人事・労務の知恵袋

人事・労務 2024年度賃上げに関するアンケート、過去2番目の高水準

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

東京商工リサーチ社は「賃上げに関するアンケート」を実施し、2024年度の賃上げは84.2%の企業が「実施した」と回答しており、定期的な集計を始めた2016年度以降、2023年度に次ぐ過去2番目の高水準となり、3年連続で8割台となったようです。
規模別の実施率は、大企業が94.0%と、前年度89.9%から4.1ポイント上昇した一方で、中小企業は82.9%と前年度84.2%を1.3ポイント下回り、規模格差は過去最大の11.1ポイントに拡大しています。東京商工リサーチ社は「大企業は賃上げを継続したが、中小企業は重い人件費負担から賃上げ疲れもうかがえ、持続的な賃上げ実現の課題もみえてきた」とコメントしています。
賃上げ率は、1%刻みのレンジでは「5%以上6%未満」(26.8%)が最も多く、次いで「3%以上4%未満」(25.6%)、「2%以上3%未満」(13.1%)が続いており、賃上げ率「5%以上」(42.6%)と、前年度の36.3%を6.3ポイントと大幅に上回り、物価高などを背景に賃上げが進んでいることが分かります。
産業別での賃上げ実施率では、「製造業」(89.6%)が最も高く、次いで「運輸業」(88.9%)、「建設業」(88.6%)と、10産業中7産業で賃上げ実施率が8割を超えています。一方、実施率が最も低かったのは「不動産業」(62.9%)で、次いで「情報通信業」(72.1%)、「サービス業他」(79.4%)となっています。
賃上げ内容は、最多が「定期昇給」(74.2%)、次いで「ベースアップ」(61.4%)、「賞与(一時金)の増額」(38.5%)となります。「定期昇給」は前年度75.3%を1.1ポイント下回り、4年連続で下落した一方、「ベースアップ」は前年度の56.4%を5.0ポイント上回り、3年連続の上昇で過去最大を更新しています。
2023年のパーソルキャリア社の賃上げに関する調査では、賃上げのために実施した施策では、人事制度の改定が最も多い結果でした。どのように賃上げを実施したらいいか悩まれている企業は、人事評価制度の見直しや導入を検討されるのも一考です。
 
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投稿日:2024/08/26
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