【今回のポイント】
1.協調性がないだけでは契約終了とはできない
2.解雇権濫用とされないためには客観的理由と根拠の積み重ねが必要
1年契約で雇用契約した契約社員のエンジニアが、協調性がなく同僚とのチームワークが上手くいきません。
雇用し半年経ちましたが、仕事上ではミスもなく期限を守り淡々とこなしているようです。
ただ、あまりにも協調性がないため、一緒に仕事をしたくないと他の社員たちからも相談され困っています。
こういう場合、期間途中ですが契約を終了できるのでしょうか。
仕事でのミスもなく協調性がないというだけでは、雇用契約を途中で終了するのは難しいのが正直なところ。
有期雇用契約の場合、期間途中で契約を終了する=解雇と同じとなります。
解雇については、判例上も厳しく制限をされており「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効である」とされます。
つまり解雇権濫用との扱いとなるわけです。
また昨年改正された労働契約法では、判例を元に、解雇権の乱用をしてはいけないと条文に明記されましたので、ますます制限は厳しくなったといえます。
常に問題となるのは「客観的に合理的な理由」であるかどうかで、協調性がないという理由だけでは客観的理由にはあたらないと判断されます。
今回のケースでは、協調性がない事で業務上の支障が生じているのかどうかを改めて確認し、この事を本人と十分に話し合いをもつ必要があるでしょう。
本人がどのように考えているのか・感じているのかを把握し、協調性が足りない事での影響を理解・認識してもらう、さらに、業務への支障が出ていないか確認しながら定期的に話し合いをし、本人との理解・認識を重ねていく、それでも本人の理解が得られないようであれば、最終的には雇用契約書を終了する事も検討する、というように慎重に進めていくべきと考えます。
一刀両断に契約を終了させてしまっては、会社側が間違いなく解雇権濫用とされてしまいます。
本人との話し合いという経過を踏まえた上での対応が求められます。
労働契約法
第16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
第17条(契約期間中の解雇等)
1.使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
労働契約法のあらまし
pf130125-1.pdf
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投稿日:2013/01/25
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