人事・労務の知恵袋

人事・労務 カスハラに関する調査

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

NTTグループ、高島屋グループや航空、鉄道バスなど交通各社が「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定する企業の動きが進んでいます。
帝国データバンク社が発表したカスハラに関する調査結果によれば、直近1年で15.7%の企業がカスハラ被害を受けており、規模別では、大企業が21.0%、中小企業で14.8%、小規模企業が14.4%、業界別では多い順に「小売」(34.1%)、「金融」(30.1%)、「不動産」(23.8%)となっていることがわかりました。
「自分のわがままを押し通そうとし、思い通りの結果にならないと罵倒する年配の方が多い」「近年はネットに書くと脅されるほか、一方的に事実無根の悪評を書き込まれ、対応に苦慮している」といった声が挙げられているようです。
カスハラや不当な要求などへの対応策や取り組みでは、50.1%が「何らかの取り組みあり」と回答しており、具体的には多い順に「顧客対応の記録」(20.1%)、「カスハラを容認しない企業方針の策定」(12.3%)、「カスハラ発生時のサポート体制の構築」(9.6%)となっております。
帝国データバンク社は「セクハラやパワハラのように、社会的にカスハラに当たるか否かのライン設定を明確化し、許さない雰囲気を醸成することが重要といえる」と指摘しており、まだ被害のない企業でも、働きやすさや円滑な取引を維持する上で、対策が急務だとコメントしています。
令和5年9月に、厚生労働省は心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正し、業務による心理的負荷評価表の具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)が追加されており、カスハラ対策などは職場環境の向上にもつながりますので今後も各企業の対策や取り組みは進んでいくことが想定されます。
 
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投稿日:2024/07/29
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