労働政策研究・研修機構では、「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」結果を公表しました。
調査では、職場でのメンタルヘルスの実態や、企業の取り組み、企業のメンタルヘルスケアに対する意識など探り、メンタルヘルスケアを進めるうえでの課題を明らかにしています。
【調査結果の概要】
1.メンタル不全で休職・退職した人がいたのに3割の企業は未対策
過去1年間にメンタルヘルスで1カ月以上の休職または退職した労働者がいた事業所でのメンタルヘルスの取り組み状況で、「取り組んでいる」事業所が6割強(64.0%)と過半数を占める一方、休職・退職者がいるにもかかわらず「取り組んでいない」事業所が1/3と少なくないのが目立つ。
2.約9割の企業がメンタルヘルスと企業パフォーマンスの関係を認識
メンタルヘルスの問題と生産性の低下や重大事故など、企業のマイナスのパフォーマンスとの関係をどう考えるかについて、「関係がある」(42.1%)、「密接に関係がある」(22.8%)、「どちらかと言えば関係がある」(21.3%)を合わせて、約9割(86.2%)の事業所が、関係ありと認識しており、「どちらともいえない」は9.6%で、無関係(「あまり関係がない」「まったく関係がない」「関係がない」の合計)だと考えているのは3.4%と少数だった。
3.メンタルヘルスケアに取り組んでいないところでも、今後は過半数が「取り組み強化」
今後のメンタルヘルスケアの位置づけについては、強化するべきだと考えている事業所が7割強。
メンタルヘルスケアの取り組みの有無別にみると、取り組んでいない事業所でも、積極派(「強化する必要がある」9.1%、「どちらかと言えば強化する必要がある」43.3%)が過半数を超えており、今後の取り組みの広がりが予測できる結果となっている。
大企業でのメンタルヘルス対策は進んでいる一方、中小企業ではメンタル不全による休職者が発生していても、その後の対策を講じていない現実がみられます。
これは「メンタル不全者・予備軍に対してどう対処していいのか分からない」「本人の性格的なものだからどう にもならない」「休職者が発生しても少数なので、いちいち対策を講じていくのもどうか」など、消極的な取り組みになりがちなのが実態といえます。
メンタル不全者が発生すると企業のパフォーマンスに影響があるとも自覚はしていますが、その一方で目に見えない対策にコストをかけるのもどうかという姿勢になっているのも事実です。
今後、労働安全衛生法の改正により、健康診断項目にメンタルヘルスに関する受診項目が追加されるとされていますが、個人情報を理由に、従業員本人の同意がなければ受診結果を企業が確認できないという方針が変わらない限り、企業は費用負担を強いられるだけで、積極的な対策を打っていく事ができない状況に変わりありません。
従業員のメンタルヘルス状況を企業が把握しながら人員配置や業務負担を考えたり、メンタル不全者が発生しないような就業環境を見直していけるような施策が求められます。
職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査(本文)
http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/documents/0100.pdf
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- その他 9割の企業がメンタルヘルスと企業パフォーマンスの関係を認識
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投稿日:2012/04/09
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