【今回のワンポイント】
1.原則は職場以外で業務に直接関係のない行為で懲戒処分はできない
2.企業活動への影響、行為の経緯、刑事罰の有無などにより慎重に判断する
社員が私生活で不祥事(たとえば痴漢行為や暴力事件など)を起こした場合、懲戒処分に付することはできるのでしょうか?
職場外での職務遂行に直接関係のない行為に対して懲戒処分を行うことはできないのが原則ですが、刑事事件については、企業秩序に直接関係性を有する場合は懲戒の対象となり得ます。
痴漢行為などで有罪となった事実を看過すると企業秩序の維持が保てないと判断される場合には、何らかの懲戒処分を検討すべきです。
これまでの経緯や、当該社員の反省の姿勢、事業運営への影響などの事情も考慮して、就業規則の定めに従い適正な手続きで処分内容を決定します。
ただし懲戒解雇とする場合は、解雇権濫用にあたらないよう、特に慎重に検討を行う必要があります。
不祥事を起こした社員が指導的な立場にある場合や、業務の性格上規律遵守が強く求められる場合など、企業の対外的信用への影響度合いが高いとの判断から懲戒解雇処分としないと、企業秩序や業務の正常な運営を維持できないという状況もあり得ます。
しかし、そこまでの判断がためらわれる場合は、諭旨解雇や合意退職を検討する、または軽度の懲戒処分にとどめるほうが適当でしょう。
■企業の社会的評価を下げたとして解雇が有効とされた例
笹谷タクシー事件 最高裁 S53.11.30
タクシーの乗務員が勤務時間外において職場の後輩に対し飲酒運転を容認し、けしかけた。
↓
従業員の職務外でなされた職務遂行に関係のない行為であっても、企業秩序に関連を有し、企業の社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められる場合には、懲戒解雇の理由となる、とした。
■逮捕されたが企業の社会的評価を下げたとまではされなかった例
日本鋼管事件 最高裁 昭和49.3.15
政治デモ参加中に逮捕され、起訴された。
↓
最高裁は懲戒解雇を無効とした。
ただし「営利を目的とする会社がその名誉、信用その他相当の社会的評価を維持することは、会社の存立ないし事業の運営にとって不可欠であるから、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない。」としている
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