人事・労務の知恵袋

人事・労務 テレワークで、女性の家事・育児時間だけ増加

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

東京都が緊急事態宣言発令中の2021年6月に都内の未就学児を持つ男女2000人を対象に実施したアンケート調査の報告書「令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査報告書(令和3年11月)」と、コロナ前の2019年8月に実施した前回調査を比較すると、テレワークにより、女性の家事・育児時間だけ増加しています。
男女の1日あたりの家事・育児関連時間(家事・買物、育児、介護にかかる時間)につき、前回調査と比較するとコロナ前の前回調査の時点から男女の家事・育児関連時間は男性が3時間33分、女性が8時間34分と5時間1分もの男女差がありました。これが、コロナ禍において、男性は1分しか増えなかったのに対し、女性は20分増加し、男女差は5時間20分まで拡大しています。
新型コロナウイルス感染拡大前と比べた、平日の在宅時間のうち仕事以外に使える時間の変化を聞いたところ、男性のうち「増加した」と答えた人は47.3%で、「減少した」と答えた人の2.8%を大きく上回る(女性は「増加した」が32.4%、「減少した」が5.3%)とのことから、コロナ禍において、男性は残業の減少やテレワークの増加などにより「仕事以外に使える時間」が増加したにもかかわらず、家事・育児に充てる時間がほとんど変わっていないことがわかります。
コロナ禍で急速に普及したテレワークは、男女の家事分担の適正化に貢献することも期待されましたが、調査結果からは、男性のテレワークがかえって女性の家事を増やしている現実がわかります。
令和4年10月の育児介護休業法の改正により、「産後パパ育休(出生時育児休業)」の創設される予定であり、最近は、男性の育児休業のご相談も増えております。
令和4年4月の法改正にもあるように、会社が育児休業制度を周知し、制度を活用することによって、かえってどちらかに負担が増加することがないようにしてもらいたいと存じます。
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投稿日:2022/01/24
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