人事・労務の知恵袋

就業規則 労働時間(2)手待ち時間

【今回のポイント】
1.労働時間は、休憩時間を除いた実働時間
2.手待ち時間は労働時間と判断されがちなので要注意


120524-2労働時間とは、休憩時間を除いた実働時間をいいます。

よく混同されるのが拘束時間。これは休憩時間を含んだ全部の時間をいいます。

例えば、始業が9:00、終業が18:00、休憩時間が 12:00~13:00の1時間だとすると、労働時間は休憩時間を除いた8時間となり、拘束時間は全体の9時間となります。

労働時間は、社員が実際に働いている時間以外に、使用者の指揮命令下におかれている時間も含むとされます。これが「手待ち時間」というものです。

ちなみに休憩時間は、労働基準法で労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間を労働時間の途中に与える事とされています。

手待ち時間には様々なケースがあり、またよく労働時間に含むか含まないかで問題になります。

よく相談があるのは、お昼休憩中に社員が自分の机で昼食を取りながら、かかってきた電話を取り対応しているケースです。
この場合、昼食を取りながら電話を取る事を会社が指示しているのかどうかが判断基準となったりします。

あいまいな状態のままにしておき社員から訴えられると、休憩時間なのに働かされたとして慰謝料の支払いを求められる場合もあるのです。(住友化学事件・最三小判S45.11.13)

判例上でも、手待ち時間は労働時間であると判断されるケースが多く、あいまいな状態での休憩がいかに危険であるかが分かります。

例1)
客がいないことを見計って適宜休憩しているような場合は、労働時間としての手待時間(すし処「杉」事件・大阪地判S56.3.24)
例2)
仮眠時間中に仮眠室で待機し、警報が鳴るなどした場合は直ちに対応して所定の作業を行なうように指示をされていた(大星ビル管理事件・最高裁H14.2.28)

休憩は休憩としてしっかり休んでもらい、その後の勤務に専念してもらうべきでしょう。


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投稿日:2012/05/24
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