4月13日 asahi.comより
「ツアコン」と呼ばれ、華やかなイメージもある旅行添乗員たちが、長時間労働や低賃金に悲鳴をあげて労働組合を結成、労働基準監督署も指導に乗り出した。
業界慣行では何時間働いても日当が定額で、添乗員たちはこの慣行が労働基準法に違反していると主張。
業界団体は逆に、業界慣行を正式に認めるよう厚生労働省に迫っている。
「何時間働いても給料は同じなのに、負担は増える一方。働きに見合った賃金にして欲しい」
海外ツアーの添乗員の女性(38)は今年2月、仲間と全国一般東京東部労組に入った。
阪急交通社の子会社で、添乗員を派遣する阪急トラベルサポート(大阪市北区)に登録している。
会社には「日当制」の見直しと、労働時間に合った残業代や深夜割増賃金の支払いを求めている。
ツアーは朝6時や7時の朝食に始まり、夕食後も夜景観賞やナイトショーなどのオプションに同行する。
早朝や深夜まで予定がつまったツアーが増え、労働時間は長くなる一方だ。
業界団体の実態調査によると、国内外を問わず1日12時間を超える勤務が7割以上で、国内修学旅行では16時間以上が5割を超える。
だが価格競争のなか、添乗員の待遇は抑えられたまま。日当の平均は国内9450円、海外1万3250円で、年収は約230万円にしかならない。しかも、ツアーごとの契約でボーナスも社会保険もないことが多い。
音を上げた添乗員が労基署へ駆け込む事例も相次いでいる。
派遣会社でつくる日本添乗サービス協会が把握するだけで、05~06年に全国の8労基署が、派遣会社や旅行会社に対し、きちんとした労働時間管理や休憩・有給休暇の保障、残業代の支払いなどを指導。実際に残業代を払う例も出ている。
だが、業界側は「日当制は長年の慣行」と譲らない。
「海外にも出かける添乗業務は労働時間の把握が難しく、本人の裁量も大きい。拘束時間は長いが、すべて労働時間ではない」(日本旅行業協会の樫村隆二・総務部長)と主張。業界団体の連名で2月、厚労省局長あてに、業務の特殊性から時間管理をしない慣行を認めるよう異例の申し入れをした。
添乗員側は「ツアー日程は分刻みで、携帯電話もあり労働時間が把握できないはずがない」と反発を強め、今月末、同省に業界の申し入れを認めないよう要請を行う。
(以上、記事より)
派遣添乗員の労務環境が悪いのは以前から知られていた事で、契約形態の問題などもあってか、なかなか改善が進まない職種のひとつとされています。
実際に働く側からも、手取り収入が低い事から社会保険加入を拒むケースもあるようで、賃金・労務環境の低さがマイナスの環境をさらに作っている状況になっています。
みなし労働の扱いを業界より申し入れがあったようですが、一般企業でも営業職のみなし労働時間の扱いが取り沙汰されている現在では、労働時間の把握ができないという理由だけでは申し入れは通らないと思われます。
価格競争と人件費コストとのバランスが添乗員の待遇に直結している事情があるにせよ、万が一何かあったときの責任は企業にある事も忘れないで欲しいものです。
人事・労務の知恵袋
- 人事・労務 へとへとツアコンが日当改善を訴え蜂起
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投稿日:2007/04/14
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