4月21日~5月10日までの20日分の賃金しか支払われないため、正確な報酬月額が算出できません。
この間に給与支払いの仕組みを変更すると事務処理手続きが煩雑になります。
3.雇用保険は退職時の離職票に注意
給与締切日を変更した場合には、離職証明書の作成についても注意が必要です。
離職証明書の賃金支払対象期間の欄には、変更に応じて計算期間が短くなった期間を記載し備考欄に給与締切日変更を附記します。
失業給付の算定基礎となる給与日額の計算では、変更の結果、給与計算期間が短くなった月は除外して計算されます。
給与が支給されなくなるわけでもないしと会社が一方的に変更される事がありますが、社員の生活設計が不安定となるような影響を及ぼさないように配慮することが、結果的に業務にも支障が出ずに済むものとなります。
上記内容に関連する「給与計算アウトソーシング」 「手続き業務のアウトソーシング」ページもご覧ください。ご質問・お問い合わせは、メール(info@sming.jp)、フォーム、またはお電話(03-6300-0485)より、気軽にご連絡ください。