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人事・労務 スピード解決が売りの労働審判が遅れがち、裁判官不足が原因

11月17日 アサヒコム
不況の影響で裁判所に申し立てられる労働審判が増え、迅速な解決が売り物の審判期日が遅れる事態になっている。
京都弁護士会は「原因は裁判官不足にあり、労働審判担当の裁判官にも重い負担を強いている」として、裁判官増員などを求める要望書を京都地裁などに提出した。

労働審判制度は06年4月に始まった。
不当解雇や賃金未払いなどの訴えに対し、裁判官1人と、労働分野に通じた専門家2人の計3人が労使双方の意見を聞き、調停を試みる。
調停がだめなら労働審判で結論を出し、異議の申し立てがあれば訴訟に移行する。

短期間で柔軟な解決が図れることが売り物で、申し立てから40日以内に第1回期日を指定し、原則3回以内で解決することになっている。
関係者の間では3カ月で解決することが目安だという。

同弁護士会によると、申し立ては年々増加。
京都地裁では07年31件、08年44件、今年は1~7月で35件にのぼり、特に6、7月は計17件が集中した。

しかし、地裁で労働審判を担当するのは第6民事部の2人の裁判官で、同民事部は同じく増加傾向にある労働関係訴訟も担っている。
9月に弁護士会の「労働に関する委員会」がアンケートしたところ、審判の第1回期日が申し立てから40日を超え2カ月先になった事件が複数見つかり、「解決まで3カ月以上かかるなら、審判制度を使うメリットがない」との意見が寄せられた。

要望書で、弁護士会は審判の遅れは「裁判官不足が根本的な原因」と分析。
第6民事部に労働審判が集中していることも要因だとして、第7部まである民事部で割り振りを見直すよう求めた。
中村和雄委員長は「雇用情勢を考えれば、さらに労働審判の増加が予想される。迅速に解決できないと利用者を遠ざけることにもなってしまう」と話す。
(以上、記事より)

申し立てから結審するまでの期間が短く、使用者・労働者それぞれにもメリットがあるとされている労働審判制度の審判期日が遅れているよう。

第1回目期日までの期間が長くなっているようですが、使用者・労働者いずれも短時間で準備をしなければいけないのであれば、第1回期日までの期間は十分にとり準備をし、その後の審判を早く進めるという事も考慮してもらいたいと感じるところです。

記事では雇用情勢から労働審判も増えると予想しており、これは当然の事と思います。

であればこそ、十分な審理内容としてもらうためにも審判期日のバランスも大事になってくるのではないでしょうか。

労働審判まで至らない労務トラブルも確実に増加してきています。
トラブル解決の根本は、使用者・労働者のコミュニケーションにあります。
法律違反という観点だけでなく、労使双方の十分な話し合いで認識の食い違いを解決できる事も多くあります。

まずはトラブルとならないよう就業環境の整備と、日頃からのコミュニケーションを大事にしてもらいたいと思います。

投稿日:2009/11/18
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