今日は、遺族厚生年金制度について。
65歳以上の方の遺族厚生年金の支給方法の見直し
従来の遺族厚生年金は、死亡者の老齢厚生年金額の4分の3とされていましたが、4月1日以降に受給する権利が発生する遺族厚生年金の額は、次の2つを比較し、いずれか高い方の額となります。
■配偶者の死亡による遺族厚生年金の額(死亡者の老齢厚生年金額の4分の3)
■配偶者の死亡による遺族厚生年金の額(死亡者の老齢厚生年金額の4分の3)の3分の2の額と、ご自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額の合計額
遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給方法の変更
従来の受給方法では、受給権者の意思により3つの受給方法から選択することができました。
4月1日以降に65歳になる方が遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権がある場合、老齢厚生年金を優先的に受給し、遺族厚生年金は(遺族厚生年金額-老齢厚生年金額)の差額分を受給する形となります。
30歳未満の妻に対する遺族厚生年金が、5年間の有期給付に
夫の死亡時に、子どものいない30歳未満である妻が受給する遺族厚生年金は、今までの終身支給から、遺族厚生年金の受給権を有した日から5年を経過したときまでとなります。
なお、遺族厚生年金と同一支給事由による遺族基礎年金の受給権がある場合は、遺族基礎年金の受給権が消滅した日から5年を経過した時点で、遺族厚生年金の受給権もなくなります。
妻に対する遺族厚生年金に加算される額の支給開始年齢の引き下げ
妻に対する遺族厚生年金に加算されるものとして「中高齢寡婦加算」というのがあります。
従来は、夫の死亡時に35歳以上である妻に対して40歳になったときから支給されていましたが、4月からは夫の死亡時に40歳以上である妻に、65歳に到達するまでの間支給されることになります。
の妻に対する遺族厚生年金の改正は、就労状況にかかわらず遺族厚生年金を生涯受給できることになっていたものを、子どものいない一定年齢以下の妻の就労を促すための措置と位置づけ、終身支給から有期支給へと見直しされたようです。
今回の改正は会社に勤める人が受け取る年金への制度変更が中心で、年齢の低い方から高齢者まで少なからず影響が出るような内容となっています。
年金制度は5年に1度ペースで改正が行われますので、今後の改正でも、支給額や支給制限が加えられていくように思えてなりません。
人事・労務の知恵袋
- 年金・保険 4月から変わる年金制度(4) 遺族厚生年金
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投稿日:2007/04/05
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