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年金・保険 全国建設国保、ずさん会計 都の是正命令、6年未改善

12月21日 アサヒコム
国の手厚い補助を受けている国民健康保険組合の一つ、「全国建設工事業国民健康保険組合」(本部・東京)が、組合員から集めた保険料の管理のずさんさを理由に監督官庁の東京都から2003年に是正改善命令を受けながら、以後も運営の正常化が果たされていないとして、7年目に至る現在まで命令が解除されない異常な事態が続いていることがわかった。

都は是正命令以降、独自に交付していた補助金を停止しているが、国は08年度だけで約237億円を補助している。
こうした公的助成もあり、同組合は入院時に1日4千円の傷病手当を独自に出すなど、法定給付を上回るサービスを提供している。

03年3月、都の特別指導検査で、保険料の流用や決算の粉飾が発覚した。
都は是正命令を出すとともに、この年に予定されていた補助金約1億1千万円の交付を停止した。
組合は、改善計画を提出したが、その後も保険料の管理や全国にある支部運営をめぐって新たな問題が続出。
都は命令を解除せず、補助金の不交付決定を毎年繰り返してきた。

都が特に問題視しているのは資金の管理で、運営協力金などの名目で保険料以外の不透明な金を組合員から徴収したり、支部の会計と、組合員が所属する業界団体の会計の区別ができていなかったりするなどの事態が相次いでいる。
ある支部では、保険料以外に約1700人の組合員から月千円の「会費」を徴収していることが判明した。
趣旨の説明は一切なく、保険料の支払いの案内資料に、保険料とは別に会費の金額が記され、双方の金額を合計して振り込むよう依頼していた。

昨年、都の指導で行われた弁護士や公認会計士による外部監査は、組合の現状について「専ら人事抗争や利権争いに終始している」などと指摘。
支部はいかなる名目であっても保険料以外の金銭を徴収できない▽母体組織における会費の徴収は十分な説明責任を果たし、保険料徴収に便乗した会費調達との疑念を解く努力が望まれる、などと厳しく指摘した。

都が交付を停止している補助金は、都内に在住している組合員の保険料を補助するもので、7年分の累計で約5億2千万円。
都は「不適正な組合運営が是正されないかぎり復活できない」としている。

組合側は「是正命令で指摘された問題はほぼ改善されており、これほど長期の処分は異常だ。
今後は母体組織を整理することで、支部と母体との会計の区分などの問題をきれいにしたい」としている。
(以上、記事より)

広く知られていませんが、国民健康保険組合というのは、国民健康保険に加入すべき自営業者で組織・運営する健康保険組合の仕組みです。

この組合は、知事の許可を得て医師・歯科医・弁護士・美容師などが、同業者間で設立しているもので、以前より、保険料の安さや自己負担の低さが問題視されていました。

通常、保険料は収入に対する割合で決められますが、国保組合では保険料が一律定額にし、収入に対し安く抑えられている事が多いようです。

また、病院で医療を受けた時の自己負担についても、国保組合によって負担率=0とされていたりし、他の保険制度より優遇されている面がありました。

本来使われるべき保険料が正しい目的で使われていなかったり、保険料徴収が適正でなかったりという点は、ぜひ改善してもらい、都道府県も国も余計な助成を行わずに済むような健全体質としてもらいたいものです。

投稿日:2009/12/21
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