人事・労務の知恵袋

人事・労務 若手が定着しない課題や、定着のための効果的な施策

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

リクルート社が中小・中堅の事業責任者を対象に実施した調査から、若手が定着しない課題や、定着のための効果的な施策がわかります。

 

人材定着のための取り組みについて、「定着できている群」と「定着できていない群」に分けて調べたところ、中小・中堅企業ともに「業務時間の柔軟化」「時間外労働の削減・休暇の取得推進」「テレワークの導入」といった柔軟な働き方に関連する取り組みで差分が見られます。

 

職場環境やコミュニケーションと人材定着の関係についても、「定着できている群」と「定着できていない群」の間で、職場環境づくりに関するさまざまな取り組みで大きな差が見られ、中小企業で差の大きい項目は「上下関係にとらわれず意見を出しやすい」(定着できている群:70.5%)、「従業員間のコミュニケーションが活発である」(同:63.5%)、「実際の成果や、業務の内容に応じた人事評価を行っている」(同:61.3%)といった取り組みとなり、中堅企業では「仕事の内容や範囲が明確である」(定着できている群:57.2%)、「実際の成果や、業務の内容に応じた人事評価を行っている」(同:62.5%)、「経営者が人材の活躍に対して積極的に取り組んでいる」(同:56.1%)といった項目が挙げられています。

 

リクルート社のHR リサーチセンター センター長は調査結果を踏まえ、「人材の定着ができている企業群は、業務時間の効率化やテレワークの導入といった働き方に関する制度を推進しているという特徴があります。特に中堅企業では、『成果や業務内容に応じた人事評価』に積極的に取り組んでいます。しかし、こういった制度面の取り組み以上に影響があると思われるのは、職場環境の在り方です。人材の定着ができている企業群には、職場での意見の出しやすさやコミュニケーションが活発であるといった特徴が見られました。若年層の定着という観点では、経営者の積極的な人材活躍への取り組みが効果的であると考えられます」とコメントしています。

 

これまで弊社が人材定着の取り組みについてサポートを行ってきた所感になりますが、組織分析を行うと「会社理念や方針」と「管理職」の2つが定着率を低下している原因として行き着くケースが多いように見受けられます。本調査でも挙げられているように、人事制度や働き方の方針や、管理職が職場のコミュニケーションに及ぼす影響は大きいと考えられます。

 

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投稿日:2024/09/30
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