採用面接時に、応募者の既往歴をどこまで質問することができるのでしょうか。
以前、通学中の児童に対する交通事故があり、この加害者が既往症を隠して仕事に就いていたという事件がありました。
従業員がこのような事故を起してしまった場合、企業がどこまで責任を問われるのか気になります。
採用面接時に、どの程度まで応募者の個人情報を確認できるかについて法律上では職業安定法の中で、応募者の個人情報を収集・保管・使用する場合、本人の同意がある場合やその他正当な事由がある場合を除いて「業務の目的の達成に必要な範囲内」で収集・保管・使用しなければならないと定められています。
この「業務の目的の達成に必要な範囲内」という点があまり明確でないため、適切に対処するための指針として行政から以下のように告示がされています。(平成11年労働省告示第141号)
収集してはならない個人情報
人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、思想及び信条、労働組合への加入状況、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項。
ただし、職業の特性上上記の個人情報を収集することが必要不可欠なため事前に収集目的を本人に提示してから収集する場合を除く。
つまり事前に個人情報を確認するとの提示をし本人の同意等がない限りは、仕事を行うにあたり必要な範囲を超えた個人情報の収集等は行ってはならず、また差別の意図が少しでもあるような質問等は行えないというのが実情といえます。
では採用面接時に応募者の既往歴を質問する事が直ちに違法となるのか。
「健康である」ということは採用する際の基本的な条件であり、また重要な条件のひとつであるといえます。
優秀な社員であっても、心身ともに健康でなければ、その能力を十分発揮し成果を上げることはできません。
したがって、採用時の基本的な条件である既往歴の申告や選考のための健康診断は、必要最低限の範囲で実施すべきものといえます。
業務の特殊性より必ず確認しなければいけない症状(バス運転手の色覚など)であれば、本人からの申告を求め面接時にも確認する必要がありますが、直接業務に関わりがない既往歴まで強制的に申告をさせ確認するというのは慎重に行うべきでしょう。
前述の告示にも、取得できない情報として病歴は含まれてない点からみれば、身体的疾患や「うつ病」など精神疾患の既往症の情報も収集する事ができるともいえます。
ただし応募者の人格やプライバシーの侵害となるようなものは許されてませんので、本人の同意を得ずに検査を実施したHIV、B・C型肝炎、色覚検査などは不法行為となりますので十分に注意が必要です。
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