スープストックトーキョー社の、働いたことがあるスタッフが退職する際に発行される、同窓生の会員証のような「バーチャル社員証」の制度が注目されています。
同社で働く人は、同社のスープが好きだという人が多く、また「世の中の体温をあげる」という理念にも共感している。そうした人たちが退職しても、同社とつながりを持つための2016年春から仕組みとして導入されています。
バーチャル社員は、各店舗で春に卒業予定の学生アルバイトにヒアリングし、バーチャル社員の登録をしてよいかどうかを確認したうえで一括登録する希望制であるが、登録率はほぼ100%だといい、勤務年数など、バーチャル社員となるための制限はなく対象者のほとんどは学生であるものの、フリーターや主婦でも、同社で働いた経験があればOKになります。
「近年はアルムナイの記事として掲載される機会も増えています。その記事を読んで『昔働いていたのですが、どうすればバーチャル社員になれますか?』という問い合わせもあります」と同社人材開発部部長は反響がある様子を語っており、社員として働いた後に転職し、その後バーチャル社員として登録していた人が、8年ぶりに正社員として戻ってきた例もあります。
バーチャル社員になると、働いているときと同様に、店舗では10%の割引を利用できるほか、ファミリーセールや試食会などの案内を受け取れたり、毎月1回の割合で配信されるメールマガジンからそうした情報を得られるなど特典があります。
同社人材開発部部長は、「過去に働いていた人はスープの味もよく知っているため、新商品のお披露目会などに呼んで、試食会に参加してもらっています。彼らの意見を聞いて商品に反映させることもあります。離職してもつながりを構築していくことで、変わらずスープストックトーキョーを盛り上げてくれる仲間としてかかわり続けています」
人材不足で悩む企業においては、「アルムナイ」と呼ばれる「企業の離職者・退職者」を貴重な人的資源とみなし、採用や採用に繋げるための関係性を保つための施策が注目を浴びており、今後「バーチャル社員証」のような制度の導入が、増えるかもしれません。
テレワークにも欠かせない人事評価の仕組みづくり