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人事・労務 退職後の自殺を「過重業務によるうつ病」と労災認定

日本ヒューレット・パッカード(東京都)のプログラマーで、退職半年後に自殺した東京都武蔵野市の男性=当時(31)=の父親(67)=兵庫県在住=が労災認定を求めた行政不服審査請求で、労働保険審査会は31日までに、過重労働が原因で発症したうつ病による自殺と認める決定をした。父親の代理人は、半年以上経過していたにもかかわらず業務が原因と認められたのは画期的だと評価している。

裁決によると、男性は1998年7月、社内でプロジェクトのマネジャーに就任。同12月にうつ病と診断され、休職と復職を繰り返すようになった。同9月から11月の時間外労働は月118~164時間に及び、男性は2001年12月に希望退職。02年7月に自殺した。

同審査会は「マネジャー就任後の業務は相当過重で、業務による心理的負荷は精神障害を発病させる危険のある強度のものだった」と指摘。98年10月に発症したうつ病が自殺につながったと認定した。

男性の自殺をめぐっては、新宿労働基準監督署が03年6月、業務起因性を否定し遺族補償給付などの不支給を決定。父親が行政不服審査請求をしたが、東京労働者災害補償保険審査官も06年1月に棄却した。

代理人の尾林芳匡弁護士は「退職後、時間が相当経過しているにもかかわらず業務と自殺の因果関係を認めたことで、今後、救済範囲がかなり拡大するのではないか」と話している。(1月31日 時事通信)


退職後の自殺に対して業務起因性を認めた注目される判決が出ました。

精神疾患は、外傷とは異なり見た目にも判断しにくいため、在職中にのみ発症するとは限りません。退職後に発症した傷病についても因果関係があるとされたわけです。企業としては、精神疾患をかかえる従業員に対する対策を今後どのように行っていくべきか、十分に考えさせるものとなりそうです。

 

投稿日:2008/02/05
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