人事評価制度の構築・運用支援を行う日本人事経営研究室社は、中小企業の経営者・役員を対象に「人事評価制度の運用状況とそれによる企業への影響」に関する調査を実施されています。
直近1年間に賃上げを実施したかについて、人事評価制度を運用している中小企業では92.0%が「賃上げを実施した」と回答した一方、運用していない企業では44.0%にとどまり、両者の間に約2倍の差がありました。
人事評価制度を運用している企業では、従業員の業績や貢献度に基づいて賃上げを実施しやすく、評価が賃金に反映される仕組みが整っていることが賃上げにつながっていると考えられる一方で、制度を運用していない企業では、賃上げの基準が不明確なケースが多い事情がうかがえます。
直近1~2年の「業績が向上した」と回答した割合は、人事評価制度を運用している中小企業で53.0%、制度を運用していない中小企業では26.0%にとどまり、制度の有無が業績にも大きく影響している実態が現れているようです。
日本人事経営研究室社は「人事評価制度によって、従業員一人ひとりの業務パフォーマンスや目標が明確に定義される。従業員が業績向上に向けた行動を取りやすくなることが、業績にも寄与していることが示された」と考察されています。
中小企業の場合、人事評価制度を導入されていない企業もあります。
人事評価制度が導入されないまま、数百名などの従業員規模になると、月額の給与が勤続年数や役職などに相関しておらず、等級ごとの賃金テーブルの検討に苦労するケースもあります。賃金制度をする際には、不利益変更にも考慮しつつ、個人ごとに仮等級を設定するなどして法則性を分析し、何度もシミュレーションを行い導入のサポートを行ったケースもありました。