消費者金融からの借り入れで会社に給料債権の差押命令が会社に届いた場合、会社は懲戒処分や解雇処分とできるのでしょうか
個人の借入は、あくまでも個人の問題であり、法的な手続きに従って対応すべきものです。原則的には、懲戒処分はできないと考えます。
本人へは差押命令が裁判所から送達された事実を伝え、事情を確認すべきですが、解決にあたっては社員自身が行うべきものです。
会社としては、差し押さえられた金額を支払うことはできませんので、法律で定められた制限に従って給与から控除し、その金額を債権者に支払うか、または供託をするかのいずれかの方法を取る形になります。
※供託=法令の規定により、金銭、有価証券、その他の物件を供託所(法務局、地方法務局等)などに寄託すること。供託の手続は供託法等に定められている。
差押命令には陳述書が同封されますので、給料債権の差押命令の場合は、債権者である社員の雇用の事実・支払っている給与賞与の額・債権者への支払意思などの陳述を求められます。
個人の借入行為そのものは、使用者と労働者との間で信頼関係が壊れるという評価はできず、懲戒理由になるとはいえません。
例えば自己破産があったとしても、個人的な問題である限りは解雇理由に該当しません。
ただし自己破産については、金銭面での会社との信頼関係が失われたという事実は残りますので、経理担当など会社の金銭を取り扱う業務や部門以外への配置転換は必要と考えます。
これは消費者金融からの借入等により問題が生じた場合も同様といえます。
一方で借入が外部ではなく、社内の社員からや取引先等から行われていた場合には、借入額・事情・返済状況等によっては、普通解雇理由に該当する可能性が出てきます。
人事・労務の知恵袋
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投稿日:2009/09/17
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