年次有給休暇の消化方法について、よく質問をお受けします。
多くの方は、年次有給休暇を消化していく際に、前年から繰り越されたものから消化するものだと思っています。
実は、年次有給休暇をどちらから消化するかについては、労働基準法には明確な定めはありません。
前年度からの繰り越し分と、今年度新たに付与された分のどちらから先に消化するかは、民法488条1項により債務者である会社側が指定することができるのです。
つまり「今年度新たに付与された分から消化する」というルールを設ける事ができるというわけです。
会社側としてみれば、年次有給休暇を新たに付与した分から消化していくと、翌年度への繰り越し数が少なくなりますが、従業員側からすれば「繰り越し分から消化される」ものと考えている方が大多数であるのも事実ですので、繰り越し数が少ないのは不利益だと主張してくるかもしれません。
法律に明確な定めがない場合には、就業規則で具体的に定めておく必要があります。
また以前より、前年から繰り越されたものから消化してきた事実があるものを、いきなり当年に付与されたものから消化するとするのは、実態に即していませんので不利益変更と解釈されます。
不要な労務トラブルを回避するためにも、就業規則に年次有給休暇の消化順序を具体的に定めたうえで、従業員への周知をおこなっておくことが肝要です。
上記内容に関連する「社員も安心、会社も納得の就業規則」ページもご覧ください。
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