人事・労務の知恵袋

人事・労務 契約社員の人事管理

財)労働政策・研究機構では、契約社員がどのような仕事に従事し、どのような処遇を受け、そこでどのような問題が発生しているのかをアンケート調査しました。

調査結果概要
(1)職種/業務内容
乗務職(A社)、営業事務職(B社)、サービス職(C社)、専門職(C社、E社)、販売職(D社、F社)、営業職(E社、F社)、開発職(E社)、コールセンターオペレーター(G社)

(2)活用目的・理由
・人件費・コスト削減のため
・期間の定めのない社員として雇用するリスクを回避するため
・専門知識・技術・即戦力の活用のため
・売り場運営に特化した人材を育成するため
・試行的雇用のため
特定の活用目的・理由に集中しているということはなく、契約社員が事業の主戦力となっているケースもある。

(3)契約期間・更新
1年契約が大半であり、それ以外では3年契約

契約更新の実態では「雇止めの例なし」、「原則として更新」、「特段の問題がなければ更新」、「雇止めの例は少ない」、「大半が更新」、「人事評価に基づき更新」、「最長5年が上限」など幅がある。

試行的雇用を目的とする場合には、「正社員登用できなければ契約終了を検討」、「正社員登用できなければ契約終了」といった運用をしている。

(4)賃金制度
「月給+賞与」で「昇給あり」とするケースでは、賃金水準は別として、賃金制度についてみるならば、一般的な正社員と類似している。

「月給」のみで「昇給あり」とするケースでは、勤続にともない一定程度の賃金上昇があるものと考えられる。

「月給+賞与」で「昇給なし」のケース、「月給」のみで昇給しないケースでは、一般的な正社員とは賃金制度が大きく異なっている。

年俸(毎年更改)というケース、月給が契約更新時に更改されるケースでは、業績や働きぶりなどによって賃金が少なからず変動するものと考えられる。

(5)能力開発
正社員と同様にOJT、Off-JTを実施しているものが多い。

入社時研修以外は能力開発をしていない、入社時以外はOJTのみ、基本的には正社員と契約社員とで能力開発のあり方に違いはないが正社員に対してのみ付加的Off-JTを実施というように、正社員に比べて能力開発の機会が少ないケースも見受けられる。

正社員と契約社員の役割の違いを踏まえて、正社員とは別にOff-JTを実施するというケースもある。

(6)正社員との均衡処遇
正社員より賃金水準は低いが、格差を縮小する方向ではなく、正社員化で対応しているケース。

正社員より賃金水準が低いが、業務内容、採用基準などから、合理的な水準だと考えられているケース。

正社員より賃金水準が高いが、高度なスキルに相応しい水準だと社内で受け止められているケース。

コスト削減を目的として活用している職種では、処遇格差が問題となっており、試行的雇用を目的として活用している職種においては、賃金水準は低いが特別な問題は生じていないというケースもあった。

正社員と契約社員とで賃金水準の差がほとんどないケースもある。

(7)正社員登用・転換
原則として全員を正社員化ないし正社員転換するケース。

もっぱら試行的雇用を目的として契約社員を活用しており、入社者の7~8割が正社員登用されるケース。

選抜による正社員登用制度を設けているケース。この場合、正社員登用制度があるが希望者が少ないというケースも含まれる。

原則として正社員登用はないというケース。
(以上、調査結果より)


専門職の場合は、保有スキルを活かすべく契約社員化している事が多く、給与も一定以上の金額となっているケースが多くみられます。一方、正社員化する割合はさほど高くありません。

一方で、試用期間的に契約社員化している場合は、給与も初任給とさほど変わらなかったり職種ごとのバラツキも多いものの、その後の正社員化の割合は多いといえます。

雇用リスクを考慮しながらも一定スキルの雇用を確保したいという点では、契約社員の活用も有効ですが、労務管理上の問題や契約更新時のトラブルなどにも十分注意が必要といえます。

契約社員の人事管理・企業ヒアリング調査(労働政策・研究機構)
http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/documents/065.pdf

有期契約労働者の雇用管理の改善に向けて(厚生労働省)
事業主向けガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other25/dl/01.pdf
労働者向けガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other25/dl/02.pdf


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投稿日:2010/04/14
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