派遣社員を利用している時、派遣社員の労災は派遣元のものとして扱うのが通常ですが、派遣先に対して労災給付した分の請求がされる事があります。
これは、派遣先企業の社員の行為が原因で、派遣社員が負傷したりした時に起こり得ます。
本来は派遣元の労災として扱いますが、派遣先企業の社員の行為が原因であった場合に、負傷した派遣社員に対しては、派遣元の労働災害として労災保険の範囲内で給付を行い、その後に、派遣先に対して派遣社員に給付した分の請求(=求償)がされるというものです。
労働災害が、派遣先企業の社員の行為が原因で起きているわけですから、労働環境に対する安全配慮義務は派遣先企業に責任があるという事になり、第三者行為災害にあたると考えます。
派遣先社員の行為が原因で起きた労働災害以外に、派遣先の就業環境に欠陥があり、これが原因で負傷した場合なども、派遣先に安全配慮義務がある事から、一旦、派遣元の労災として扱ったものの請求(=求償)がされる場合があり得ます。
元々、労働安全法に違反している事が原因で、派遣社員を負傷させた場合も求償される可能性があります。
派遣社員だから大丈夫という事ではなく、自社社員と同じように安全配慮の義務が、派遣先企業にも求められているというのを認識すべきといえそうです。
派遣労働者に対する安全配慮義務違反が問われた裁判例
アテスト(ニコン熊谷製作所)事件(東京地判H17.3.31労判894-21)
↓
ニコンの熊谷工場に派遣された男性がうつ病を発症して自殺したのは、長時間勤務と劣悪な勤務環境が原因として、遺族が派遣会社ニコンと業務請負会社ネクスター(現アテスト)に損害賠償を求めた訴訟。
東京地裁は両社に計約2480万円の支払いを命じ、人材派遣、業務請負など契約形態の違いは別としても両社は疲労や心理的負担が蓄積しすぎないよう注意すべきだったとして、両社の安全配慮義務違反を認めているもの。
派遣先の講ずべき措置等
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/9.pdf
モンスター社員・問題社員への対処方法
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