人事・労務の知恵袋

人事・労務 懲戒処分の程度を考えてみる

先日、顧問先の人事担当者より懲戒処分の程度について相談があり、改めて考えてみることにしました。

懲戒とは「不正または不当な行為に対して制裁を加えるなどして、こらしめること。」とあります。

やってはいけない事、不当な行為と決められた事に反した場合に、制裁を与える事となります。

会社のルールとして懲戒処分を設ける場合、いきなり重い処分とするのではなく、処分の重さに一定の範囲を設けるようにし、反した行為や回数により処分を決定していきます。

通常設けられる処分として、けん責、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇の順になります。

懲戒処分のうち労働基準法で制限されているのは「減給」のみとなり、減給1回については平均賃金の1日分の半額以内、減給総額は一賃金支払期における賃金総額の1割以内(毎月支給する給与の1割以内)とされ、日常生活に過度の影響を与えないように定められています。

では減給以外の処分については、会社側が自由に設定できるのかというと、処分となる事由・懲戒の種類と内容は、あらかじめ就業規則に定めておくことが必要であるとされており、一定の限界があります。

また実際の処分についても「懲戒権の行使が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効となる(労働契約法第15条)」とされ、どんどん処分できるというものではありません。

懲戒処分の種類や内容を決定することは会社に任されていますが、実際に処分をくだすとなると、懲戒権の行使濫用にあたらないかどうか、慎重に扱わなければならないわけです。

裁判にまでなってしまうようなケースでは、ほとんどが会社側が敗訴する事が多い事からも、懲戒処分は扱いが難しいといえます。

とはいえ、明らかな違反行為は、職場内の秩序にも影響しますので、そのままにしておくわけにはいきません。

軽い処分であっても何度も繰り返されるような場合は順次重い処分となるようステップを踏む、包括的に定めておく方が適格と思われるものと処分内容を具体的に定める方が適格と思われるものは分けて考えるなど、労働者のとる行為や処分の性質に応じたものとして定めておく必要があります。

些細なミスでも処分されるような職場環境も問題でしょうし、一方で解雇権濫用と主張する社員がいるような職場環境もどうでしょう。

懲戒ではなく、褒賞(ほめる・たたえる)されるケースが多い職場環境であって欲しいものです。


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投稿日:2011/05/05
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