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その他 全建国保、不正補助金は90億円 資金余裕なく返還困難

7月30日 asahi.com
全国建設工事業国民健康保険組合(全建国保、本部・東京)で約2万8千人の偽装加入が見つかり、偽装加入によって国から不正に受けていた補助金が最近5年間で約90億円にのぼることがわかった。
厚生労働省は約90億円の返還を求める見通し。
全建国保は資金の余裕がないため「返還請求は解散命令に等しい」としており、存続が難しくなる恐れがある。

全建国保は、加入者が病気などで医療費がかかった際、本人が窓口で払う分を除いた7割を支払っている。
この全建国保が支払う分の4割前後が国の補助金から出ている。

制度上は、全建国保は偽装加入者に医療費の返還を求めることができる。
しかし、全建国保の辰川弘敬常務理事は「組合をやめた人も多く、事務的にも返還を求めることは難しい。適正に加入した人に負担を求めることも難しい。解散命令を受けるのに等しい金額だ。減額や、分割して支払うことなどを求めている」と話している。

全建国保の加入者と家族は、偽装加入問題が発覚した昨年12月には約21万2千人いたが、今年6月末には約18万4千人に減っており、偽装加入者の大半が脱退したと見られる。
脱退した人は法人事業所が加入する「協会けんぽ」に入るか、個人で加入する市区町村運営 の国民健康保険に入る必要がある。

ただ、協会けんぽに加入する場合、同時に厚生年金への加入も義務づけられる。
会社側は協会けんぽと厚生年金の双方で保険料の半分を2年さかのぼって支払う義務が生じるため、加入手続きを渋る可能性がある。
この場合、一時的に無保険の状態になっている人もいるとみられる。
全建国保の幹部は「保険料負担を避けるため偽装加入させていた経営者も多い。さかのぼって保険料の負担を求められたら倒産するところもある」としている。

偽装加入の背景について、国保組合の関係者は「旧社会保険庁(現日本年金機構)が、法人に義務づけられている厚生年金と協会けんぽへの加入を徹底してこなかったため、全建国保で偽装加入が広がった面がある。今後も法人の協会けんぽへの加入を徹底しなければ同じ問題が続く」と指摘している。
(以上、記事より)


国保組合の不正利用に対する補助金が90億円も支払われていました。

偽装加入していた分が、適正に社会保険加入がされていれば、多少なりとも現在の、健康保険組合や協会けんぽの保険料負担にも影響があったはず。

国保組合の不正利用についてはニュース等で大きく取り上げられる事が少ないのですが、本来は、国民皆保険制度の基本保険であるべき国民健康保険制度での不正利用についても、年金制度の適正化対策と同様に、不正受給の返還を厳粛に求めていくなどしないと、真面目に加入している企業や個人の社会保険制度への不信感が一層増し、社会保険制度への不信・不安感が、今以上に保険未加入を増やす要因にしかなりません。

投稿日:2010/07/30
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