【今回のポイント】
- 会社には健康診断を実施義務があり、社員は健康診断を受診する義務がある
- 健康診断を受診している時間は労働時間ではないため「無給」でも構わない
法律で定める健康診断には、雇入れ時健康診断・定期健康診断・特定業務従事者の健康診断・海外派遣労働者の健康診断、他にも危険物を取り扱う労働者に対する特殊健康診断など、実は様々な健康診断があります。
一般的には、雇入れ時健康診断・定期健康診断・深夜業に関する特定健康診断が行われています。
就業規則上で規定すべきは、社員は健康診断の受診義務がある事、異常所見時の再検査受診と報告の義務がある事、診断受診時の費用負担が主となります。
特に、会社が指定する健康診断を受診しなかった場合に、自身が希望する医療機関で受診するのか、受診した場合の費用負担をどうするのか、受診している時間は有給か無給かなど具体的に規定します。
また健康診断の結果が会社に届かず、社員本人に通知される事が多い事から、健康診断結果を必ず提出するよう規定し、提出がない場合には、本人が健康で労務を提供できるかどうか判断がつかない事を理由に、就労を拒否し、または受診拒否に対する懲戒処分も可能性がある事を規定します。
【規定例】
第●条(健康診断等)
- 社員には、毎年1回以上、会社の指定する医師による定期健康診断を受診しなければならない。また、法に定められた者は6か月に1回実施する健康診断を受診しなければならない。
- 社員が正当な理由なく前項の健康診断を受診しない場合、第●条の規定により懲戒処分とすることがある。
- 社員はこの健康診断の受診および結果を、会社へ通知することを拒否することができない。
- 健康診断結果の情報は、安全配慮義務を果たす関係上、会社が一括して管理を行なう。よって、社員個人に健康診断結果が通知された場合であっても、社員はその結果を会社へ提出する義務を負う。
- 社員は、健康診断の結果に異常の所見がある場合には、会社の指定する医師による再検査を受診しなければならない。
- 社員が、正当な理由なく前項の再検査を受診しない場合、またはその結果を会社に報告しない場合、会社は当該社員に対し、労務提供を拒否し、または就業禁止の措置をとる場合がある。なお、この期間については無給とする。
- 健康診断の結果、特に必要のある場合は就業を一定の期間禁止し、または職場を配置替えすることがある。
- 会社は、第1項の定期健康診断および第5項の再検査以外にも、社員に対し、健康診断の受診ないし会社の指定する医師への検診を命じることがある。
- 第1項、第5項及び前項に定める健康診断にかかる時間については、無給とする。
- 社員が会社の指定する健康診断を受けることができない場合、または希望しない場合は、他の診療機関にて健康診断を受け、その結果を証明する書面を会社に提出しなければならない。なお、当該健康診断の費用は自己負担とする。
- 前項の場合、会社が指定する診断項目を満たしているものであること。
上記内容に関連する「社員も安心、会社も納得の就業規則」ページもご覧ください。
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