改正労働基準法案が閣議決定され、国会に提出されました。
早ければ平成28年4月1日(一部は31年4月1日)より施行されます。
直ちに影響があるのは、年間5日の年次有給休暇の時季指定取得と、フレックスタイム制の清算期間が3ヶ月まで延長される点です。
3年後に大きく影響があるのは、これまで月60時間を超えた残業時の割増率が猶予されていた中小企業に対しても、50%の割増率が適用される点になります。
長時間労働の影響によるとされるメンタル不全を減少させたいというところから、長時間労働への対策が強化される一方、多様な働き方が認められる職種に対しては、労働時間による制限を取り除こうとしています。
いずれにしろ改正案が可決される事を前提に、労務管理の対策を講じていく事が求められます。
【改正概要】
1)月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(3年後実施)
2)時間外労働に係る助言指導に当たり「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を明確にする。
3)10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日分を、毎年、時季を指定して与えなければならない事とする(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない)。
4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組を促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。
5)フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1ヶ月から3ヶ月に延長する。
6)企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。
7)職務の範囲が明確で、少なくとも1,000万円以上の年収である労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じ、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
また制度の対象者は、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。