平成22年中に全国の労働委員会が扱った、労働組合と使用者の間に生じた「集団的労使紛争」の取扱件数と、44道府県労働委員会(独自の紛争処理制度を持つ東京、兵庫、福岡以外)が行った、労働者と使用者の間の「個別労働紛争」のあっせん件数が公表されました。

1集団的労使紛争のあっせんなど
・平成22年の新規の取扱件数は566件、前年比167件、22.8%の減。
 同年中の解決率は58.8%で、前年比0.3ポイント減。

・紛争内容別では、「団交促進」49.0%、「解雇」24.9%、「その他賃金に関するもの」22.2%の比率が高い。

・「合同労組」が関係する事件の割合は、69.8%と過去最高。
 懲戒や解雇などの処分を受けた労働者が、その後に合同労組に加入し、その組合から調整の申請があった「駆け込み訴え事件」の占める割合も36.8%と、昨年(36.8%)に続き、過去最高となった。

※合同労組:「合同労組」「一般労組」「地域ユニオン」などと呼ばれているもので、主に中小企業の
労働者が個人加盟しているのが特徴


2個別労働紛争のあっせん
・44道府県労働委員会が行っている「個別労働紛争」のあっせん件数は423件で、前年に
比べ111件、20.8%の減
。同年中の解決率は66.4%。

・申請の内容別では、「整理解雇」29件、「年次有給休暇」21件が、前年と比べそれぞれ49件減、19件減と大きく減少。一方、「賃金未払い」、「パワハラ・嫌がらせ」は引き続き高い水準で推移している。

・14の県労働委員会で行っている個別労働紛争の相談・助言は2123件で、平成13年の制度発足以来、過去最高となった。


これら数値からみえる特徴として、個人で紛争の申し立てを行わず、ユニオンに駆け込んで労働組合からの交渉が行われているという点です。

つまり会社側としてみれば、ある日突然に、労働組合から団体交渉の申し入れがあるということです。

労働組合と接点の少ない中小企業では、団体交渉の申し入れに対してどのように対応すればいいのか分からず、苦労されます。

労働紛争が起きない職場であるのが理想的であるとはいえ、現実には企業側のコンプライアンス意識が高くなかったり、意識があったとしてもルール作りが不十分だったりという状況といえます。

ルール作りが十分できていたとしても、従業員とのトラブルは「ゼロ」とはならず、特に退職時のトラブルは後を絶ちません。

企業側としては、残念ながら労働紛争となってしまう場合には、従業員がどういう行動を取る傾向があるのかを認識しておくというのも、労務管理上のポイントといえます。


平成22年・全国の労使紛争取扱件数まとめ(中央労働委員会)
http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/kobetsu/dl/shiryo-h22-roushihunsou.pdf



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