人事・労務の知恵袋

年金・保険 商品取引業年金基金、解散へ=AIJ委託先で2例目

時事通信社より

商品取引所や商品先物会社などの年金を運用する全国商品取引業厚生年金基金(理事長・二家勝明日本ユニコム会長)が解散する方針を決めたことが22日、分かった。
加入者減少で収支が悪化した上、AIJ投資顧問の運用損失が約21億円発生。「環境悪化で継続は難しいとの判断に至った」(宇佐見敏基常務理事)という。

厚生労働省によると、問題発覚後、AIJに運用委託していた年金基金で解散方針が明らかになったのは、北海道電気工事業厚生年金基金(札幌市)に次ぎ2例目。

(以上、記事より)

AIJでの運用損失が影響しての厚生年金基金解散のようです。
加入している厚生年金基金が解散となった場合、年金支給額はどうなるのでしょうか。

元々、厚生年金に対する上乗せとして拠出金を積み立てするものですから、本来支給される厚生年金はそのまま支給されます。

基金を解散する際に、基金連合会に最低責任準備金を納めますが、この準備金に該当する分として代行年金が厚生年金と合わせて支給されます。

さらに基金解散時に資産の残余があった場合には、これも将来、厚生年金と合わせて加算年金として支給されます。

基金の運用自体が思わしくなく解散となるケースでは資産の残余は見込めない可能性が高いと思われます。

基金の解散時に受け取れるのは、資産の残余分に相当する部分のみとなり、最低責任準備金に相当する代行年金は、将来受け取る厚生年金と一緒に支給される形となります。

この代行年金は、老齢厚生年金と同様に扱われるため、在職老齢年金に 対する支給停止や雇用保険との調整と合わせて、代行相当部分の年金も年金額が減額または支給停止となる場合があります。

解散基金加入員の通算(企業年金連合会)
>> http://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkin_tsusan/nenkin_tsuusan04.html

基金の運用実績が良くならない限りは、将来受け取れるはずの上乗せ額もありません。

AIJ問題に限らず厚生年金基金の運用実績は思わしくなく、加入企業は基金を脱退する事もできず拠出金負担ばかりが増えているという現実があります。

脱退要件を緩和しようという動きもあるようですが、過去からの不足額をどうやって充当し、加入していた企業=社員へ満足ある支給ができるかが大きな課題といえそうです。

 

投稿日:2012/05/23
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