東京労働局が、平成19年の労働基準監督署への申告事案概要を発表しました。
★申告事案とは?
労働者から労働基準監督等に対して、労働関係法令に関する違反事実の申し立てがされ、この申し立てを受けた労働基準監督署が、通告された違反事実の有無を確認し、違反事実と認められた場合には、事業主にその是正を勧告し、改善を図らせることにより労働者の救済を行なうことをいいます。
■ポイント1
平成19年の申告受理件数は、前年比で456件増の5,819件
申告受理件数は、平成15年の6,404件をピークに減少傾向にあったが、平成18年から増加し、平成19年は増加傾向が顕著となった。
対前年増加率を比較すると、平成18年の0.7%から、平成19年は8.5%に。
■ポイント2
申告受理件数のうち賃金不払処理件数は、前年比で765件増の4,975件
賃金不払にかかる申告処理件数は、前年比で765件増加、対前年増加率も18.2%となっており増加傾向が顕著となった。
解雇、その他の処理件数が、前年比でそれぞれ75件、42件と減少しているため、申告受理件数全体が増加しているのは、賃金不払処理件数の大幅な増加が寄与するものとしている。
■ポイント3
申告処理件数の約9割は賃金不払と解雇
申告処理件数の内訳は、賃金不払に係る申告が4,975件(75.8%)、解雇に係る申告1,089件(16.6%)、その他にかかる申告500件(7.6%)となっており、賃金不払、解雇が全体の約92.4%を占めている。
■ポイント4
商業・教育研究業・保健衛生業に関する申告が増加
受理件数100件以上の業種のうち、受理件数が増加したのは、件数で商業の168件増、教育・研究業の98件増が顕著であり、増減率で教育・研究業の34.3%増、保健衛生業の23.2%増が顕著。
(以上、発表内容より)
今回の概要からいえるのは、減少傾向にあった労働者からの労働基準法違反に関する申告が、ここ1年で増加している点が気になるという事。
昨年来から増えている消費期限偽造問題や、残業代不払いの是正指導など、企業内部の者じゃないと分からないような内容が端を発しているともいえます。
つまり、労働者側は企業の動きを常にみているという事。
いくら法律により内部告発者を守っているとはいえ、実際には外部に通報した事で社内にいずらくなったりする事も事実でしょう。
マクロ的視点では会社がどのような考え方で事業活動をしているのか、ミクロ的視点では自分の働く環境が法律を守っているのかを、社員は厳しくみるようになってきているといえます。
社員の働く環境と仕事を与える義務が会社にある一方で、与えられた環境で仕事を全うする義務が社員にはあるわけですから、お互いの権利や義務を一方的に押し付けるのではなく、それぞれの立場にたって権利と義務を考える必要があるように思います。
人事・労務の知恵袋
- その他 労働者からの監督署への申告、年間5819件(東京都)
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投稿日:2008/02/23
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