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人事・労務 労災補償、裁量労働制でのみなし労働時間を認めず

YOMIURI ONLINEより
江東区の会社でシステム開発を担当し、長時間労働で精神疾患を発症した男性(37)に対し、亀戸労働基準監督署が「裁量労働制」に基づき労災の休業補償給付額を算定したのは誤りだと男性が主張した審査請求で、東京労働者災害補償保険審査官は、「男性の裁量で労働していたものとは認められない」などとして、同労基署の決定を取り消す裁決をした。

裁決は21日付。男性の代理人を務める八王子合同法律事務所の尾林芳匡弁護士(東京過労死弁護団幹事長)が25日、記者会見で明らかにした。

尾林弁護士によると、男性は金融機関向けシステムの新規開発を担当していた2004年2月、1か月間の時間外労働が123時間に達して精神疾患を発症し、その後、療養生活を余儀なくされた。亀戸労基署は昨年4月、男性を労災認定したが、男性の雇用形態に従い、あらかじめ定めた時間働いたとみなす「裁量労働制」で、算定した休業補償給付をしようとした。

これに対し、審査官は、「男性の業務は、プロジェクトチームとしてチーフの管理下で(労働)時間配分が行われており、男性の裁量で労働していたとは認められない」「(休業補償給付の算定基礎となる)平均賃金はみなし労働時間によらず、(実際の)時間外労働に対する賃金を算入すべき」などと判断した。

尾林弁護士は、「システム開発業務は裁量労働制をとっていることが多く、時間外手当の支払いが必要となる今回の判断は、他の企業にも大きな影響を与えると思う」と話している。
(ここまで)


弁護士の会見にもあるように、システム開発業務に携わる場合、専門業務型裁量労働制を適用しているケースが多く、これが実態と合っているのかどうかは常に疑義されています。

今回のケースは、プロジェクトチームのメンバーとして業務に携わっている中では、本人の業務に対する裁量性が極めて低いとされ、特に時間配分がされている(これが工数配分を意味しているのかは不明)場合は、本人の裁量で働いていないとされています。

ここは実態により判断されるというものの、今回のケースのような事例は、以前より裁量労働制が適用されないと判断されています。

職種が該当するから専門型裁量労働制が適用されるという一律的な判断ではなく、ここに日々の業務遂行状況がどのような形になるのかを併せて確認しておかないと、今回のように、裁量労働制が認められないという事になりかねません。

専門型裁量労働制について
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/
http://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=57894


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投稿日:2013/03/27
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