人事・労務の知恵袋

人事・労務 アメリカ企業が人事評価制度やめる目的

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

近年、GEやグーグルなど、アメリカの大手企業が人事評価をやめる動きが注目されはじめていますが、注意しておきたいのは、「人事評価をやめる」といっても、人材の評価そのものをやめるわけではなく、人材の成長を促し、企業の成果につなげていくためには、人材の評価は不可欠ということです。

アメリカ企業で何が起きているかというと、制度化によるランク付け自体が目的となり、期中のコミュニケーションのほったらしという問題が起きたため、評価のランク付けとMBO(目標管理制度)も見直しにより、職場でのコミュニケーションを強化し、管理職が日常的に部下のモチベーションを高めたり、成長を支援したりすることに重きを置くようになったということです。

人材マネジメントは、人事部の役割ではなく、社員の一人ひとりのモチベーションを高めて成長を促すことは、すべて現場で起きるため、現場の管理職の重要な役割になります。

アメリカ企業のマネジャーは、人材を自部門の成果を高めていくためのリソースの一つとして捉え、人の成長と組織の成果を連動することを自らの責任として取り組む意識を強く持っていますが、日本の管理職は、人材マネジメントを競争に勝つための原動力だと認識が弱く、部下の報酬や昇進などの処遇を決める権限がないという傾向にあります。

日本企業の場合、管理職の人材マネジメントに対する意識や権限の観点から、制度がないとほったらかしになってしまう可能性があるため、むしろ人事評価制度を利用することで、職場のコミュニケーションを向上させることが期待できます。

人材マネジメントの理想は、人材を個別に評価・育成し、生産性をアップさせることですが、人事評価制度がなかったり、人材の評価そのものがあいまいな日本の中小企業はまだまだ多い状況です。

人手不足による少数精鋭化と多様な働き方が求められ、「働き方改革」を実現させるには、人事評価制度を導入・見直して、管理職の人材マネジメントを強化することは今後ますます重要になっていきます。

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参考)なぜアメリカ企業は人事評価をやめるのか?
http://president.jp/articles/-/2142

投稿日:2017/03/06
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