日本マクドナルドが店長を管理職として扱い、残業代を支払わないのは違法だとして、埼玉県内の店長、高野広志さんが未払い残業代など計約1350万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁(斎藤巌裁判官)は1月28日、「店長の職務内容から管理職とはいえない」と述べ、同社に約755万円の支払いを命じた。
マクドナルドには約1680人の店長がいるほか、他の外食チェーン店でも店長を管理職としている企業は多い。労働基準法で定めた労働時間や残業代などの規制適用外となる管理監督者の認定を厳格にとらえた判決は、こうした企業に影響を与えそうだ。
訴訟では、店長の高野さんが管理職として経営者と一体的な立場にあり、出退勤の自由や賃金などで一般労働者に比べて優遇されているか否かが争点になった。(08/1/28 日経ネットより)
労働基準法でいう管理監督者とは一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものと解釈とされています。
役職名がついていれば管理監督者として割増賃金の支払いが免除されるものではありません。過去の判例でも、係長という役職名の者に対して残業代を払わないのは、実態に即してなく、残業代カットを目的とした処遇であるとされているものがあります。
今回の判決でも店長の職務内容から管理職とはいえないとされ、労働時間や残業代・休日勤務などの規制適用外となる労働基準法の解釈をより厳格に判断した判決だったといえます。
昨年のNHKクローズアップ現代で取り上げられた偽装管理職のように、管理職の扱いに注目が集まっています。
これを機会に、自社の管理職の扱いがどのようになっているか、再度確認してください。以下の点から、管理監督者であるかどうかを総合的に判断されます。
(1)労働時間の管理を受けていない
(2)一般職社員と比較して給与面での待遇が厚くなっている
(3)労務管理上の指揮命令権限や裁量権を持っている
(4)管理的な仕事をしている
上記のように管理職か非管理職かの範囲は、役職名だけでなく人事裁量権の範囲など各社の実態から判断されています。
管理職かどうかの判断は以前から問題となっており、労働基準監督署の調査でも未払い賃金の観点から調査確認される事も多い内容のひとつです。
今回の判決結果は、同業種だけに留まらず、他業種にも大きく影響を及ぼす可能性が高いといえそうです。
従来からの労務管理に関する解釈や慣例を覆すものであり、労務コンプライアンスの観点からも、十分な検討、早急な対応が必要になってくるでしょう。
自社の就業ルールで問題ないか不安を感じるようでしたら、お気軽にご相談ください。会社の労務リスクを解消し、社員も納得する、社員も安心、会社も納得の就業規則をご提案します。
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- 人事・労務 「店長は非管理職」東京地裁がマクドナルドに残業代支払い命令
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投稿日:2008/01/28
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