【今回のワンポイント】
1.経歴詐称が直ちに解雇処分にはできない
2.就業規則に定める解雇事由と経歴詐称の度合いと影響により判断する
採用した社員が、選考時に提出した履歴書の職歴を一部偽っていたことが入社後に発覚しました。
それを理由に解雇することはできるでしょうか。
履歴書の一部を詐称しているからと直ちに解雇できるとは限りません。
まず、解雇処分とするには就業規則に解雇事由が記載されている必要があります。
経歴詐称が、業務上または経営に対して極めて重大な影響を及ぼす場合は、就業規則への解雇事由記載の有無は問われないケースもありますが、極めて稀な場合であり、重大の度合いを証明するのもとても大変です。
経歴詐称を考える際には、以下の3つに分けられると考えます。
1)学歴詐称
本当は高校卒なのに大学卒と詐称したり、大学中退なのに大学卒と詐称したりするケース。
学歴の場合は、採否の決定や入社後の処遇に影響を及ぼさない程度であった場合は、懲戒解雇が妥当ではないとされる可能性があります。
2)職歴や所有資格の詐称
特に中途採用では、職歴や所有資格が採否を決定する重要な要素になります。
実際にない職歴をあるように申告したり、勤務期間を偽っていたりするケースでは、入社後の処遇に大きな影響を及ぼす可能性があるため、懲戒解雇となる可能性があります。
所有資格も、実際に所有していない資格を所有していると偽った場合は、懲戒解雇となる可能性があります。
3)犯罪歴の詐称
履歴書でいうところの「賞罰」にあたるものです。
過去に窃盗や横領などの犯罪を犯しており、その犯罪歴を隠していた場合は、犯罪の内容やいつ犯罪を犯したのかにより判断が異なります。
就業規則に解雇事由が記載されてあった場合、経歴詐称を理由として懲戒解雇を有効とするか無効とするかは、判例上では以下の点が重視されています。
・真実を告示していたなら採用しなかったと思われる重大な経歴詐称であったか
・企業の秩序維持を困難にさせる可能性があるかどうか
・採用決定の際に、本人に対する労働力の評価を誤らせる程度であったか
些細な事でも詐称されたと分かると、会社との信頼関係は崩れてしまい、会社としては雇用しておく事が許しがたいという意識に傾きます。
一方で、懲戒解雇処分は相当程度に重い処分である事から、解雇権濫用にあたらないか慎重に取り扱う必要があります。
職歴・経歴詐称を考える際に、労働者は真実を告知する義務があります。
「これくらい大丈夫だろう」という安易な気持ちで行った行為が、結果として懲戒解雇処分の対象ともなる危険な行為だということを社員は認識しておかなくてはいけません。
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