労働政策研究・研修機構が、全国の47都道府県労働局のうち4局において2008年度に取り扱った助言・指導及びあっせんの記録を分析した結果を公表しました。
一つの事案についての記録と情報量が豊富な事から、あっせんを中心に分析を行い、調査研究の対象となったあっせん件数は1,144件(同時期の全国あっせん申請受理件数8,457件の約13.5%相当)となっています。
以下、結果概要。
【就労状況】
正社員が51.0%、直用非正規30.2%、派遣11.5%、試用期間中6.6%
企業規模では100人未満が58.2%と中小企業が大部分を占める
【申請内容】
雇用終了66.1%、いじめ・嫌がらせ22.7%、労働条件引き下げ11.2%(重複あり)
【あっせんの終了状況】
合意成立30.2%、取り下げ等8.5%、被申請人の不参加による打ち切り42.7%、不合意18.4%等
【あっせんにかかる日数】
被申請人の不参加による打ち切りの場合はほとんど30日以内、
合意成立及び不合意の場合でも大部分は31~60日で結果が出ている
【請求金額と合意成立状況】
請求金額が40万円未満の場合には合意成立が40%を超えるが、40万円以上になると徐々に低下。
正社員は比較的高額の請求をしているが、直用非正規、派遣の請求は比較的低額。
【解決金額】
正社員は10~40万円未満に集中しているが、比較的高額の解決も見られるのに対し、直用非正規や派遣は10万円未満も3割以上あり、正社員に比べて低額解決になっている。
総じて、請求金額よりも低額の解決金となっているが、事案によっては比較的高い解決金を受け取るケースもある。
(以上、公表結果より)
具体的なあっせん事由についても触れられてあり、雇用終了に関する事案では、経営上の理 由によるものが一番多いものの、勤務態度や職務能力を理由とするものについては、具体的な業務命令拒否や具体的な職務能力不足を理由とするものはあまり多くなく、態度で言えば「相性」、能力で言えば「不向き」といった抽象的かつ曖昧な理由によるものも少なくないようで、これでは個別紛争となっても致し方ないかなという状況も見えてきます。
個別労働紛争にまで至ってしまうと、そこにかかるコストとパワーは図る事ができません。
人の問題ですから、100%紛争を失くす事はできないものの、紛争になってしまう前の解決できる段階があるところで何とかできないものかと思います。
個別労働関係紛争処理事案の内容分析(サマリー)
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2010/documents/0123_summary.pdf
個別労働関係紛争処理事案の内容分析(本文詳細)
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2010/documents/0123.pdf
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http://www.sming.jp/250/25050/
人事・労務の知恵袋
- 人事・労務 雇用終了、いじめ・嫌がらせ、労働条件引下げ-個別労働関係紛争の具体的内容
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投稿日:2010/06/25
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