今年4月に改正された、高年齢者雇用安定法と労働契約法への対応状況に関するアンケート結果が、労働政策研究・研修機構より公表されています。

調査結果のポイントは以下の通り。


【高年齢者雇用安定法の改正】

定年後の継続雇用者の雇用形態として「正社員以外の嘱託・契約社員・パート等」を採用している企業は、100人未満の企業ではおおむね6割だが、1,000人以上の企業では8割を超える。

企業規模が大きいほど、短日数勤務や短時間勤務など、多様な勤務形態を継続雇用者に用意する割合が高く、人事評価も「定年前の評価方法と別の方法で行う」の割合が高くなっている。  

定 年到達時の年間給与(手当や賞与等を含む。公的給付は含まず)を100とした場合、継続雇用後の給与水準は、全体の平均値で68.3とほぼ7割の水準であり、「61~70」とする企業が22.9%とわずかの差でもっとも多く、次いで「51~60」(21.7%)、「71~80」(17.0%)、「50以下」(16.1%)、「81以上」(15.3%)と続く。
 
企業規模別にみると、規模が大きくなるほど、「50以下」の回答割合が高まる傾向にあり、「1,000人以上」では「50以下」の回答は37.1%と4割近くに及ぶ。

一方、「81以上」の回答割合は規模が小さくなるほど増えており、規模の小さい企業ほど、定年到達時の水準からの減額率が小さい傾向にあることがうかがえる。 

法改正の影響では、「総額人件費の増大」(26.9%)「社員に対する健康面での配慮の責任の増大」(23.9%)に続き、「ベテラン社員の残留による現場力の強化」(23.8%)「高年齢社員から若・中年層への技能継承の円滑化」(19.3%)といったプラス面が上位にあがった。 


【労働契約法の改正】

4月以降、有期契約を反復更新して通算5年を超えた場合に、労働者の申し出により無期限の労働契約に転換できるルールが新設されました。

この改正への対応について、フルタイム契約労働者およびパート契約労働者とも、「対応方針は未定・分からない」がもっとも多かった(同順に38.6%、35.3%)。

だが、これに次いで多かったのが「通算5年を超える有期契約労働者から、申込みがなされた段階で無期契約に切り換えていく」(同順に28.4%、27.4%)で、「適性を見ながら5年を超える前に無期契約にしていく」や「雇入れの段階から無期契約にする」と合わせると、何らかの形で無期契約にしていく意向のある企業割合が、フルタイム契約労働者で42.2%、パートタイム契約労働者でも35.5%にのぼった。 

何らかの形で無期契約にしていく意向があると回答した企業(上記)に対し、法改正前から雇用している有期契約労働者について、「本人の希望があれば、法定を上回る形で、無期契約や正社員に転換していく対応を検討したい」が39.5%でもっとも多く、「既にそうした対応を行っている」(16.5%)と合わせて半数を超えた。


高年齢者雇用安定法の改正による継続雇用年齢の引き上げに対しては、企業規模が大きいほど、定年時の給与水準より給与額を抑え継続雇用を行っています。

人件費コストと、高年齢による健康管理にかかるコストアップの影響があるものの、仕事のノウハウやスキルを若年層に引き継げる事をメリットとして捉えている企業が多い事がうかがえます。

労働契約法の改正、特に有期雇用者の無期雇用転換については、改正前から多くの企業が気にしていたものの、実際に適用される労働者が直近にいない事から、積極的に法改正に対応している企業はまだまだ少ないのが実感です。

こちらは有期雇用期間を10年に変更するという意見も出ている事から、今後の動向によって対応が変わってくるかもしれません。

「高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関する調査」結果 
http://www.jil.go.jp/press/documents/20131112.pdf


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