人事・労務の知恵袋

法改正 4月から変わる健康保険制度

4月からは健康保険についても制度内容が変更されます。
今日はこちらをまとめてお伝えします。

標準報酬月額の上下限度額が拡大

社会保険料の計算基準となる標準報酬月額は、現在、下限が9万8千円、上限が98万円となっていますが、4月より下限が5万8千円、上限は121万円となります。
この上下限度額の変更により新しい標準報酬月額になる場合は、保険者による改定が自動的に行われるため、特に届出が必要となる事はありません。


標準賞与額の上限がアップ!

賞与が支給された際の保険料は、標準賞与額(賞与支給額の1000円未満を切り捨てた額)に保険料率をかけて計算することとなっています。
標準賞与額の上限は、これまで1回につき200万円を上限としていましたが、4月からは年度の累計額540万円を上限とすることとなりました。

※年度は毎年4月1日から翌年3月31日まで。

年度の途中で、転職などにより被保険者としての資格の取得・喪失があった場合の標準賞与額の累計は、保険者単位とすることとなっていますので、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は、
同一の保険者である期間に支給された標準賞与額について累計することとなります。

この場合、育児休業等により保険料が免除となっている期間に支払われた賞与についても標準賞与額として決定し、年間累計額に含みます。
また、資格を喪失した月に資格喪失前に支払われた賞与については、保険料の賦課の対象とはなりませんが、標準賞与額の累計には含まれます。


傷病手当金、出産手当金の支給額

今までは1日あたり標準報酬日額の6割が支給されていましたが、4月から標準報酬日額の3分の2相当額が支給されることとなりました。


任意継続被保険者に対する傷病手当金、出産手当金の支給が廃止


資格喪失後6ヶ月以内に出産した場合に支給されていた出産手当金が廃止

今までは会社を退職し、被保険者としての資格を喪失後6ヶ月以内に出産した場合は、出産手当金が支給されていましたが、4月からはこの手当金が廃止されます。
ただし経過措置として、5月11日以前(多胎の場合は7月6日以前)に実際に出産した場合には、出産手当金が支給されます。


70歳未満の方の入院等に係る高額療養費の支払の特例(現物給付化)が実施

医療機関での窓口負担を軽減するため、70歳未満の被保険者及び被扶養者の方についても事前に社会保険事務所の認定を受けることで、1ヶ月にそれぞれ同一の医療機関での入院療養等を受けた場合は、所得に応じて、窓口での一部負担金等の支払いを高額療養費の自己負担限度額までとすることが出来るようになります。


健康保険に関する制度改正は、徴収する保険料額が高くなり、出産手当金・傷病手当金などの給付が条件によって支給されなくなるものです。

年金制度の変更と同様に、給付と負担のバランスが悪いとの前提から変更されており、もらう立場からすると保険料負担が大きくなる割には、給付が少なくなった感があります。

労働力が少なくなると、今回のように社会保障の点からも給付に影響が出てくるのは必至。
少子高齢化対策だけではなく、非正規就労者を正規就労へ転換させる事も、制度維持からするととても重要だと感じます。

投稿日:2007/04/06
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