コロナ禍が収まった後もテレワーク勤務が主流になり、オフィスは不要が新聞やネットメディアで目にするようになりました。
グロービスAI経営教育研究所の佐々木主任研究員によれば、オフィスは不要ではなく、オフィスは単に社員が仕事をする場所という物理的な機能だけでなく、会社の成長に欠かせない別の重要な機能も提供しているからであると、以下の事例を踏まえて述べております。
Google社は2000年代からデータ分析を基に「働く」について様々な調査・研究を行っており、それらの調査・研究の中で、Googleの幾つかの偉大なイノベーションはオフィスでの社員同士の何気ない会話から生まれたことが分かっており、Google社はオフィスをイノベーションの創出に欠かせない場所であると考えているため、オフィスに多大な投資をし、社員が来たくなる魅力的なオフィスにしています。
Yahoo社が在宅勤務を禁止にした事例では、2013年まで推奨していた在宅勤務を一斉に禁止し、オフィス勤務を必須とした。当時のCEOは、社員が別々の場所で仕事をするよりも全員が物理的に同じ場所にいる方が生産性が向上すると述べています。
オフィスは単に社員が仕事をするという物理的な機能だけでなく、イノベーションの創出を支えるインキュベーション的な機能も提供していることが分かります。仕事では直接関わりがないがオフィスに来ることで知り合った人に仕事を助けてもらった、その人のおかげで仕事をスムーズに進めることができたといった経験がある人は少なくないはずです。
もしオフィスがなくなれば、このようなインキュベーション的な機能が失われ、イノベーションが生まれづらい組織になる恐れがあり、実際にコロナ禍における在宅勤務の中で、目の前の仕事を進めるために必要なコミュニケーションは取れているが、同僚との雑談や新しい人との出会いは減ったと感じている人が多いのではないでしょうか。
多くの会社は既存ビジネスがあるので、短期的な影響はあまりないだろうが、中長期的には大きな負の影響があり、このコロナ禍の中でオフィスを完全撤廃する企業があるとすれば、数年後には会社の成長には欠かせないイノベーションの喪失につながる可能性があります。
上記の企業の事例もそうですが、IT業界では、もともと全社員テレワークの企業もありますが、上手く運用している企業は月1回の出社日やランチ会の定例開催など、コミュニケーションの方法を工夫されている企業が多いように見受けられます。
テレワークにも欠かせない人事評価の仕組みづくり